【まほ★まほ】悪魔
ログイン十二日目。
NPCの来店、の前に動物学者のシークの訪問イベントが先だった。
彼曰く、カーバンクルは人工的ではない自然由来のものを好むらしく、庭の手入れはしてはならないらしい。
なので、妖精にも庭の手入れ指示はしないぞ。
カーバンクルはデフォルメの庭でしか観測できず、実際に外へ出ても『何かの視線を感じる…』という特殊なメッセージが表示されるだけで、姿は確認できなかった。
「うん。カーバンクルの様子は大丈夫みたいだね」
デフォルメの庭を確認した後、シークがあるものを渡す。
「これをコッソリ植えておいてくれるかい。カーバンクルが好きな『宝石の実』の種だ。育つ土地によって異なる実を宿す魔力の実さ」
デフォルメ画面から、シークから渡された種を、カーバンクルがちょこちょこ移動している場所から離れた位置に『植える』のコマンドを押して数個設置して今日のイベントは終了だ。
結構、地道!
攻略情報が皆無なので、私も下手な冒険をしないようにするつもりだ。
さて……本日の検証は、【瑠璃の海岸】で採取できる透き通った水色の木。
植物素材『アパタイト』。
実はぶるーはわいさんから貰った素材である。
宝石由来の『アパタイト』の名称はギリシャ語で『裏切り』などを意味するとあった。
これで『悪魔』のカードを作ってみよう。
『アパタイトの悪魔』★★★★
たいきゅう:666
つよさ:666
はやさ:666
こうか:-
ついか:うらぎり
お、おお……これはちょっと珍しいな。効果がなくて、追加効果のみ。
他の素材を混ぜ合わせて属性付与とかできるかも?
あと、もう一つやるのは、この『アパタイト』でぶるーはわいさんの杖を作成する事である!
素材としてみると、確かにブルーハワイな色彩の枝。
海をイメージさせるものがあった。
しかし、透き通り過ぎて芯の素材も見えてしまうという……中を見せる武器にするべきか?
取り合えず、蓋となる持ち手部分は木製かつ、主張控えめのベージュの木材にして。
繋ぎ部分から持ち手にかけてお洒落な貝殻をつけて、と。
芯は、ぶるーはわいさんの魔法属性・サファイアの効果を上げれるような素材を粉末状にして詰めていく。
一先ず完成したが……
『アパタイトの杖』★★★★★★
たいきゅう:43000
つよさ:7000
はやさ:2500
こうか:サファイアの力がすごく良くなるよ! 守りのはんいが広くなるよ!!
守れる時間が長くなるよ! 守りのちからが強くなるよ!!
……は? めっちゃつくじゃん。
職業クエストも幾つか解放、報酬を得られる程の高性能。
うごご……やはり複数の素材を詰め込むのが、ベストなのか……
一度、タロットカードでも試したけど、言うほど品質が良くなった試しがないんだよなぁ。
くそう! でも私はタロットカードを頑張るからな!!
ぶるーはわいさんに納品した矢先、店に届いているリクエストを確認。
本物のお客様からリクエストかな? どれどれ……
[タロットカードを売らないでください! タロットカードの逆位置には悪い効果があります。それを悪用する人達の手に渡ったら危ないです!! 売り続けたら通報します!]
今度はクレーマーかよおおおおおおおおおお!!!!
面倒くせぇ、私に言うな! 運営に言え!! それ運営のお問い合わせフォームに送れ!
私がどうしようが、最終的に武器屋はタロットカード作れるから追放! みたいな風潮になるじゃねえか!!
私じゃなくて運営に文句いえやあああああああああああああ!!!
……はぁ。
文句をぶつけたいが、こういう相手はどうするべきか?
そんなの決まっている。
沈黙! それが正解なんだ。
さっきも言ったが、私がレスバしたところで何も解決しないからね!!
てか、私はNPC訪問時しか追加効果ありのカード売ってないし!
春夏秋冬のカードも販売してないし!!
プレイヤー相手には、適当にいい素材で作った柄なしのカードを売ってるもんね!
むしろ、大アルカナの効果が出る方法を教えてくれよ!
……あっ。
もしかしなくても、知っているんじゃ?
私は挑発前提で『何をどうやったら逆位置を出せますか、教えて下さい!』とメッセージを送りたくなった。
が! 気持ちを抑える。
クッソー! 絶対何等かの情報持ってそうなんだよなー!! でも駄目だ! 沈黙絶対!!
しかし……このクレームを送った『まりな』というプレイヤー。
なんだろう、アバターのデザインといい。プレイヤーネームといい……子供?
あ~また、別のママ友軍団とか、ちびっ子軍団が押しかけて来そう。
第二次害悪大戦始まってしまうのか?
別の不安を抱える私は、今日来店してくれた少女『チャロ』の対応をしていた。
「このお店の手伝い……する。できるから。何かあったら呼んで……」
おお、やったぞ。
裏で眼鏡男子の『ラズー』も遠征OKの了承があったばかりだった。
これでNPCの遠征依頼が出せる! 早速やってみよう。




