表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

93/370

【ヴァルフェリアオンライン】首なし


ログイン十六日目。

『Fatum Essence Online』のレイド戦、開始じゃああああああ!!!

とはならず。

忘れられているかもしれないが、私は『FEO』のログインを夜限定にしているのだ。

まだ、ログインしたい気持ちは抑える。


今日はいつも通り『WFO』からログインをする。

無料ガチャ……成果なし。マーケットの収入は憎いほど順調であった。

漫画も結構購入者が増えてる! いいぞ~。この調子だ!!

プレイヤーからの購入はほとんどないけど!


「おい、オーギノ!」


と、畑の脇から怒鳴られた。

声の主は、不動産屋のヘルメースさんである。

小屋を注意されたのかとドキっとしたが、彼はあるものを指さしていた。

()()である。


「こんな陳腐なデザインの看板を立てるな! この国の景観に似合わないだろう!! 即刻、撤去しろ!」


「私だってこんな看板立てたくないですよ……」


タク対策(?)で私は前日にあるものを作成、畑のあちこちに設置しておいた。


日本語で分かりやすく『立ち入り禁止!』『畑を荒らすな!』『人の畑に手を出さない!』という内容を、ファンシーな子供風に仕立てたものだ。

作っておいてなんだけど、子供向け過ぎて設置する方が恥ずかしいよ。

ただ、精神年齢が子供であろうタクにはテキメン!のはず!!


「残念な話ですが、勝手に人の敷地入ったりする非常識な方がいらっしゃるようで。その対策です」


「私が指摘しているのは注意書きそのものではなく、デザインだ! 景観にあったものにしろ!!」


「そうしたいのも山々なんですが……」


「ふん。仕方ない、お前のデザインセンスが壊滅的なら、私が代わりにやってやろう」


頼んでもないのに……

というか。多分、看板のデザインをやりたいから来たんだろうなと察した。

私は仕方なくお願いしようとした時。


「僕にも手伝わせて下さい!」


と、まさかの横槍。

ええ!? ここでタクの登場だって!

私達が会話してた隣に、いつの間にか黒髪黒目のモブ顔がキラキラしたドヤ顔を披露しつつ。

急に話へ割り込んで来たもんだから、呆然としていた私を他所に


スパーン!


畑全土に破裂音が響き渡る。

怒りの形相でヘルメースがタクの顔を(はた)いた。

彼としては、軽くビンタをしたつもりなんだろうが……そこにはタクの首なし胴体があった!?


え!? 結構グロイ!!?

断面から流血ではなく赤のポリゴン粒子が溢れているけど……え? く、首もげた? ぶっ飛んだ??

これどっち? い、いや、どっちでも変わらんわ!?


「私を誰だと思っている! ジェルヴェーズ王国『()()()()』ヘルメースであるぞ!! 国土の全ての管理を担っているのだ! 景観も風景も管理も国土のあらゆる建築は須らく私の管理物となる!! 微生物の分際で調子に乗るな!! この――……ああ、なんだ。今ので死んだのか?」


タクの胴体がぶっ倒れても、ヘルメースさんは冷静になって私に告げる。


「放っておけば粒子となって消失するから気にするな。後程、看板を届けるから、それを立てて置け。分かったな!」


嵐のようにヘルメースさんが立ち去った事で、私は向かい側の畑を新しいプレイヤーが購入し、耕していたのを把握する。

お向かいさんである女性プレイヤーは、早朝からのアグレッシブな惨状に戦慄していた。

私は、取り合えず会釈だけしておく。

道には、まだタクの胴体が残っているけど。


ん? ちょっと、待てよ。

お向かいさんである女性プレイヤーに見覚えがある気がしたのも当然。

彼女は、あのヘーゲルさん推し(?)の『ちよこ』さんだ。


「ど……どうも、お久しぶりです」


私が声をかけて麦わら帽子を脱いだら、向こうも私に気づいたようで「あ、こんにちは」と挨拶。

ヘーゲルさんの宿を出てから、どうしているんだろと思ってたけど。


「なにか育てるんですか?」


「はい! 染料になる植物から育ててみようと思って、畑を購入したんです。結構安くてビックリしました!!」


「ノーブルの人達は、畑が必要ないからお安いみたいですよ」


「へ~! でも、広すぎてスペース持て余しちゃいますね。これ」


何て日常会話を繰り広げていたら、タクの胴体が消失していた。

私も、ちよこさんとの会話を切り上げて、各々やりたい作業に没頭していく。


タクは無課金勢なのでデスペナルティを受けている筈。再ログインまで時間が設けられる。

その間、私は新たな新商品『フライドポテト』の調理を行う!


密かに育てている『黒イモ』と、マーケット販売されている塩と癖のない植物性の油を使用。

さっと揚げて完成!

『フライドポテト』は一定期間で消滅する光魔法で生成した透明パックに詰めて。

これを出品!


料理系は果たしてどれだけ儲かるか。実際にやってみるべし、である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ