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VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


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【まほ★まほ】ヤクミ


タロットカード作成、の前に落ち着いてマーケットの確認から。

素材のほとんどは売れていたが、唯一[雑草?:青い花]だけが売れていなかった。

ちなみに、文句言って来た『ドレッド』さんからの返信はない。

ひょっとすれば、唯一売れ残ったこれが『ウインタル草』だったりするのかな?


一旦、[雑草?:ウインタル草?]を引き戻してと。

結構な数あるこれで、タロットカードを作成しようと思う。

雑草で? と突っ込みはありそうだが、そういう仕様なのだ。


正確には植物を溶かし、繊維で紙を生成し、タロットカードを作るというものだろう。

しかし、その辺りはゲームだから省略、雑草や木の枝を一つ素材に使って簡易的に作成。

カードそのものは『でじたる』でテンプレート作成。

ここまではあっという間。


肝心なのは――そう、タロットカードの()()()()である。


好きな模様をカードに描き込めるのは面白い。

プレイヤーによっては、好きな漫画とかゲームのキャラを描いたりするんじゃないかな。


私はシンプルな緑にチェックっぽい柄の模様をデザイン柄として登録し、テンプレートで貼り付けていく。

色々あるタロットカードの模様を、自分風に描いて、と。

この辺りは面倒だし、今の内にデザイン柄で登録しておくか。


納品するタロットカードを10枚完成。

クエストリストから納品すると、謎の青年のイベントが開始した。


「あ! 完成したんだね!! どれどれ……うんうん、いい出来だよ。タロットのデザインは個性が出やすいから、作り手の事が分かるんだ。君は……結構頑固な人だね!」


頑固? チキンクズをマイルドに言った感じなんだろうか。


「これが依頼料ね。これから大変だろうけど、頑張ってね!」


報酬金で1500M獲得してイベント終了。

結局、彼の名前は分からないままという。


取り合えず、適当にタロットカードを作って並べて置こうかな。

新たに解放されたクエストに『杖を10本作成する』『水晶玉を5個作成する』みたいなものがあるし、クエスト分は作っておいて損ではないだろう。


妖精が遠征で採って来た雑草の中から[雑草?:ウインタル草?]を使って、タロットカードのセットを作成。

でも、二デッキ分だけかぁ。

やはり素材が足りないから、探索をしなければならないか。


という訳で、ついに都市から出てフィールド探索へ!

手っ取り早く、一番近い[たおやかな草原]へ。

障害物がない為か、風がよく吹き抜け、草原の草が波のようにうねるデザイナームービーが入る。


最初に作った鉈で、素材採取エリアを攻撃。

[雑草?:キラキラ][雑草?:黄色の花][雑草?:水色の花]という具合に複数素材が出て、ゲーム内時間一日で採取可能な分は終了。

課金アイテムを使えば再度採取する事ができるようだが、今はそんな事しない。

『まほ★まほ』は素材の重量は加算しない仕様なので、害悪プレイヤーの妨害がなければのんびり探索できる。


[たおやかな草原]の採取エリアを巡って、途中モンスターの戦闘を幾つか挟んだ。

とは言え、ここは序盤のエリア。

ぴょんぴょん跳ねてアタックするスライムと棍棒で殴るだけのゴブリンしか登場しない。

いや、稀に変なネズミのモンスターが出現する事もあったか。


いよいよ『ワープの泉』を発見して魔力を投げ込んで記録する。


『ワープの泉』がある場所から更に進んだ先、深い森が広がっているのが見える。

あそこが次の探索エリアだ。

一旦、素材を置きに店へ戻ろうかな。

ん? 誰かいるな。……あれってオープニングに登場していたNPCか。


茶色のおさげに眼鏡をかけた女性は、如何にも探索に来たような冒険の装いをしている。

店へ戻る前に、私が彼女へ近づくとイベントが開始した。


「あら、こんにちは! 【翡翠の都】に住んでいる人? わたしは『ヤクミ』。植物学者よ。この辺りの植物の調査に来たの。……それで突然なんだけど、植物の調査に協力して欲しいの。代わりにいいものをあげるから!」


>いいよ!

 どうしようかな……


植物学者ってことは、植物の識別をやってくれる感じっすか?

迷わず「いいよ!」を選択するとヤクミは嬉しそうな表情を浮かべた。


「ありがとう! それで探して欲しいのは[宝石みたいにキラキラした植物]よ。ちなみにお花はついていないわ」


あれ。[雑草?:キラキラ]ってつけたアレかな。

妙に光沢があって宝石感は確かにあった。

植物の選択画面が出て私が[雑草?:キラキラ]を渡すと


「そう! これよこれ!! これは『ヒスイ草』。【翡翠の都】周辺にしか咲かない特別な植物なのよ! ちなみにジェイドの魔力と相性がいいそうよ」


おお、こんな感じで識別できるのか!

あとこれって世間体的に、結構レアな奴だったんだね。割と生えてたから普通にマーケットで売っちゃった。今度からもっと高くつけよ。


「お礼にこれをあげる。『植物袋』よ。植物系の素材だけ余分に持つ事ができるようになるの」


結構重要なのくれたぞ!

プレイヤーの持ち物枠は課金でも増やせるけど、こういう重要な情報が掲示板に流れて来ないのだよ。

『まほ★まほ』の規模を想定して、事前に攻略サイトを立ててる場所はなく。

情報源のSNSや掲示板も自分の得を優先して、情報を開示しないので、WFOやFEOよりも情報源は限られていた。


イベントが終了するとスペシャルミッションに[植物学者の手助け]が追加され、NPC一覧にヤクミが追加、好感度の進行が表示された。

なんか……結構彼女のミッションあるな? その分、報酬が貰えるならいいけどね。


一度お店に戻って、商品作りをしようっと。

捕捉説明

ヒスイ草:レア度★★★

【翡翠の都】周辺でしか生息しない特殊な植物。

ジェイドの魔力と相性がよく、素材にして使用するとジェイド関連の補正値がつく。


『ヤクミ』

【琥珀の宿場町】出身の植物学者。使用魔法はトパーズ。

肩書は植物学者だが、生計は薬品販売が主。

いつか、植物の研究書を出版するのが夢。

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