表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/380

【まほ★まほ】すり抜けバグ


荻野こと牧野が『まほ★まほ』にまだログイン中だった時のこと。


彼の店の周りには一種の包囲網が完成していた。

彼が認知していたママ友集団以外にも、彼女たちの呼び掛けで集ったバイターアンチに、面白半分で参加しているプレイヤー。

彼らの集まりに対し何事かと野次馬まで集まり出して……

これだけプレイヤーが集中しているせいか、挙動に影響が起き始めていた。


そこに派手な赤と黒を主張するドレスと外観の女性プレイヤー『ポインセチア』が登場した。

監視していたママ友集団の仲間に強い口調で尋ねる。


「アイツ、まだログインしてるのよね?」


「大体10分間ログインしてるって聞いてます。まだ10分経過してないので……」


「やるなら今ね。チャットで合図送って頂戴!」


「ほ、本当に()()やるの? BANされたりしたら……」


「うるさいわね! されたらされたで、新しくアカウント作り直せばいいだけでしょ!!」


チャットの合図と共に、一斉に魔法が放たれた。

四方八方、周囲を取り囲んでいたプレイヤーが一度に杖やら水晶玉で家に対し魔法で集中砲火。


こんな事をしても、別に店は破壊されない。

ただ、一か所に集中してデータ負荷がかかると挙動が重くなる。

作業中にエラーが発生して、クラフト系のプレイヤーにある種の妨害行為を起こせるのだ。


しかし、これはこれでサーバー自体に攻撃を仕掛けているのと変わらない。

だからこそ、アカウントが停止される可能性もあった。


更にこれで終わりではない。

この負荷がかかっている状態でポインセチアは仲間にアメジストの魔法をかけて貰い、魔法の海に飛び込む。

彼女以外にも同様の行為を行っているプレイヤーが複数いた。


大量の魔法による集中放火。

この状況でアメジストの転移魔法で突っ込むと――なんと壁のすり抜けが出来るのだ。

()()()()()()()

プライバシー保護を貫通して店内に侵入する。

庭を荒らす。

課金アイテムですら強奪する。

公式掲示板以外でやり取りされ、悪質化した害悪行為が仕掛けられた。


運がいい事に、荻野は負荷が悪化する手前でログアウトしてしまった。

なんとか店へ侵入したポインセチアも、ダミー状態の荻野(牧野)を発見し「ログアウトしてるじゃないの!」と吠える。


それでも侵入した連中総出で、店にある商品から、家具、更には営業に必要な資格証明書まで持って、捨ててしまう。

所持しているだけでマイナス効果を及ぼすアイテムを店内にばら撒く。

庭に除草剤をまいて、育たなくさせる。

といった害悪行為をし続け、最終的には――


()()()()()()()()


当然のことである。

事は全て終わってしまった。

これでしばらく開業はできなくなったし、嫌気が差してゲームを辞めるに違いないとポインセチアは満足した。


しかし、これを黙っていないのは荻野ではなく運営の方である。

クリムゾンサーバーが落ちた事で原因を調査。

事態を把握したことで『緊急メンテナンス』の告知を行った。


魔法のバグ修正。

住宅エリア内での魔法使用禁止。

現時点で害悪・不正行為を行ったアカウントへの停止措置。


加えて、()()()()()()()()()()()()()()

つまり、アカウント停止された分、新たに新規プレイヤーが入れる訳ではない。


ある一定数、既存サーバーに空きが生じたら。新規サーバーから新規プレイヤーを移動させるという。

移動させるプレイヤーも、問題がないと判断されたプレイヤーのみ。

無論、本人の意思確認の上で移動させる。


このアカウント停止措置で、今まで害悪行為を繰り返したプレイヤーが軒並みアカウント停止されたという、一種の大事件が発生していた。

中にはアカウント停止されなかったプレイヤーもいるが、作戦上、他プレイヤーに遠距離からアイテムを渡す為にアメジストの魔法を使用した。

……といった合意の上での魔法の使用をしたプレイヤーのような場合のみ。


意外とそういった監視は徹底していたのか、と関心が持たれる一方。

こんな風にプレイヤーを追放して、売上が落ちるぞ!と喚くプレイヤーもいた。


しかしながら、何度も触れられていたが『まほ★まほ』は少数精鋭の運営。

売上も元より見込んでいない体制である。

害悪行為をするプレイヤーが多少いなくなったところで、これを切っ掛けに新規プレイヤーが減ったところで痛くも痒くもない。


故に、顧客を切り捨てる判断を下せた。

最も、彼らを果たして『顧客』と呼んでいいのやら……


ただ、これで『まほ★まほ』には一時の平穏が訪れる事になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ