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イストフラロウス

 その後、一週間ほど病院で療養し初対面の印象が芳しく無かったアネットとも大分仲良くなり、左腕の骨折もかなり良くなったので吊り布も外せる事となった。


 療養中、流石に公衆風呂に入りに行く事は出来なくて体を拭く程度しか出来なかったので不快指数も限界!


 最終的にここに風呂場を作るなんて事も考えたりしたけど、自分の部屋でも無いのに錬金術で風呂を造り付けるのも如何いかがなものかと躊躇ちゅうちょ。 しかも俺みたいに無尽蔵に水が出せないと効率的に使えないしで実用性も低い。


 なんで今日は公衆浴場に行き、冒険者ギルドにも寄りたいと医者に相談したら孫のアネットを案内に付けるならと許可をくれた。


 (ちなみに水”が無尽蔵に出せる”も水神の加護です。)


 ネックだった背中の刺青は『偽装の指輪』で隠蔽いんぺい済みだから無問題!


 



 とりあえず、「捕食プレデーションシックル」を一振りだけ持って、約束通りアネットを共に出発。


 考えてみると、ずっと寝台で魔道書や宝珠の検索ばかりしていたので街を歩くのは二回目になる。 


 なんかテンション上がってきた!


 折角、大都市に来たんだから勿体無いよね。


 すると


「今日は何処に行くんですか? お爺ちゃんたら詳しく教えてくれなくて。」


 歩きながら困り顔でアネットが溜息を吐きながら聞いて来た。


「ほら、療養中は色々あって風呂に行けなかったしなー? 怪我もそうだけど、刺青とか。」


 

 納得の表情で、


「あー、背中の……。 あれは確かに大きいですし派手な色ですものね。


 けど問題が解決してないと思うんですけど?」


 にまにましながら指輪を見せて。


「昨日、やっと偽装用の魔道具が出来たんだ♪」


 なんてやり取りをしながら雑貨店やら八百屋などを冷やかしながら下街へ。


 

 


 イストフラロウスは立地上や治水設備の関係で、下街にしか浴場が無いが数は地底世界でも稀有けうな程に多い。


 今回はあんまり盛況な店に行きたく無かったので中堅どころの<ノームの憩い>浴場に行く事に。


 <ノームの憩い>は地底人・人間・翼人推奨の浴場で、一度に沢山の人族が入浴出来るのが最大の売りらしい。


 番台のお姉さんに450札を渡して、別々の入り口から中へ……。


 すると何故か中でもう一度、一緒の部屋になっていて、おまけに混浴だった!



「なんでやのん!」


 

 思わず叫んじゃたよ! 


 すみません、お願いだから不審がらないでごめんなさい。


 


 てか、しかし宝珠で学んだ知識と違うから! 


 アネットも普通にしてるし、皆も気にしてないのか手早く洗って出て行く。


 これって普通なの!?


 


 えぇ~、温泉ってのんびり癒しに浸るもんじゃないの~?


 前情報で期待し過ぎていて気分ガタ落ち。


 余りにも癪だったので番台の姉さんに質問した所。


 

 1・混浴なのは建て始めた時、単純に資金が足りず工賃を安くして貰ったからだと言う。


 2・混浴は自分も恥ずかしいと思うが、店を継いだばかりでまだ蓄えが無く改築に踏み切れないと言っていた。


「もし良かったら、俺に改装の手伝いをさせて貰えませんか? いくらかの案もありますし、俺は錬金術を学んでいるので工費の面でも役に立てると思いますよ?」


 と、提案してみる。


 


 相当~悩んでいたけども後日、旦那も交えての話し合いなら良いと言う事で、二日後のこの時間にまた来る事に。


 とりあえず、さっぱりした二人は冒険者ギルドに移動。


 以前、書いた書簡の返事が無いか聞いたが、まだ返事は無いそうなので片手でも出来る依頼が無いか探す。


 すると、薬剤調達の仕事と解体作業の二件あるとの事。


 薬剤の方はポーション作成依頼と風邪薬の作成依頼だったので、昨日実験で馬鹿みたいに大量に作った物と以前作った解熱剤を納品して即換金。


 12000札の稼ぎになったので大分気持ちが楽になった。


 解体作業の方も錬金術で出来そうだったので、これから依頼主の元に契約に行く事にする。


 



 今回の依頼主は下街に住む鉱石大工でヒルベルトさんと言うらしい。


 ちなみに鉱石大工とは地下都市や半地下の居住スペースで主に石や宝石建材での建築をする職業、地底人に多い。


 新しく建設する場所にとても硬い鉱石が居座って困っているので、壊せるならお願いしたいと言うがどの位硬いんだろうか?


 まずは見てみてくれって事で現場に移動したけども、これは凄いね。


 


 精神集中して宝珠の検索を使用。


 導き出された答え、多分これはクリスタルじゃ無いのかな? しかもでかいし、そりゃー割れないよ。




「ヒルベルトさんこれ相当硬いんで、提示されてた謝礼だと厳しいですね。 


 もし破壊出来たら、この鉱石を分けて頂けるなら受けますがどうでしょう?」


 クリスタルの強度を説明するついでに利用価値も教えると理解してくれ了承を得た。


 



 いつもの様に詠唱。


 突き出した右手の平、前方に魔法陣が浮かび上がる。


『烈火の巨人 一つは二つ 二つは四つ 痛みと共にそが身を別て 分離破壊パージアウト!』


 石の表面にも特大の蒼い練成陣が浮かび暴風が吹き起こる。


 連鎖する様に小型の陣が足されては弾け、足されては弾けして緊張が頂点に達した瞬間……、大量のステンドガラスを砕いたかの様な、けたたましい爆音と共に四散した。

 

 


 久しぶりに全開全力で、苦手な直接系の錬金術を使ったので息が乱れる。


 魔力を沢山使い過ぎたので少し休ませて貰ってから、追加報酬としてクリスタル原石を10Kgくらいと確認サインを貰い上街に向かう。


 ……途中、鍛冶屋や武器防具屋とかで、良く廃鉄や劣化武具が見受けられるけどどう処理してるんだろう?


 今度、調べてみようかな。


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