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面倒な幼馴染の話

作者:

私には将来を誓い合った幼馴染みがいた。誓い合うと言っても書類のやり取りをしたわけでは無い。よくある子供同士の可愛い口約束だ。たとえ口約束でも私は将来隼人くんと結ばれるのだと夢見ていた。

親同士が学生時代からの友人で私達家族がこの街に来る際、家も隣同士にしないか、となりトントン拍子で話が進み、今に至ったらしい。初めて会った時あまりにも綺麗で驚いた、色素の薄い淡いサラサラの金髪、飴玉みたいに美味しそうなマスカット色の瞳、ビスクドールのような透明な肌、まるで女の子の様に可愛らしい顔つき。私はそんな彼に見惚れた。しかしそんな彼から出たのは私を蔑む悪口で、子供ながらにこいつとは絶対遊びたくない。と怒り心頭だった


翌日、お詫びがしたいと呼び出された。親には散々行きたく無いと駄々を捏ねたがあまりに真剣な隼人くんに負け連れて行かれた。そこは隼人くんにとってお気に入りの場所である丘の上の小さな公園と紹介された。何か落ち込むことがあるとよく来るらしい。そこで誠心誠意謝られた。あまりに必死なので可笑しくなり謝罪を受け入れた。

そこで一緒に見た夕焼けの街並みはすごく綺麗で、大切な思い出になった。後日親に彼の容姿について聞くと、彼の母はイギリス出身で学生時代日本に来たらしくそこで出会った彼の父と付き合い結婚して生まれたのが隼人くんであの容姿は母譲りのものらしい。


それ以降隼人くんは私を他の意地悪な男子達から守ってくれた。私は、小さく幼い頃は体も弱かったため虐められやすかった。そんな私を毎回守ってくれる隼人くんに次第にに惹かれて行った。学校帰りいつもの定番になった公園に呼ばれ、震えた手で、花の指輪を渡してくれた。「一生大切にするから将来結婚しよう」と言葉を添えて。あまりにも嬉しくて涙が出た。私も隼人くんが大好きになっていたから。勿論告白を受け入れた。家に帰り家族みんなが祝福してくれた。まあ子供の約束だからそんなに間に受けてはいなかったとは思うが。


小学低学年の頃までは好意を口や行動で示していたが、いつしかお互い高学年になり別々の友達ができ、四六時中一緒にいることはなくなっていた。それでも家族間での交流や登下校では普通に話す程度には仲が良かった。

中学に上がる前から、社交性が高く、運動神経が良かった隼人くんはクラスの人気者。大人しめな私は本を読むのが好きだったので似た様な子達と一緒にいた。お互い少し距離ができていたが、あの時から欠かさず好意は伝え続けていた。最近は鬱陶しくなってきたのか余り返事を返してくれなくなってきていたが、あの約束があるのだから私たちは将来結ばれるのだと思い込んでいた。後に纏わりついてくる厄介なただの幼なじみだと隼人が放課後、男友達に言っている現場を見るまで私は幸せな未来を信じ切っていた。


そんな現実が信じられなくて翌日登校する際、隼人くんに”私は隼人くんが一番好きだけど隼人くんは私のことどう思ってる?”と聞いた。返事は顔を逸らされ”普通”とだけ。愕然とした。好意は一方的なもので彼はなんとも思っていないのだと。

それからすぐ入学した高校で”約束”を忘れた彼は呆気なく彼女を作り、登下校は彼女とするからもう私とは帰らないと言われた。

結局あの約束に固執していたのは自分だけで、なんとも独りよがりで滑稽だと思った。私はこの時初恋を諦めた。


結局当時の彼女とはすぐに別れた様だったが、すぐに新しい彼女を作っていた。それからも何人かと交際をしたりセフレも作っていた。なにぶん家が隣同士で窓をを開けるとすぐそこが隼人くんの部屋で何回か二人の行為を意図せず見てしまっていた。何回か見るうちに何にも感じなくなったが逆に嫌悪感が凄まじく兄に部屋を変えてもらった。事情を説明すると嫌がられるのはわかっていたので何にも言わずに変えてもらった。まあすぐに察されて憐まれた。代償は半月分のお小遣い30%の献上で許してもらったのだが。

正直、すぐ隣の家に隼人くんがいると思うと気持ちが悪かったがまだ高校生なので勝手に出ていけない。


大学ははなんとか隼人くんと同じ学校は避け隣町の女子大に通った。入学式で私がいないと知った隼人は私の家に来て”なんで同じ大学じゃ無いのか”と言ってきたが、”お前の女関係に巻き込まれたく無いから”と返事した。勝手に恋人やセフレを作るのはいいが、歴代の女が必ずと言っていいほど私にイチャモン付けてくるのはどうにかして欲しい。他人を巻き込むな。それに私が専攻したかった学部があるのがそこなんだから仕方ない

そんな高校時代があり私は隼人くんが何をしても入学できない女子大を選んだのだ。すると会えないとなると寂しくなるのかなぜか下校時校門に出没する様になっていた、はっきり言ってストーカーだと思う。そしたら案の定、例のイケメンは誰だと大騒ぎ、隼人に近づこうとする女達はたちまち隼人くんに食われて行った。あいつは掃除機人間なんじゃ無いかと真剣に考えた。だって本当にすごいのだ。彼の吸引力は、もはや嫌悪を通り越して呆れるほどに。あいつはいつか痛い目にあう絶対。そんな隼人くんから逃げながら通っていた大学だったが、なんか面倒になり。海外にある大学に転入することにした。幸い私の学力があれば成し遂げられたため一年の後半からあちらに通い直すことになった。親にはかなり迷惑をかけて申し訳ないがどうしても我慢できなかったのだ。私の家族、隼人くんの家族は今でも仲がよく、今までの事情は相談できなかった。私のせいで交流がなくなるのは気が引けたのだ。余分にかかった学費はバイトを増やしてなんとか返すと言ったら心配しなくていいから、しっかり勉強してこいと背中を押された。これからも頭が上がらないだろう。

転入の件は隼人くんに知らせないで欲しいと両方の家族、友人に根回しをして入学式当日までなんとかごまかし切った。何度か冷や冷やしたが、正直もう大変面倒なので関わりたく無いのだ。


それからは充実した日々だった。彼の煩わしい彼女達は変な言いがかりをつけてこないし、何より彼に付き纏われなくて清々した。卒業までに最高の学生生活を終え、帰国すると、リビングに奴がいた。久しぶりに見るからかなんとも思わなくなっていた。私に気づいた隼人くんは、”今まで不甲斐なくてごめん、いっぱい傷つけてきた。でも戻ってきてくれて嬉しい昔みたいに一緒にいたい。今度こそ俺の恋人になって欲しい、子供の頃からずっと舞が好きなんだ”と言われた。


え?お前私のこと好きだったの?

子供の頃から?ありえないだろー流石に嘘でしょーとなった



「子供の頃から好きだったとかさすがに嘘でしょ?何帰国早々ドッキリ?面白く無いよ?」

「嘘じゃ無い。初めてあった時から舞の事好きなんだ」

「それこそ冗談でしょ?だって隼人くん今まで彼女作ってヤリまくってたじゃん?」

「ヤッ???舞なんて下品な言葉を?!今までそんな汚い言葉使ってこなかったじゃ無いか!!」

「どういうテンション?こわ」

「茶化すな、それに彼女達はほとんど…その…せ…」

「あーセフレね」

「舞!!!」

「うっさ?!え?なんなのこわ、私の親なの?、まあいいや、殆どセフレ?だから何?もし仮に私のこと好きってのはわかったよ。でもなんで私に直接告るなりして来ないで私の周りの女達食いまくってた訳?」

「誘われて、なんとなく」

「はぁ?誘われたから?ゆきずりで?クソヤリチンじゃん。」

「…相手も一回だけでいいからって」

「恋人になる気もないのに食ってたの?性欲が抑えられなくて?え?猿なの?ごめん本当にわからない。」

「女には分からないだろうけど、そういうもんなんだよ」

「思春期の男はそんなもんって言いたいの?隼人くんがそうなだけでしょ?それに童貞は早く捨てたかった?私が夢みがちなメルヘン脳なのはメチャクチャ自認してるつもりだけど、それでもやっぱりそういう行為は一番大切にしたい人としたいと私は思うんだよ。それと出来れば初めて同士がいい。わかってるよ。願望だよ!!!」


昔から私はそんな子供だった。だから簡単に初めてを散らす周りの子を見ると不思議だったし、漫画や小説で出てくる女の影が多いヒーローを見てそんなヒーローを選ぶヒロインにも嫌悪があった。多分両親がそもそも学生時代から一切よそ見をせず結婚までいき今でも仲睦まじいのを見たから、そんな恋人同士に憧れがあったのだと思う。


「でも舞は俺のこと好きだろ?」

「そりゃ好きだったよ。でも過去形ね。隼人くんに彼女やセフレができ始めてから、そういう対象で見れなくなった。なんか気持ち悪いなって。幼なじみでいるのはいいけと恋人になる事はないだろうなって」

「…っ!だから俺から逃げる様になったのか?」

「うーんちょっと違う、隼人くんの彼女さん達から色々言われて面倒だなーて、だから離れた」

「…何を言われてたんだ…?」

「んーめんどくさいなぁ。よくあるやつだよ。”私の隼人に近づくな””唯の幼なじみの癖してなに様のつもりだよ””お前じゃ一生隼人くんの彼女になれない”とか」

「そんなことを…」

「あとは似たり寄ったりかな、あ、仮にだよ。付き合うとして、隼人くんと同じ回数他の男としてきて良い?それからだったら付き合ってもいいよ。」

「それは可笑しくね?矛盾してるだろ、大切な奴としかヤんないって」

「まあ矛盾してるかもね、でもさ、もし付き合うならって話だよ。それに私だけってなんか不公平だと思うの」

「舞には俺だけ知っていて欲しい」

「なんでそんなに嫌そうな顔すんの?私が隼人くんのこと好きだったの知ってて女との行為見せてきたじゃん。ならそれ私もやって良いと思うけど…ダメなんだ?」


今思うと隼人くんはわざとカーテンを開けて事に及んでいたんだろうな。そういう趣味でもお持ちなんだろうか?


「あれは…」

「あ、それと、今私彼氏いるから。これから彼が挨拶くるから早く出て行ってくれない?」


途端この世の終わりみたいな顔をする隼人くんを見て本当に彼はなにがしたかったのだろうかと不思議に思った。


「じゃ、私荷ほどきするから部屋いくね」


そんな隼人くんを置いて二階にある自身の部屋に向かった。


読んでいただきありがとうございます。初めての投稿になります。誤字脱字ございましたらコメント頂ければと思います。


追記、昨晩一気に書き上げて初めてあげてみましたが、小説になろうのシステムって凄いですね。読者様に訂正いただいてすぐに反映できることに驚きました。読んでいただき感無量です!

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― 新着の感想 ―
何言ってるんだろうコイツ感が凄かった。 主人公の人生の中でコイツがどうでもいい存在に成り下がっていた感じが そのまま文章化されてるんじゃないかと思うぐらい引っかからなかった。
実際にいそうではあるので存在はおかしくないが、この男言ってることが支離滅裂。 一言で言えば、なに自分だけに都合の良いこと言っちゃって純情ぶってんの?だな。 男の私から見ても気持ち悪い。まだ体目当てで口…
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