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VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


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【ヴァルフェリアオンライン】三つ子


で。

スターラビットから解放されたはいいものの。

結構やりたい放題な現状になっていた。


アレスさんは「田んぼは、()()()元に戻すから!」とノーブル特有の謝罪なしお気楽な人でなしムーヴ。

ただ、彼も国籍獲得をしたので、土地を購入して田んぼをやるつもりだった。

しかし、ヘルメースさんが反対しているので出来ないと。


理由はまぁ……外だと、野生のスターラビットたちが襲撃してくるもんね。

ちゃんとスターラビット対策の『創造言語』は敷かれていると思うけど、あの障害物もない広大な土地は襲撃されやすいし。

面倒なスターラビット対策に労力を割きたくないのだろう。


これ……普通に他プレイヤーが沢山『ジェルヴェーズ王国』に移住していたら、全然問題にならなかったと思うんだよね。

改善してくれよ!な反面。

でも、下手にプレイヤーが移住しやすくなったら、治安が悪くなる!と気持ちが二つある。


一先ず、お米を貰う事でアレスさんとは手打ちにする事に。

実際、主食のお米を確保できたのは嬉しい。


一番問題だったのは、アレンさんである。

彼は元々医者だった為か、医療関係の軽作業を行っていた。

私が放し飼いしていた『モップシープ』の体毛で包帯を作成し、売っていたりとか。

まあ、これは全然よい。

モップシープの体毛は凄まじい事になってしまうので、良い事にフル活用して欲しい。


ただ……薬草が。

以前、私が作ろうとしていた薬草庭園で、ポーションやエーテルの原材料『ポン草』『エール草』や洗剤の元『アワの実』とかを既に配置していたのだけど。

アレンさんも薬が作りたかった為、色んな薬草を購入し、配置しまくったせいで地獄絵図状態。

何より――


「あの……アレンさん。実際に薬草園など、薬草を育てる場所に行かれた経験は」


「い、いえ……何か問題がっ!?」


「まぁ、はい。これとこれは外で育てた方がいい奴ですね。あと、同じ花壇に色んな種類を植えるのもよろしくないですし。できれば個別に植木鉢を用意したり。一つの段につき、一種類の薬草にまとめたほうがいいです。あと……これ。土は何かしてますか? 全部同じ土を使ってます??」


「あ……ああ……す、すみません。その、適当にマーケットで購入したものを使ってしまって……!」


「薬草は種類によって違う土を使うので、個別にしているんです。私も手伝いますので、簡単に分別作業をしましょう。このままですと、折角の薬草が駄目になってしまいます」


「あ、ありがとうございます! 本当にすみません!!」


てな訳で、薬草の分別作業をやっていただけで、ゲーム内時間において1日のほとんどを消費してしまったという。

しかも、アレンさんが購入した薬草は貴重だったり、手入れが面倒だったり。

環境の変化に敏感なものばかりだったので、外で育てるよりも『後輪』の中で育てた方がいいまであった。

なので手短に『創造言語』を教える。


しかし……想像以上にアレンさんは覚えが……悪い!

NPCとは言え、他人を悪く言いたくないけど、ビックリするぐらい悪すぎる。

ノーブルの血筋なら、ヒョイヒョイ覚えられそうなのに。

なので、希少な薬草は私の『後輪』で管理する事になった。


アレスさんなんてほぼ独学。

アレクさんも独学だけど、私のやっている3Dモデリングを今では立派に活用されている。

休憩時間に彼の漫画を読ませて貰ったけど、基本的なものは問題ないレベルになっていた。


まぁ……個人差はあるよ。

得意な事、不得意な事って……作業しながら私はアレンさんに言う。


「アレンさんは、どちらかというとドワーフ寄りなんですね」


「そう、ですかね……物作りとかは下手なんですけど」


「でも、包帯作りとかそうじゃないですか。ドワーフの女性は刺繍とか生地の生産をよくしてますし」


「えっ……ああ、まあ……確かに織物とかは得意ですね。刺繍も教会にいた時やった事があって、褒められてましたけど……ああいうのは女性の仕事だって言われて」


アレンさんがやっている製糸や織物は、全て『後輪』を利用している。

創造言語は使わず『後輪』を糸車代わり回転させて糸を紡ぎ。

生地も同じように精密に織り込むのだ。

アレンさんの境遇的に、元々人間社会にいたせいもあって、彼がそういった職業に手を出せなかったのだろう。

しかし、今は違う。


「『ワールドマーケット』では匿名で出展できますから、性別なんて気にせずやれますよ。試しに色々出展してみてはどうでしょう。あと、他の方の作品を見てみるのも悪くないですよ」


「……そうです、ね」


釈然としない曖昧な表情を浮かべるアレンさん。

いきなり、別生活をやる方が無理ある話だし、仕方ない事ではあるか。

なので、切っ掛けの一つとして『染料』になる花を幾つか育てる事にする。

普通の花なので、特別な管理も必要ない。アレンさんでも大丈夫なものを選んだ。

染料の作り方も『後輪』を鍋代わりにしてできる簡単なものだったら、アレンさんにも出来るだろう。

なんせ、メモできる程度の内容だからね。


最後に漫画のチェックだ。

実は、ゲーム世界の方では段々と知れ渡っているようで、徐々に収益が増えている。

うーん……

ゲーム世界での収益はいいとして、現実世界での収益ではないからなぁ。


と思ったが、新たな試みで『ワールドクリエイターマーケット』の作品を現実時間でも公開できるサービスが開始されている模様。

まあ、小遣い稼ぎになるなら……とサービスに登録しておく。

書き溜めておいた漫画の予約投稿を終えた私は、次にFEOへログインする。

こちらもこちらで、一仕事あったりするのだ。


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