【まほ★まほ】Re
成程なぁ。
『欠片の図書館』はオープンワールド形式の探索と戦闘もあるVRMMOだった。
加速時間つきで、やり込み要素や課金要素がある。
ただ、うむ……
まず『欠片の図書館』は海外のゲーム企業と出版社による共同開発したもの。
つまり、ゲーム言語は英語だけ。
他国語の翻訳機能がない。
折角出版社と共同して色んな本を読める機会があるというのに! 勿体ない。
課金のプレミアムパックに加入していると、入手した本をパック期間中、読み放題になるのだ。
更に残念な要素がある。
ゲーム内で本を読むタイミングがないのだ。
折角の加速時間つきのVRMMOなのに!
どういう事かというと、本を読む場所と時間がない。
図書館を巡る、とあるから図書館の読書スペースで読めるかと思えば、図書館はダンジョン的な空間と化しているのでなし。
では、マイルーム空間があるかと思いきや、それもない。
セーブとかリスポーンも、個人の機能だけで解決できてしまう。
手持ちのアイテムも、工面する手段があるのでマイルーム空間がなくても問題ない。
そもそも、マイルーム空間やオープンワールドでのハウジング要素はデータ増加要因になる。
大騒動を起こしている『まほ★まほ』でも、サーバー負荷軽減でマイルーム空間を個別化したように。
少ない資金繰りで運営しているVRMMOではよくあるのだ。
ちなみに入手した本は現実で読める仕様なので、読書はゲーム内でするなと圧がかかっている。
ああ、はい。
ゲームで読書も仕事もするなって事っすね。
向こうの運営はそういう意図ではないんだろうけど。受け取りましたよ、このゲームの方針を。
早速、消しますね。
とか何とか、私が一人相撲をやってましたら『まほ★まほ』の方で動きが!?
メンテ終了を確認したので、ログインすると――おお!
個別マイルーム空間状態! 前回の仕様に戻ったのか……だけではない!?
戦闘システムも復活!
NPCの遠征課金も復活!
しかも、装備やアイテムなどの補正まで復活!
何もかも復活したのか!?
って、訳でもない。
これまでの大騒動に対する長々と謝罪文が掲載されると共に、変更点もあったので簡潔にまとめると。
・運営は元メンバーが完全放棄した為、今後は社長の身内が経営する。
・補正については、調整が必要な部分がある為、時間をかけて修正していく。
それでも戦闘機能や補正を復活させるべきと判断した為、復活はさせた。
・誕生日イベントは最初に告知されてた通り、ランキング形式にする。
などなど……
確かに、対応が今までの傾向とは違う。
第一、身内が仕方なく対処するって、もう……どういう状況なのさ。
さて、実際の挙動を確認しよう。
残して置いたタロットカードなどの武器、箒の使用感は……お、おお!?
これは!
私は五大魔法を習得して装備状態にあったが、面倒な動作を必要とせず、脳波で簡単操作で魔法が発動するぞ!?
箒を使った脳筋戦法も健在だが、他の武器でも自在に魔法の組み合わせができる!
よしよし……では次だ。
私はマイルーム空間で腰かけ、適当な仕事を始めて見た。
「……きゅん! きゅんきゅんきゅんきゅん!! きゅきゅきゅ! きゅきゅきゅきゅきゅきゅ」
だああああああああああ!
やはり、元の戻ってしまったか……常盤くん。
何もしてないと、カーバンクルが暴れ出してしまう仕様だけは要らんというのに。
仕方ないか。カーバンクルの監視行為がクラフト補正に関わって来るからね。
あとは……そういえば、最近まで安価に作成していたタロットカードの補正はどんな感じだろう?
チェックしてみよう。
『大アルカナ』★★★
耐久度:1000
攻撃力:350
俊敏値:500
効果:ジェイド補正(中)
おお? 中々悪くない。適当に作成した割には、全てが高めじゃないか。
あ……そういう事か。
このカードの素材は土地で伐採した木材。その中でも、常盤くんに選んで貰ったものを使った。
カーバンクル……今回の場合、常盤くんのようなジェイド補正がかかっている個体は良品質を発見する機能が搭載されているのかも?
色々検証してみる必要はありそうだ。
ついでに、ペンデュラムの補正や衣服の補正も復活していた。
桃花さんのハーバリウムも! うむ、良かったよ。
ただ、ちょっと気になったのはチャロさんの誕生日プレゼントで作成した水晶玉。
『バースデークォーツの水晶玉』★★★★★★
耐久度:70000
攻撃力:2700
俊敏値:1400
効果:アメジスト補正(大)
品質向上補正(中)
状態耐性補正(大)
カーバンクルの加護[ジェイド]
補正内容に変更点がある。多分だけど、使用素材で補正が変化したって事なのか?
また検証しないといけないのがな、大変だよ。
他は……あ! NPCの訪問設定は!?
えー、こっちは改変前の仕様に戻ってしまっているじゃないか!
ちょっと残念。
でも、山で採取した素材の売れ行きが良い。
『土地』の採取には上限が設けられてて、課金すると再採取可能になる仕様なのだが……
妖精たちに素材の仕入れを任せて、私はクラフトをやっていこう。
あぁ、そうだ。元の仕様に戻ったから、妖精の最大数減っちゃったんだよなぁ。そこも残念。
私は店内の仕様を、カウンター形式に戻しつつ。クラフトの準備を行う。
全ての仕様が戻ったという事は、即ち本来の予定通り、モルガンさんたちの誕生日イベントに備えるという事!
「よし。ではモルガンさんの誕生日プレゼントを作りましょう」
「きゅきゅん!」




