対魔神戦⑥
祐人の戦闘を目の当たりにした四人は絶句した。
相手が魔神だという前提条件が信じられなくなる。
これには俊豪でさえ驚愕している。
「あ、あの野郎やりやがった。なんて奴だ。あいつのあの力は何なんだ。俺でも想像ができねー」
これだけのことでも理解が及ばないのにもかかわらず俊豪にはさらに驚く点があった。
「あいつのさっきの術は……俺の知っているものより戦闘に特化しているようだが間違いねー、あいつは霊剣師だ! おいおいおい! ふざけんな!」
そこに今、魔神を屠ったばかりの祐人から怒声が響き渡る。
「何をやっているんだ! 今のうちに秋華さんの意識に話しかけろ! もうすぐその結界も破られるぞ」
英雄と琴音はハッとするとすぐに行動に移った。
「分かった! あ……?」
「はい! え……?」
返事をした英雄と琴音は困惑した。
頭の中で自分たちに指示を出してきた少年の名前が浮かばなかったのだ。
知っているはずの人間だ。
それは間違いない。
だから指示を受けて当然に返事をしたのだ。
不可思議な感覚に囚われた二人だが今はすべきことがある。
英雄と琴音は左右に分かれて斉天大聖の至近で立ち止まり大声を上げる。
「秋華、分かるか! 俺だ、英雄だ! 意識を取り戻せ!」
「秋華ちゃん! 琴音だよ! 返事して! あなたは秋華ちゃんなんだよ!」
斉天大聖は煩わしそうに多重結界の中から如意棒を構える。
すると小枝のように如意棒を振り回しギンと目を光らせた。すると周囲を切り裂くような膨大な赤い霊力が斉天大聖に集まる。
「うるさいぞ! お前らもこの結界も! 俺が破壊を得意とし天界の奴らでさえ俺を恐れたことを知らねーのか!」
結界内部から途方もない力を秘めた突きが繰り出される。結界が大いに揺らぐが何とか持ちこたえた。
「俊豪さん!」
「わーってる! お前ら俺の左右に付け!」
俊豪が現れ英雄と琴音の真ん中で結界が破壊された時のための対処に備える。
「こんな時に考えることが多すぎんだよ! あー、あいつの名前なんだっけか! まあいい! とにかくお前が東の海から渡ってきて、仙道使いと繋がりがあり、超越した剣技と結界術をもった霊剣師ってのが問題なんだ!」
直後、斉天大聖が再度、突きを繰り出すと結界が砕け散った。
その時の余波が琴音と英雄の態勢を崩す。
「ハッ!」
斉天大聖は構わず如意棒を横に薙いだ。
「お前ら伏せろ! ええい!」
俊豪が魔神斉天大聖の如意棒を渾身の力で迎え撃つ。
青龍偃月刀と如意棒が激突し互いからの超高密度の霊力が触れプラズマのようなものが周囲にまき散らされた。
「貴様もやるな! これは楽しめそうだ……な!」
斉天大聖が嬉しそうにニヤリと笑うと俊豪の体が浮いた。
「ぬうううあ!」
そのまま俊豪は吹き飛び岩壁に激突した。




