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事故物件404号室  作者: ゆずさくら


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2/3

第五中学

 同じジャージを着た学生が、駅からぞろぞろと歩いている。

 彼らの向かう先は同じ『第五中学校』だった。

 中学に通う生徒は、周囲の人の邪魔にならないよう、歩道を一列になって歩いていた。

 周りと比較して、体が大きな男子学生が、前を歩いている生徒に言う。

「ノリ、朔夜(さくや)失踪したってホントかな?」

 ノリと呼ばれた生徒は、顔を横に向け横目で後ろを見た。

「失踪ってか、もう動画配信するの嫌になったんじゃない。もう、相当稼いだっしょ」

「まあ、そうかもだけど。予告したまま終わることないじゃん」

 ノリは考えた。

 動画配信者の『朔夜』は『朔夜の心霊踏査チャンネル』というものを持っていて、次は『事故物件に住んでみた』という内容を作っているという予告をしていた。

 ある程度、映像も撮り溜めてあったようなので、ここで止まってしまうのは誰もが変だ、と思っていた。

「レンはどう思うんだよ」

「あちこちのチャンネルで本当の『失踪』だって言っている。動画に撮ってた場所が、ヤバヤバの『事故』物件だったって噂だし」

 周りの生徒も二人の会話を聞いているようだった。

 レンとノリの間に、女生徒が歩いていた。

 ノリよりは背が低かったが、それでも平均よりは背が高い。

 その女生徒は、高めの位置でポニーテールにしていた。

「私、朔夜を見ちゃったかも」

「ヒナ、急に変なこと言うなよ。ウソだろ!?」

 三人の中で先頭を歩いていたノリが急に歩く速度を落とす。

 中学校に向かう列の、前後間隔が詰まりレンはポニテの女性の肩を押すような形になった。

「あぶねえだろ!」

 ノリの前を歩いていた生徒がそう言って道を戻ってくる。

 そして原因となったノリの襟を引っ張り、強引に歩かせ始めた。

「アズマ。やめろよ、猫じゃねえんだから」

 ノリがそう言うと、アズマと呼ばれた男が言う。

「ヒナとなれなれしく話すなよ」

「関係ねぇだろ」

 二人は登校の列から外れてしまった。

 ノリが、アズマの襟を掴んで睨みつける。

「お前、まさかヒナのことが……」

「んなわけねぇだろ」

 掴まれた襟を引き剥がすと、アズマは登校の列に戻ってしまった。

「?」

 ノリが振り返ると、ヨウコと目があった。

「……」

 ヨウコはすぐに視線を逸らし、通り過ぎていった。

 ノリはレンとヒナに先に行かれてしまい、一人で登校の列に混じると、学校に向かった。

 第五中学校の門には屋根が付いていて、人用ゲートが並んでいた。

 まるで大きな駅の自動改札のようだった。

 生徒は、学生証か学生証をスマホに入れているものはスマホを、そのゲートにかざして入る。

 本人確認のため一瞬だが、ゲートの装置に名前が表示される。

 ノリもゲートを通過すると自分の教室に入った。

 教室ではレンとヒナが、ノリの席近くで話していた。

 近寄っていくとレンが言う。

「ノリ、例の朔夜の話、マジだったらやばいぜ」

「どういうことだよ」

 それを受けて、深刻そうな顔でヒナが言う。

「朔夜、死んだかも」

 ノリは、二人から話を聞き出した。

 ヒナは母親の誕生日で、隣駅の高層ビル上層階にあるレストランで食事をした。

 母が珍しくお酒を飲んで、帰る時間が遅くなったらしい。

 父親が車を回してくる間、ヒナが母親に肩を貸して地下の駐車場を歩いていた。

 すると突然、ダークグリーンのヘルメットを被った戦闘員のような男たちが、横を走り過ぎていった。

「なんか、銃みたいのを持ってた」

 ヒナが格好を真似して見せる。

「映画じゃねぇんだぞ」

「本当に映画みたいだった」

 ヒナは続きを話す。

 地下駐車場の奥で、妙な音と光がした。

 気になったヒナは、お母さんを壁沿いに座らせて音がした方向に歩いた。

「大きな装甲車が止まっていて、ぐったりしている男の人を数人で抱えると、車両に乗せようとしていたの」

「ぐったりしてたのが朔夜?」

 ヒナは頷いた。

「二の腕のサクランボの刺青。間違いない」

 レンが言う。

「そんなやばい連中のことを見ちゃったとして、ヒナもやばいんじゃない?」

「……慌ててママの介抱をする真似をしたから、大丈夫…… じゃないかな?」

 言いながらも、次第に不安げな表情に変化していくヒナの顔を見て、ノリは笑った。

「大丈夫。何かあったら俺が守ってやっから」

「そっちの方が心配だ」

「なんだよ、レン」

 ノリがレンの腹を軽く叩くと、三人は笑った。

 笑顔は一瞬だった。

「朔夜、殺されちゃったのかな?」

 ヒナの言葉にノリは唇を噛み締めた。




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