5033-76B
ダークグリーンのヘルメット。
あたりは暗く、そのヘルメットは視認しずらい。
それには目立たない黒い字で「C.O.R.P.S.」と書かれていた。
ヘルメットにはバイザーが付いていて、情報が映し出されている。
そのヘルメットとワイヤーで繋がったイヤホンが右耳に伸びて、バイザーの情報と共に指示を受けているようだった。
指示を受けながら、男は街をゆっくりと歩いていく。
街には高層のオフィスビルと、ショッピングなどの商業ビルが雑然と立っていた。
特殊繊維で編み込まれた戦闘服を着た男の向かう方向にも、大きなビルが立っている。
同じヘルメット、同じ戦闘服を着た男が、どこから一人、また一人とやってきて、合流していく。
「5033ー76B…… このあたりなんだが」
「注意しろ、民間人もいるぞ」
「この格好は、撮られても平気だって聞いてる」
同じ地区にいる男たちに一斉に指示が入る。
「無駄口叩くなとさ」
「あれか?」
男たちの視線の先に、半袖を着た男が歩いている。
半袖から二の腕に施された「さくらんぼ」の刺青が見えた。
「試せばわかる」
一人が半袖男に向かって走った。
銃のようなものを抜いて、男の頭に向ける。
銃には「銃口」がなく銃身が二つ、並行して付いていた。
ドローンを落とすための銃を小さくしたような格好だ。
ヘルメット男が引き金を引いた。
その銃からは音も光も発せられないため、周囲から見ても『撃った』とは思えない。
だが、半袖男はかすかに痙攣した。
「!」
同じヘルメットをつけた男たちは、瞬間的に警戒体制に入った。
「……間違いない」
半袖男は、急に周囲を見回すとヘルメットをつけた男たちに気づいたようだった。
『仕留めろ!』
イヤホンから指示がとぶ。
「民間人が!」
突然、銃と半袖男との間に酔った男が入ってきたため、引き金を引くのを躊躇した。
その一瞬で、半袖男は彼らの視界から消えてしまう。
『なぜ撃たなかった!』
指示をしている男を含め、彼らが何故ヘルメットを被っているか、理由を知っている。
「民間人を危険に晒すわけには」
『奴を逃せば、より多くの民間人が危険な目に遭うんだぞ』
「C.O.R.P.S.」と書かれたヘルメットを被った一団は、静かに、そして素早くやってきた装甲車に乗り込み、消えていった。




