【ヴァルフェリアオンライン】試験
Q、世界で一番高い山は?
エベレストではありませんよ? この『世界』とは異世界『ヴァルフェリア』を示しているからね!
正解は『煉獄山』もしくは『プルガトリオ』です。
ちなみに、この質問文は異世界の人間語で書かれてあります。
私が扉を開けた先に待ち受けていたのは、石造りの狭い空間。
大きな半透明のウインドウが表示され問題文が出題され、手元には解答を記入するためのタッチパネルが出現している。
ノーブルの種族試験はこんな感じで、異世界語が読める前提で初歩的な学力テストをするのだ。
学力テストなので、地理や魔術だけでなく文章の穴埋め問題や、算数まで!
私はほとんど正解する事ができた。出来なかったのは歴史部分。
合格ラインに到達したら、異なる空間へ転移された。
ここは……恐らく中層だ。
下層とは異なり、座席スペースや本棚は格段に狭い方だが、椅子やテーブル、棚や壁のランプに至るまでランクが上の代物であると分かる。
床も、材質のいいカーペットを使用していた。
プレイヤーは……そこそこ居る。
しかし、ここにいるプレイヤーは下層にいる一般層ではなく、本当の意味でのプレイヤー層だと分かる。
彼らもまた勉学に勤しんでいるが、ゲーム内の本に目を通して、知識を吸収しているのだ。
他にも、これより先の上層へ向かう為、あるいは称号を狙う為だろう。
<称号:ヒューマン語は完璧!>を獲得しました
そうそう、称号獲得。
試験合格で得られた報酬の一つは『ジェルヴェーズ王国国立図書館 中層入館許可証』のカード。
これを使えばいつでも、ここへ入る事ができるようになる。
ついでに『人間語』が自動翻訳されるようになる!
うん。折角解読したのにね。
だけど、自動翻訳されるようになるってことは、上層の試験問題の難易度はそういう訳で。
試しにどんな問題出るか確認しよっと。
私はそそくさと他プレイヤーをスルーして、先に上層への扉に手をかけた。
選択肢が表示されるところ、私は『人間語』の試験しか合格してないので『人間語』一択しかない。
いざ!
内部は似たような空間。
しかし、石造りではなく大理石の床に、綺麗にならされた壁という雰囲気が豪華になっている。
先程と同じウインドウ画面とタッチパネルが出現。
その内容は――
――普通に高校生レベルの数学問題出てきたああああああああ!?
急に問題のレベル変わり過ぎやろ!? どうなってんねん!
あと、翻訳問題が結構出る!
人間語からノーブル語へ、エルフ語から人間語へ。普通に文章問題出て、人間語で答えろっていう。
しかも筆記だから翻訳が無意味になってる! 自力で解くしかない!!
助かった!
ワールドマーケットで色んな言語を解読しておいて正解だった!!
ハーフリングの言語が少数民族特有の音素少ない系かと思ったら格変化あってクソ!と思ってしまった事もいい経験だった!!
魔法の化学式ならぬ魔術式も、散々本に目を通してたから安心。
地理は、まあ何とかギリ。ワールドマーケットで何々産みたいに地名があったから、覚えていた。
問題が歴史なんじゃが……わからん。
そこだけスキップして、最終的に適当に答えた。
結果――合格!
歴史全然分からんかったけど、何とかなった!!
<称号:人の知識を理解する者>を獲得しました
上層館許可証のカードを獲得すると同時に、今度はヴェルサイユ宮殿のような絢爛な内装の空間へ飛ばされた。
豪華なシャンデリアが吊り下げられ、書物はまるで博物館のようにガラスケースに収納されて、展示している。そのケースもまた、金の装飾があって恐れ多い!
テーブルですら大理石で作られ、椅子は最早座り心地良い1人用ソファ!
ここには誰もいない……と思ったら、いた!
ナーサリーという薄紫髪の女性ノーブル。しかもプレイヤー!
でも、テーブルに突っ伏して……寝ている!? しかも寝間着姿だよ、この人!!?
起さないようにしとこ……
最上層、は流石に無理か。
ちょっとだけ本を見てみよう………これ古文語!!!
最後は古文系かぁ。歴史の勉強しとかないと駄目だな、うん。
肝心の『創造言語』と『後輪』については……あ、全部古文語。
何となく現在の『創造言語』で使用されてるノーブル語の原型はあるけど、解読するのは結構かかりそう。
手前の中層の文献から調べよう……む?
脇に表示し続けていたマップに変化が!
ダニィ!? タクがログインしているぞ!!?
現在の現実時刻は朝の十時……謎過ぎる。何故この時間に? 出社にしては中途半端な。
……まあ落ち着こうか。動向確認をしよう。
タクは企業ギルドにしばらく居座って、冒険者ギルド方面へ……と思ったら畑方面に。畑を変な挙動でウロウロ。
それから冒険者ギルド方面へ……と思ったらプレイヤーが出店している商店街をウロウロ。
……この人、サボってる?
今度こそ冒険者ギルドに入っていくタクのアイコン。
クエストを開始したのかマップ上からは彼のアイコンは消滅してしまった。
よく分からんが今の内にっと……
私は一旦、中層へ戻り『創造言語』で『鑑定』と『時空魔法』を組み合わせた検察で、目当ての本を探す。
下層に戻って、今度は動物関連の本を探す。
司書のエリーゼさんに本の貸し出し処理をして貰って、図書館から出る。
ちょっと出てすぐの事、入れ違いにタクが図書館へ駆けていった。
ギリギリすれ違ってビビった私は、慌てて『時空魔法』でヘーゲルさんの宿まで瞬間移動。
あぶな!? いつの間に戻って来てたんだ……?
ま、まぁ、結果オーライだよね?
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