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同行者探し 2



 プレッシャーVSプレッシャー。


 焼けるような重圧を放つ、魔獣と竜人。


 まるで空間の支配権を奪い合う様な視線の攻防。


 それは見上げる様な巨体にライオンの様なたてがみ、しかし、頭部に有るのは縦に裂けた一つ目と牙鋭い口腔こうこうのみ。 対するは、重そうな騎士鎧を着込み、盾と長斧を構える人間形態の竜。


 全身の鱗は炎の様な明るい赤色で長太い尾が地を這う。 眼光には不退転の意志が宿り、あらゆる攻撃を引き寄せる……、すなわち竜族の守護者ガーディアンのみに許されたスキル『龍の眼光』を発動。 防御力で劣るエバン達を守る鉄壁となる。



 その威圧は魔物にして、殺らなければ殺られると思わせるには充分で、後衛を狙う一撃さえ引き寄せて強靭な龍鱗と装甲で弾き散らす。 その隙を縫い逆にエバンの『撲殺金化鞭』がしなり手数以上の手傷を負わせ、マリアの放つ矢が急所に吸い込まれていく。 その矢には光神の操る自失魔法がたっぷり乗っていたりする。





 --そんな激戦から時を遡る事3日あまり--





 街を出ようとした翌日の早朝。 敵意は無いらしいが何やら戸をガンガンノックする訪問者の気配。


 ただ人の部屋に来るにはいささか早いと思われる時刻……まだ眠い。



 けど、出るまで叩きそうな気配がするので近所迷惑を考えて、素早く戸を開き奥歯を噛み締める。


 準備は万端、鳩尾みぞおちに一発アッパーをぶち込み「五月蝿うるさい!」と抑え気味にくれてやる。


「げふうぅ」と鳴いた所をみるに良い具合に入ったみたいで何よりだ。



 冗談はさて置き。 実際あんたはどちら様よ? と聞くと、俺達と同じで冒険者だそうだ。


 同じ宿に部屋を取っている竜人のエミリオ=ラグランシェと言うらしい、職業はガーディアンだそうだ。


 どうも俺達の募集張り紙を見て来たらしい。


 今は宿内なので武具一式は部屋に有るそうだが、本来は重武装で龍化状態が普通なので、俺の一発を貰ってしまったらしい。


 

 まぁ、宿で完全武装で来る様な馬鹿はこちらも願い下げで滅殺確定だけどね。


 ちなみに竜人族の特徴として半人形態と竜人形態があって姿が全く異なる、人の時も広範囲の皮膚が鱗で覆われ瞳の採光がアーモンド型、鱗の分布は人によって違う様だ。


 竜人の時はワニの様な顔立ちで角を持ち、全身を龍鱗が覆い非常に硬い。 更に翼と尾を持ち『龍の息吹ドラゴンブレス』を吐くのが特徴。



 説明するとすさまじいね、戦闘民族。 更に職能(職業固有スキル)も失わない。 難点は怠惰な性格の者が多い事。 生活スキルが壊滅的に苦手で魔力もあまり高いとは言えない。


 彼も例に漏れず魔法が苦手だそうだ、ブレス属性は火焔。




 ここ数日、暇が出来たらこちらを観察して自分に合うか考えてモタモタしてたら、仲間探しを止めて出発するって噂が聞こえたから急いで来たらしい。



 天然ってやつですか? そーですか。


 じゃあ、寝起きでする話でもないし身支度を整えてマリアも起こして近くの飲食店に入る事にする。



 ここはお手軽な値段で軽食が食えて、更にドリンクも付く冒険者に優しい店で味も中々。


 それぞれが飲み食いしながらだけど、さっきのやり取りをマリアにも教える。その後、エミリオの口からも「俺も他の冒険者と同じ様にお試しパーティーに組み込んでくれないか?」 と正式にお願いがあった。


 俺達はお願いされても良いかな~と思っていけど、「そちらの霊獣殿もお願いします!」 と言う言葉に「我は構わない。」と思わず言ってしまってからエバンをすまなそうに伺う。



 問題ないよと頭を撫でてやり「良いよ、まずはお試しで」 と返す。


 なんだか彼には敬語で反す気になれない(苦笑)


 ならば、まずはギルドで適当な依頼でもと言うと。



「その事だけども、俺が受け持ってる依頼を手伝って貰えないか? 期限は残り1週間、見付かったばかりの洞窟調査だけど、現場が遠くてあんまり進んでないのだ。 既に1・2階は終わっていて最後は3階のみかなって感触なんだけど、どうだ?」


 ごり押し感はあるけど、俺達がまだ受けた事の無い依頼で、挑戦してみるのはやぶさかじゃないけど、本来は雇う方なのにどうしてこうなった!? 最近おかしいなぁー、早く国に帰らなきゃ。


 ちょっと逃避しちゃったけどマリアが「調査の終わった場所の地図を見せて貰えます?」 と言うと、竜言語を呟きノートサイズの線図を呼び出した。


 驚く俺等……、魔法は苦手じゃ無かったんかい!?


「違う、違う。 これは魔法じゃなくて竜言法て言う竜人族の技法スキルで決まった言葉で決まった効果が出るんだよ。 昔、爺様に聞いたら血の力だと言っていたな? 俺にはチンプンカンプンなんだけどさ。」 ワタワタしながら弁明する。


 他にどんな種類があるのかは後で聞き出す事にして出された図を読込む。 割と広いようだけど通路は単純、記述には罠の類も無い様子。


「住み着いてる魔物は強い? どんなのが多い?」斜めの絵画を眺めながら


「龍化した俺よりは弱いけど、集団で襲ってくる獣ぽいのが多かった気がする……、後は偽装系イミテーターの魔物が幾らか……。」 何と言うか、良く一人で生き延びたな。



 流石に竜人、普通なら全滅の臭いがするよ。 だけど、この三人なら余裕かな。


「解った、手伝うよ。 報酬も悪くないしね。」実は連日の仕込み豪遊で所持金が危ないのも解消出来る。


 無駄に私物も売りたくないから尚更、断る要素が無い。





 --この後に街を出発、冒頭へと繋がる--




 エバンの技能スキルで見抜いた魔物はラロップスと言う一つ目の獣系魔物で、自分より弱い魔物を支配する能力を持っている。 そのため取り巻きが必ず居る厄介な奴だ、見た目も酷く恐ろしい、場合によっては気絶を堪えないといけない位。



 どうもここはラロップスの巣だったらしく現在も集団に囲まれていて絶体絶命だけど、エミリオが『龍の眼光』で引き付けつつ珠に火焔ブレスを吐いてくれるのでボスの殲滅に注力出来ている。


 彼は殺到する攻撃も盾で受け、時に避け、武器で受け流す事でほぼ無効にしている。


 これは頼もしいな、無傷とはいかないが脅威だ。



 ヘイルサンダも狭く巨大化出来ないが電光での範囲殲滅に貢献している。



 そうこうしているうちにマリアの自失魔法がクリティカルしラロップスは昏倒。健闘したが俺達には勝てねーさ!


 難敵の撃破で俺達のテンションは高い。



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