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VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


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【ヴァルフェリアオンライン】重複投稿【あなたがアイドル】


「私が先に並んでいたぞ!」


「お前が押しのけたんじゃろうがい!」


「皆さん、順番通り並んでくださーい! 購入できる量がおひとり様限られておりま~す!!」


購入者の怒号とギルドメンバーの叫び声が飛び交うとんでもない戦場と化している。

呆然とする私を横目に、どんどん他の人々が並んでいく。

彼らの会話から何故、あの香辛料を目当てにするかの情報も小耳に挟む。


「あの()()の燃焼の質がたまらん!」


「硬度の堅い闇の原石が()()で加工しやすくなるって本当か!?」


食材としてではなく燃料に!?

香辛料に含まれている火の魔素を利用すれば、硬度が強くて加工しにくい素材の装備が作りやすくなるって事か。

うーん……これ大丈夫なのかな。

赤オーガの人達って、儲けに疎いし、実は勝負用の香辛料は里から無料で支給するくらい、食事は食べればいい的な性分。

赤オーガはいいとして、他オーガ達は何も言わないのかね?


私が悶々と思案していたらギルドの建造物から、ヌゥッと馬鹿でかい体格のオーガが姿を現した。

あ……あれ、ヘリオガさん!?

ここ、ヘリオガさんのギルドだったんか!


どうしたもんか。

こんな混雑では接触できる筈もないし、どうやらヘリオガさんは混乱状態の現場に見かねて顔を出した模様。

……まぁ、また今度で。

一応ギルド名を把握しておこう。

『ヘリオガバリウム』? そのまんまやないかい。

WFOのギルドもそうだけど、VRMMOのギルド情報ってロクなもんないから、全然収集してないから疎かったよ。


私は幾つか巡って見たけど……うーん。目ぼしいものはない。

ここは『ゲルヒィン』にあるギルドってだけだから、別の国にあるギルドを巡って見るべきか。

折角なので、農協ギルドの食堂で食事を頂いた。


『ゲルヒィン』では『ブロト』と呼ばれる大き目のパンが主食にある。

由来は恐らくドイツのパン『ブロート』だろう。

この『ブロト』にトロトロのチーズをのせて炙ってカリトロを味わえるものと、何ものっていない『ブロト』にはちみつをのせたり、塩味のある生ハムと共に頂いたり。

マッシュポテトと様々な種類と太さのソーセージを頂く!


ちなみにNPCの人達はお酒『ビアエール』も一緒に飲むぞ。

現実でいう『ビール』だ。

そう、一応成人であればWFOも含めたVRMMOでお酒を飲める。

私?

まぁ……うん。

別に酔わないんだけど、眠くなっちゃう体質だから控えているんだよね。


食事を終えて私はダンテのアカウントをログアウト。

オギノのアカウントでログイン。

アレスさん達の様子を伺い、日常のルーティンをやっていくぞ。

今日は、アレクさんと共に漫画執筆を行う。


「く……またか。先生、これは一体どうすればいいのですかっ」


アレクさんの悩みは、クリエイターなら分からなくもないものであった。

彼も私と同じ推理漫画を描いているのだが、私と違い主人公は大人。

WFOでは実在する『検知保安官』という現場で魔力やスキルの痕跡を調べる鑑識的な職業につく男性。

故に、登場人物の周囲も成人キャラが多い。


「来る感想にこの女と主人公の関係ばかりなんですよ! 別に恋愛感情なんて一欠けらもない。この女のモデルだって『ゲルヒィン』で絡んできた嫌な女です。正直どうでもいいのに、もっと登場させろだの言って来るんです。いい加減、恋愛感情などないと作中で言わせないと駄目でしょうか!?」


う、うん。


「読者の好きにさせればいいんですよ。気になるなら感想停止させてしまえばいいですし」


「しかし……感想受け付けていないものは、あまり伸びないのが現状です。致命的なのは私の表現が向こうに伝わっていない点です」


「漫画は文章と違い、言葉がなくても描写から何かを感じ取って想像を膨らませる事ができます。そこが漫画の素晴らしい要素なので生かさないといけません。逆に余計に情報をキャラ……登場人物に喋らせたり説明させるのは、物語に没入できなくなる要因なので極力排除しましょう」


「む……なるほど」


取り合えず、現在私はアレクさんの漫画内にある台詞の添削を行う。

文章を減らす事で台詞枠を減らし、読みやすくする。

少し踏み込んでコマ割りのやり方も教えた。

漫画を読む際、自然に流れるように目を追わせるには、台詞の吹き出しの位置と絵の配置にも気を配る。

台詞を追っていく途中で漫画の絵も入ってくるように工夫すれば、内容も絵も頭に入ってくれるのだ。


「せ、先生はそんな所まで気をつかってらしたのですかっ!?」


「これも読者の為です。逆に背景や絵に色々詰め込み過ぎて、情報ばっかりの漫画は頭に入って来ないですからね」


そうそう、感想と言えば……晴明の漫画の感想に[『あなドル』のクリエイトエリアに投稿しませんか?]的なものが届いてたのだ。

『あなドル』、と聞いてタクの騒動の延長か?と思ったが、多分だけど違う。

感想者は『あなドル』にも重複投稿すれば、他アイドルがドラマ化などしてくれて注目されるのではと提案をしてくれていた。

ぶっちゃけ、投稿した悪役令嬢物より晴明の方が複雑な要素や設定がないのでドラマ化しやすいのかもしれない。


ただ、最近『あなドル』で厄介な騒動に巻き込まれたばかりなので、投稿する気力もない訳で。

何より悪役令嬢物も予約投稿済みとは言え、まだ完結していない。

気力もないので、この話は一旦保留となった。


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