第11話 文化祭の約束
「今日の映画良かったね」
「いやあ、思ったより良かったよ」
家に帰ってからも彼と電話で話している。
「また映画見に行きたいね」
「もちろん! 次は何見に行く?」
「そうだなぁ……すぐ思いつかないや。また考えとくよ!」
きっとこれでまた彼と映画を見に行くことができる。
その事が本当に嬉しかった。
「そういえば、今度学校で文化祭あるのだけど来ない?」
なぜかその言葉が自然に口から出た。
「おー文化祭近いんだ。いいね! 行くよ」
彼は来てくれるそうだ。心が弾む。
「クラスでは何をやるの?」
「フライドポテトをやるよ。簡単だから良いだろうってすぐ決まったよ。みんな他の所を回りたいから大がかりなのはやりたくないんだって」
「それなら一緒に他の所を回る時間があるってこと?」
「そうなるね。一人三〇分も屋台を担当しないし、準備だけ参加して後は何もしない人もいるよ」
「それは楽でいいね」
「そっちの学校ではないの?」
今日はとてもよく口が回る日だ。
「あるのだけど、まだ先だね。他の学校と時期をずらしているんじゃないかな」
「じゃあ、今度はそっちにも遊びに行きたいな」
「うーん。そうだなぁ。何するか、まだわからないからその時また言うよ」
これまでと違って彼の反応が鈍かった事にが気になった。何か気に障るようなことを言ったのかもしれない。今日は話しすぎている。
「わかった。また教えてね」
「そうだね」
やはりそうだ。
彼の声音があまり乗り気じゃないことを伝えている。
どうしてなのだろう……。
ここは嫌なら大丈夫だよ、と伝えるべきなのだろうか。だけど、それを伝えてしまうと本当に嫌われてしまうかもしれない。
これまで友達が居たことがなかったせいか距離感がわからない。
距離を誤って彼の内に入り込みすぎているのかもしれない。
そろそろ、電話を切って寝るべきなのだろう。
今日はきっと疲れているのだ。
そう疲れている。二人とも。
「今日はそろそろ寝るよ」
「そうだね。今日は楽しかったよ。ありがとう! おやすみ」
そうして彼との電話が切られた。
彼の“ありがとう”という言葉は本心に思えた。
少し引っかかる所があったが、こういうのを気にするのが悪い癖なのだと思うことにした。忙しくて文化祭を一緒に回ることができないから消極的な返事になったのかもしれない。
そう思ったほうがいいだろう。
それよりは先に約束した文化祭のほうを楽しみにしなければ。
楽しく彼と文化祭を回れるのだろうか。
その事を心配するほうが先なのは間違いなかった。
(続く)




