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VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


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【ヴァルフェリアオンライン】無茶苦茶


成程……イーリスさんのお言葉的に、私がWFOの安全面に疑心感を抱いていると想定しているようだ。

実際していたし、他ユーザーも私と同様。

だが、彼ら――管理AI側はユーザーを優先すると宣言したのである。

ここは私も、相手が管理AIだからこそ素直に頷く。


「わかりました。あと私の為にここまで動いて下さり、ありがとうございます。これからもサービスの方を利用しようと思います」


「いえ、こちらこそ。あのような騒動がありながらも、再び足を運んで下さり感謝しかありません。ただ……オーギノさんは少々面倒な状況になっておられるので、ログイン前にご説明いたします。まず最初にサービス休止中もゲーム内時間は稼働し続けておりました。これはゲームの仕様上の問題であり、ログイン時に全ユーザーに幾つかの補填をさせて頂きます。オーギノさんの場合は、オーガの『不知火』のアカウントで獲得した居住区域ですね。こちらの方、庭や家の清掃を補填として我々が行っております」


おお、まじかいな。

不味いと思った要素が先読みしたように対処してくれて、ありがたい。

ただし、イーリスさんが付け加えた。


「休止前にオーギノさんが予約した『黄鬼流』の試験は、再度予約の方をお願いします」


あ……あー、あったなぁ。

すっかり昔のように感じるくらい今更な奴。

でも、オーガの試験も『黄鬼流』だけだから、もう一度予約しようっと。


「問題はノーブルのアカウントの方です。……休止前にアレクというドワーフとノーブルのハーフを、貴方の家に預かるという話があったのを覚えていますでしょうか」


あっ!?

ちょ、ちょっと待って、ゲーム内時間が進んでたってことは……!!


「お、覚えてますが、どうなってしまったんですか……?」


「事態が事態なので、ノーブル権限によりアレクを含める彼の兄弟をオーギノさんの家に入れるように致しました。コーデリアが元から約束していたからいいだろうと言って……はぁ、もう」


嘘やろ? そこまでやりたい放題って。

タクみたいなワンマンプレイヤーがやりたい放題ではなく、NPCが無双してるって中々ないVRMMOだ。

と関心しているワケにもいかない。


「つまり、アレクさんたちが私の家で生活している状況になっていると。そこは、全然問題ありません。逆に、そんな事が出来るんだと驚きはしましたが……」


「いえ、問題です! あの三兄弟の……アレ()がオーギノさんの家を魔改造したり、畑を田んぼにしたり、無茶苦茶な事をしでかしてしまって!!」


「アレ()?さんですか?? アレ()さんではなく?」


大分時間が空いたので記憶は定かではないが、アレクさんと共にいた兄弟はアレンだった気が。

てか、()()()

え、待って田んぼって言った!?

流石に想定外過ぎる! 何で田んぼにしちゃったの!!

脳内で混乱している私の前でイーリスさんも「え!?」と宙にウインドウ画面を開いた。


「ちゃんと事情を伝えたんじゃないの!? ………ああ、もお! 肝心な事を伏せてるじゃない!! こほん。取り乱してすみません。そもそもの話、オーギノさんの所にアレクを預ける事になったのには事情があります。まず、彼らはジェルヴェーズ王国の非国籍のノーブルです。基本的にはジェルヴェーズ王国に属するべき存在ですが……他種族に発見された場合は王国に籍を置くという形で……アレクたちの様な存在は黙認扱いとなっております」


まあ、そんな気はしてました。

でも……


「確かアレクさん達、ドワーフとノーブルのハーフの存在は仄めかされましたが、それがアレクさん達と特定はされていませんでしたよね?」


「ええ。そうだったのですが……実はアレクが入国するという話をオーギノさんより伝えられた頃、先にアレ()という、彼のもう一人の兄弟が入国しておりまして……」


な、なぬ!? 一足先に!!?


「よりにもよって、アレスはジェルヴェーズ王国に完全移住すると申し出たのです。自分はノーブルだから嫌でも国籍を取得できるだろうと」


……えーと、待てよ。

思い出してきた。

アレクさんは三つ子だと言うのを。

三つ子……アレクさんとアレンさんの顔はそっくり。

つまり、アレ()さんもそっくりなワケで。成程……ってことは、あの時、アレンさんが移住するとなったのは……


「アレ()さんが国籍取得したら、自動的にアレクさんとアレンさんもノーブルだとバレてしまいますね」


「はい……特に、アレンは他二人と違い。自身がノーブルである事すら自覚がありませんでした。外務大臣のアルバートから真実を伝えられたアレンは、当初非常に混乱してました……状況が状況の為、一度話し合いの場を設ける事となったのです」


だから、身を隠すようにってことか……

何で田んぼにしたんだって悶々と不満を持ちながら、私は尋ねる。


「しかし、向こうの方では時間が進んでいるので、ある程度の話し合いが進んでいるんですよね?」


「……最終的に、三兄弟全員ジェルヴェーズ王国の国籍を取得する事となりました」


「え。アレンさんは大丈夫なんですか?」


「彼にも色々事情があるようです。強いてあげるなら未だ『創造言語』を使いこなせていない点が心配ですね」


ふむ。

ここからは実際にログインしてから確かめるとして、まずは田んぼを何とかしなくては……

私の気が遠くなりつつある中、イーリスさんが一つだけ言伝を告げた。


「それとオーギノさん。本日の、現実時間での20時頃の予定はありますか? 実はジェルヴェーズ王国からジェルヴェーズ王国国籍を取得されている異邦人の会合が開かれるので出席して頂きたいとの事です」


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