表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
102/416

偽善と酔狂の劣等能力者⑥

 首都ネーピー

 嬌子は白のブラウスとジーパンという姿でネーピーの街の北側に位置する最も高いビルの屋上に立ち、ロキアルムが召喚した大群の妖魔がネーピーに向かい動き出したのを莞爾とした顔で見つめた。


「ふふふ……プププ! 来た、来た!」


“嬌子! こっちも動き出したよ!”


「白ちゃん、オーケーよ。みんなはどう?」


“来やした!”

“ウガ!”

“いつでも迎え撃てる”

“動き出しましたー、すごい数ですー”

“……やれる”


「みんなやる気ね! 分かるわ~」


 嬌子は嬉しそうに、妖魔の大群を眺める。

 嬌子のいるビルの下では避難する市民と事実上の国主のカリグダが逃げたことで指揮機能が不十分な軍が迎撃に向かおうとごった返している。


「そうよね~、祐人のあんなに真剣な頼みだもんね~。これだけのことが、こんなに嬉しいなんて私も思わなかったわ~。じゃあ、みんな! 祐人の言いつけ通り、マットウさんの援軍ってことで行くわよ!」


“分かった! 偉そうな軍人さんに声をかければいいんだよね!”


「そうよ、ちょっと無理があるとは思うけど、声は絶対にかけておいてね。どのみち、化け物どもが来ている時点で普通じゃないんだから、私たちの働きを見たらきっと喜ぶわよ~、もちろん、祐人もね」


“心得た”

“はいー”


「ふふふ、みんな分かってると思うけど……祐人はきっと褒めてくれるわよ? しかも、今までにないぐらい! もしかしたら……ご褒美をねだっても許してくれるくらい、かも?」


“!”白

“!”スーザン

“!”サリー

“!”傲光

“!”玄

“ウガ!”


「さあ! そろそろ行くわよ?」


 嬌子の頭の中に、全員の気合が伝わってきた。

 これまでにないくらいの、やる気が嬌子を喜ばせる。

 すると嬌子は、今いる15階建てのビルの屋上の端で優雅にクルリと体を回転させると、衣服はゆったりとした着物姿に変わり、また、嬌子の身の丈くらいの、金の下地のみやびな扇が忽然と現れ、それを手にする。

 そして……嬌子は空気を薙ぐようにその扇を広げて、街に迫る妖魔の大群の方向にさし示した。


「祐人一家、出陣よ!!」


 嬌子の明るく、大きな声がミレマーの首都ネーピーに響き渡った。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ