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VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


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【あなたがアイドル】モデリング【スパーダ・アベントラ】


そういえば……私はふと思い出す。

結局『あなドル』はどうなっているのだろう、と。

久しぶりにログインして、折角だから大盛の料理を食べて気分転換しようかと模索した。


完食すると賞金が貰える巨大ピザに挑んでみる。

単なるピザではなく、マルゲリータ、シーフード、ジェノベーゼに明太マヨの四種類の味を味わえるのだ。

加えて、味変用のタバスコまで完備!

これなら完食するのは造作ではないぞ!!


私にとって優雅な食事を楽しみつつ、私の作品現状を確認。

ん? あれ。まだ投稿されてない??

新たにドラマ作品が投稿されてたけど、これは例のピンクツインテアイドル『美月 花』たちのドラマではなく。

全く別の事務所の作品だった。


大々的に広告宣伝を行い、オーディションを開催したのだ。

ひょっとしなくても、普通のドラマのように演技指導を徹底的に行い。

舞台セットも私が用意したものではなく、向こうが資金をはたいてセッティングしたものを活用するのだろう。


……それ、どうなんだろうな。

芸能世界としては正しい。

でも、ここは現実ではなくVRMMOなのだ。

新たに投稿されたドラマには有名アイドルが一切登場しない為、全く再生数はないものの。

しっかり、親作品の内容を忠実に再現しているのが評価され、トピック入りを果たしていたのだ。


他にも不穏要素はある。

演技といっても、所詮ここで全てを体現するのはゲームのアバター。

近年技術力が向上し、細かな表情や仕草を連動するような仕様にVRアバターは進化している。

でも、限界はあった。


現実の役者が表現する事を、どんなに頑張ってもVRのアバターでは再現できない。

人工的ではない生身から発せられる独特の雰囲気は、VR越しでは伝わらない。

ここでプレイヤー……アイドル達が発揮できるのは声色の変化程度。

アイドルファンの応援を除いて、果たしてどれ程の初見を引き寄せられるかどうか。


デカピザを無事に完食しつつ、資金も確保。

この資金を使う先は――『モデリング製作』である。


ヤケクソなモデリングデータを見て「是非、これのモデリングを作成して欲しいです!」と個別に依頼が舞い込んできたのだ。

一時期、私もVR系モデリングの製作で稼いでいただけあって、依頼には慣れている。

……まぁ。ただ。

運が悪いのか、色々とトラブルに巻き込まれて敬遠していたのだ。


寝耳に水な展開ではあるが、モデリング作成も『クリエイト』の分野に含まれ、こうして依頼が入って来るのは、いい小遣い稼ぎなりそう。

依頼内容はMVの撮影セットの作成依頼。

知名度がそこそこ程度のアイドル達にとっては、誰かに依頼するだけでも大変。

故に『クリエイト』部門が輝くって訳か。

中々、理にかなっている。

『クリエイト』に関しては、現在も賛否分かれているようだが、案外上手くいっていると私は感じていた。


よし、こんな感じで良いかな。

シンプルだけど、エフェクトや設置アイテムを控えめにする。

MVだから画質を良くする為、重さを軽減する事で、アバターの挙動も滑らかになる筈。


折角作ったけど……配布はしなくていいかな。

しばらく様子見で、配布要望の声があったら程度で。

一仕事終えた私は現実時間を確認し、ログアウトを行い、別のVRMMOにログイン。


ログインするのは……『スパーダ・アベントラ』。

久方ぶりってものではない。

今後、ログインしないかと思ったくらいだ。今後、事を考えると、本当に最後のログインになるかも。


何が目的かと問われると、中層の試練を突破する事である。

このタイミングで?

今でなければならないのだ。

今日が大会当日であり、大会の開催時間中に全てを終わらせる為にログインをする!


さて、他プレイヤーたちが大会で真剣勝負を交えている間。

私は私で、制限時間内に中層を突破。

中層の各ギルドの試練をクリア。

可能であれば上層の試練を突破したいところ。


大会開催直前にログインすると、やはり誰もいない状況。

ちなみに、大会自体は別サーバーで行われる為、各探索エリアは何事もなく平常雲梯なのだ。

課金ワープを行い、試練の塔入り口から攻略していく。

各階に出現するモンスターを討伐する事で、次の階が解放。

これを十階まで行い。

最終階にある動く巨大石像を倒す事で試練は完了する。


でも、のんびり倒す暇はない!

私は『オーラ』を、ポール君は水流を纏って石像に突撃。

連続コンボを食らわせまくって、ものの数十秒でクリア。


さぁ、まだまだ行くぞ!

探索がてら全ての町を周ったかいがあって、課金ワープで町という町を巡回していき、ギルドの試練をクリアしたり、スキルを入手したりと回収を施す。


試験内容も結構難易度がある。

斬撃の命中、剣技を使った小技、カウンターの切り返し、威力の受け流し。

VRMMOで培った技術が試されるようで、私も少々ひりつく。

クリアで得られた称号等で体力や攻撃威力、防御力が上昇していった。

ただ、これは他プレイヤーたちから見れば基本中の基本なんだろう。


そして、進捗状況を『導の書』で確認したところ……全然埋まってない!?

中層だけでも三割程度。

全体では一割程度、といったところか。

意外とやり込み要素が多いんだなぁ、このゲーム。


しかし、悠長にしてられない。

中層の町を巡り切った末、そろそろ大会も中盤から終盤に差し掛かっている模様。

大会から離脱したらしいプレイヤーの姿がチラホラ見られた。

急ぐしかないな。上層の試練に。

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