【ヴァルフェリアオンライン】監視
ログイン五日目。
私は掲示板で晒されていたタクのIDを記録してある。
そこからID検索をして彼のログイン時間は探る事はできるが……
なんと、私ないしノーブルの場合。
マップに対し『鑑定』スキルと闇魔法の上位互換『時空魔法』スキルを組み合わせ、検索対象にタクのIDを入力すると……タクの位置が判明するのだ!?
これ出来るの怖いだろ! ノーブル!!
まあ、ここから遠距離攻撃するとなったら、相応の魔力と神力を消耗するけどね!
勿論だけど、攻撃なんてしない。
現在は未ログイン状態だけど、最終ログイン地点は表示されていた。
よし……朝食を取ってから、私はマップを表示したまま宿から出る。
『後輪』に関しては位置を好きに調整できるので、頭上ではなく背後に移動させておいた。
これで正面からは見えないぞ。
宿から出たすぐ先にコーデリアさんのキッチンカーがある。
国内を転々としているらしく、今回はたまたまここで販売していたのだろう。
挨拶ついでに無糖味の飲料ゼリーを購入。コーデリアさんは「はいよ」と淡白に対応してくれた。
次は、スキル販売店に寄ろう。
店頭にいるノーブルだが、薄黄色の髪は手入れされてないボサボサ具合で、無精ひげも生えてて、服装もどこかだらしないシャツとズボンという恰好。
そんな眼鏡をかけた男性『ローキィ』はNPC一覧に紹介されていた通り、『後輪』を座椅子にし、ゴツい無数の歯車をタイヤ代わりに線で繋いで移動する車椅子スタイルだった。
ローキィは私を見るなり「おお、兄弟!」と初対面なのに愛想よく話かけてくれた。
「スキルを買いに来たのかい? うん? 君、色々足りてないじゃないか。異常耐性スキルがオススメだよ」
「ありがとうございます……取り敢えずスキルの商品一覧を見せて頂けますか?」
「そうだね。今の兄弟のレベルだと、販売できるのはこれかな」
種族スキル売って貰えないのかー……やっぱりもう少しレベル上げないと駄目ですわ。
とくに大罪系スキルは欲しかったなぁ。
一先ず、オススメされた異常耐性スキルは全部購入。
あとは……
「AGI補正がつくスキルが欲しいのですが」
「え? 兄弟は『文豪』持ってるからソレ装備すればいいと思うよ??」
いや! そうなんだけど!!
てか、バリバリ手元見透かしてくるなオイ!? ノーブルだから分かって当然だけどさぁ!!
ついでに尋ねてみた。
「門限がある所が多いようなんですが、その時間にモンスターが国に入って来たりするのでしょうか?」
「あー……いいや? そういう訳じゃないし、皆が皆。気にしてはいないさ……一応の配慮って奴?」
と、曖昧に答えられた。危険ではないのかな?
今日は往くべきところが多いから、ここまでにしておいた。
次は冒険者ギルドへ。
プレイヤーギルドの設立や、それに伴うギルドマスター試験も受けられるが、今日はギルドカードの作成とモンスターの素材納品を行う。
ギルドマスター試験に合格するとステータス補正を得られるので、出国までには受けたいなぁ。
次は図書館へ。
ここは他種族の国にある図書館とは異なり、古今東西の書物が搔き集められ、後世に残すべき文献のみを所蔵し保管・保護をしているそうな。
保護の対象となる事は一種の誉であり、研究者や文豪など、様々な者が本を出し続けるのだ。
……って、おいおい。
図書館には、相当数のプレイヤーが席に座り、メニュー画面を開き作業を行っていた。
受験勉強だったり、私と同じバイターでデータ入力をしているのか。
物静かではあるものの、圧倒する数の多さはオフィスビルの一角を連想させるプレイヤー達の威圧感だ。
「何かお探しの本がありますか?」
私に声をかけたのは、受付カウンターにいる女性司書『エリーゼ』さん。
ついでだから尋ねてみた。
「『創造言語』と『後輪』の文献って、ありますか?」
「その二つの文献は中層から置かれています。あちらの扉から試験に合格すればご利用できます」
この図書館は特殊な構造になっている。
下層と呼ばれる現在私がいるここは、城のような図書館の7割を占めている。
中央部分を避ける形で吹き抜けの構造。五段の階層に分かれている。
建物の外側に本棚があり、内側に読書や作業スペース用のテーブルと椅子が配置されていた。
そして、中央部分は巨大な柱のようになっていて、一か所扉がある。
ここが中層に繋がる扉であり、ノーブルの種族試験初級の会場でもある。
そう、下層にある書物は一般的かつ情報価値は最も低いので、一般人にも見れる。
柱内部にあるものは、貴重かつ重要である為、不用意な輩を通さぬようにしている訳だ。
私が扉に近づくと『言語を選択してください』と選択肢が表示された。
獣人の除いた種族六つの言語が選択肢にあるのだが、つまり、試験合格で得られる称号も六つ分ある。
私は『人間語』を選択して扉を開けた。




