表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/59

お家にかえろう。 帰還の旅1




 圧縮される空気の悲鳴、収束する干渉光かんしょうこう、練成陣が消えると手の平サイズまで圧縮された鉄球が出来上がる。


 今回で三回目になる武器・防具屋の廃鉄回収も今ので最後だ。


 


 あれから更に一週間の療養の後、すっかり専属になってしまった医者のオベール爺さんのGO!サインも出たので、本格的に帰還の用意を始める事にした。


 いい加減、師匠にも心配をかけているだろうし、以前に出した書簡も届いているか怪しい。


 そろそろ行動に移すべきだろう。


 


 それに先日、上手い具合にハウルベル方面に向かう商人の護衛依頼も見つけたので道中で迷子になったり、食に困る事も無い筈。 どうしてか『知識の柔石』は、この世界についての検索には効果を発揮しないので元からの知識を基準に考えないといけないのだ。


 さいわい、商人のトスバル=ゼラブルさんとは明日の朝に合流予定なんで、この街で世話になった人達・商売に携わった人達に故郷に帰る事を告げて回り、ついでにいつ戻るかも解らないので廃鉄の回収契約も無期延期にして貰った。


 アネットなど、


「もうーあんな大怪我しないで下さいね? いつも危険な事をしてて心臓に悪いんですから!」 なんて泣きじゃくっていた。


 しっかり虜になった<ノームの憩い>入り納めにも向かい、キッツェン夫妻とも別れを惜しむ……、「餞別です。」 とカーマインさんから改築と同時に始めて貰っていた事業、温泉卵を頂いたりして過ごした。



 仕上げとしてもう一つした事。


 滞在中、上街の相互移送陣そうごいそうじんに出向く機会があって、じっくりと陣の研究・観察をしたんだけど、どうもあれはある空間Aと空間Bの仮想位置を折り曲げゼロに見せかける事で世界を騙す陣であるらしく属性的に俺には使えない。


 完全に魔術的仕組みだった。


 しかし、一部を改ざんして水属性に限定する事で移送能力だけは真似る事が出来るかなと思った……。 


 結果から言うと実行して成功したんだけど、やっぱり俺の様に水神族・または水に属する亜種専用ライン(ウンディーネとか竜人、海人など)になった。


 後は任意の場所で逆転させた同じ陣を練成するだけで繋がるのでハウルベルに着いたら繋げよう♪


 更に、旅に出るにあたって『亜空間バック』の大きさが足りなくなってきてたので錬金術でちょっとした小屋サイズまで容量アップ改造を施してみた。


 改造したらいけないなんて規約には無かったしー。


 



 





 --翌日--


 


 



 


 別れを惜しんでくれたアネットや爺・病院の皆との別れを済ませ、待ち合わせの乗り合い所に。


 トスバルさんが遅れている様なので、のんびりと装備品・消耗品の確認をしながら人間観察。


 


 俺と同じ様に依頼人待つ冒険者のグループや商人。 


 あるいは場違いな程に高貴な人達やこれから乗り合い馬車に乗るのか、今さっき済ませて来たみたいな別れをするグループ。 


 各地から荷物を満載した交易品を運ぶ岩ヤギ達と煩雑はんざつとしている。


 


 ちなみに地底では地形の悪さから馬は足を痛めてしまう為、もっぱら岩場に適した岩ヤギを使う場合が殆どだ。


 岩ヤギはどちらかと言うと魔物に近い種で、頭部に三本の刃の様な角を持つヤギで幼少時に仕込めば大人しく育つので重宝されている。


 俺が乗る予定の馬車も例に漏れず岩ヤギ車だろう。


 


 それから20分程遅れて、やっと合流。


 


 トスバルさんは地底人男性で恰幅の良い体系、頭頂部の空いた帽子に付属のグラサン。


「商談が長引いてしまって申し訳ない! 今回はよろしくお願いします」と握手を交わす。 


 彼は男女一人ずつ使用人を雇っていて、一人は女性の地底人種でシャンテさん。


 ゴーグル型のサングラスにハーフマント動きやすい服装。 多分、年齢もそんなに離れてはいないと思う。


「よろしくおねがいしまーす」と緩そうに返してきた。


 最後にもう一人は魔族・多分、男性でマイク。


 少し構えてしまったが、制御が甘く幼い様子……、容姿はまんま歩く犬。 異界で言うハスキー犬に酷似こくじしている。


 モフモフしていて可愛らしいかも? 服装は落ち着いた色の薄いロングコートで下にエプロンを着けている。


「えっと、よろしくお願いしまつ?」って言った後、トスバルさんに首を傾げてお伺いを立てていた。


 良いね! 





 トスバルさんが主に扱うのは軽い武器や防具・香辛料に日用品など、時には植物の種なんかも扱うようだ。


 行商ルートはイストフラロウから西へ、中継都市キンドマックを経由して南下するルートを使用している。


 

 俺はキンドマック迄の8日間を護衛しながら同行し別れてから北上……、岩壁の村から東に向かいハウルベル魔道国に入るつもりだ。


 

 街道に沿っての旅なのでたいした危険も今のところ無く、カナン、シグウェと小さな村を通過。



 3日目の夕方にルインナラカと言う宿場町に宿をとり、久しぶりの自由時間となった。




 途中に村に寄ったからって、満足な食事にありつけた訳でもなく、肉と酒の魔力に勝てず酒場に直行!




 テーブルに乗り切らない程の料理を頼み、届く先から丸かじり。





 どうも神族化し始めてから相当に食べないと満腹感を感じなくなってしまったので困ってしまう。



 今日みたいに我慢が効かない時も増えた。




 一通り食い散らかし酒場で飲んだくれている皆の見世物になってしまったけど、仲良くなった町人達から不穏な噂を聞いた。




 なんでもここ最近、魔族と神官が率いる盗賊団が暴れていて危険だから、護衛をするなら十分気を付けろ。


 この近辺を根城にしているらしく、騎士でも歯が立たない。


 曰く、死の魔法を使う魔女神官が居てかなり怖いなど、色々と物騒だ。



 この辺は早く抜けるに越した事無い様だ。


 もう一日程、商談で時間がかかるそうだから少し調べてみようかな?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ