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VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


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【まほ★まほ】家族


それは突然やってきた。


真帆与がぐうたらと加速時間で過ごしていると、突然『サーバーに接続できません』と表示され、強制的に加速時間からログアウトされたのだ。

突然の現象に、困惑しつつ真帆与はヘッドギアを外し叫ぶ。


「ちょっと……何!? どういう事!!? また『MAO』の奴がやらかした訳!?」


「やらかしたのは……お前だろう!」


起きた真帆与に対し男性の怒鳴り声がぶつけられた。

真帆与は、いつもの高慢な態度を委縮する。

彼女が体を起こした先にいたのは――彼女の両親二人、そして彼女の兄だった。


「パパ、ママ? お兄ちゃんまで……な……何でいるの……?」


「何でも何も――私達が何も知らないとでも思ったの!?」


「博人! 早く対処をするんだ!! 真帆与の事は私達に任せろ!」


「はいはい……」


「ちょ、ちょっと!? 勝手にいじらないでよ!」


ヘッドギアを被ろうとする兄・博人を止めようとする真帆与だが、博人の方も、気怠い態度で溜息をつく。


「俺だってこんな面倒な作業引き受けたくないよ。でも、お前のやらかしが俺達身内にまで影響するようじゃ黙ってられないだろ」


「は? ど、どういうこと? もしかして、アイツらがネットで私の個人情報ばら撒いたの!?」


話題を逸らさぬように真帆与の父親が、怒声を上げた。


「真帆与!! ゲームの事は博人に任せなさい! お前はもう何もするな!!!」


「私が責任を持つって言ったじゃない!! 口出さないでよ!」


母親は泣き崩れながら嘆く。


「ああ……だから止めなさいって言ったのに。貴方はいっつも他人任せで責任感がないのに、こんな事を……」


荻野の仕事内容が吹き飛んだ緊急メンテナンスは、これが原因だった。

当然、身内である彼らは真帆与がVRMMOを立ち上げる旨を把握していた。

真帆与自ら公表したのである。

だが、真帆与の性格を知る彼らは、かなり反対意見を述べて来た。

父親が改めて真帆与に問う。


「どうして、彼女達がいなくなった時。私達に連絡をしなかったんだ」


「……戻って来てくれると思ったから……それパパ達に関係ないじゃん……」


「大アリだ。私達がVRMMOの立ち上げに反対した時、彼女達が必死に説得したのを覚えていないのか? 彼女たちはお前の才能に惹かれて、あのゲームを実現したいと頭を下げていたのを」


「アナタ。覚えてないわよ、この子は」


母親の合いの手の言葉に、音もなく傷つく真帆与。

まるで自分がロクでなしのような対応をされて嫌気が差す。

だから、真帆与も家から出たかったのだ。

両親は良くも悪くも、真帆与が他人任せの我儘気質であると十分に理解していた。

父親が溜息をつく。


「ゲームの運営など重要な部分は真帆与に任せられない。それらを彼女たちに全て一任するという形で、VRMMOの立ち上げを許可したんだ。……そんな彼女達が責任を放棄した以上、真帆与やAIにゲームを任せる事などできない。今も、お前がAIに任せたせいでゲームが無茶苦茶になった。違うか?」


「………私が悪いって言いたいの」


「悪いもなにも、お前は元から才能以外、性格が終わっている。今回に関してはゲームとお前を放置した彼女達が悪い。彼女達はお前がどういう人間か理解した上で私達に詳細な連絡もせず逃げたのだからな」


「…………」


真帆与を擁護しないどころか、AIのようにアイデアを量産する生物扱いする父親。

両親とて、真帆与の教育を放棄した訳ではない。

しかし、どんなに叱っても改善できず。

学校でもハメを外して落ち着きない、社会性がない個性なのだと受け入れた上で、この対応なのだ。

母親がなるべく強い言葉を使わず、真帆与を宥めた。


「いい? 真帆与。ゲームのシステムとか運営は博人に任せて、貴方はお話とかキャラクターを作りなさい。前も話し合ったでしょう? それが貴方に向いているんだって」


「違う……違うの! 私は子供向けのゲームにしたかっただけなの!! 大人が無茶苦茶な事する仕様にしたくない! 子供の頃の私みたいな被害が起きて欲しくない!! だから色々改変してただけ! それなのに……それなのにぃぃ……うう、うううううっ!!」


「真帆与……」


真帆与は子供のようにわんわん泣き始めてしまう。

彼女は泣く泣く事務所を後にして、『まほ★まほ』は博人が引き受ける事になった。

博人は両親に方針を確認したが、借金を出さない程度に運営を続けるようにと言われる。

ひょっとしたら、真帆与の気力が回復するかもしれないから。


博人も博人で、本来ネトゲ配信活動を主にしている身なので『まほ★まほ』に縛られたくはなかった。

それでも、直近のモルガンの誕生日イベントに間に合わせようと、現在のワールド形態を一段階前のオープンワールド形態に戻して戦闘システムを復元して、など繰り返していると……


「げぇ!? マジかよ……このゲームの補正、無茶苦茶じゃねぇか」


ランダム性があると自棄に定評だった『まほ★まほ』の補正。

その実態は、AI『MAO』が様々な情報を基に産み出した数字のランダムだった。

ダイヤモンド系だから、壊れやすいとか。

桃色の花だからアメジスト補正がつくとか。

そういう系統で判別してたり、してなかったり、結構適当な配分だった。

数値に関しても、鉱石の高度や屈折率の数値を採用したり、天体の経度を採用したりなど。

一から全部見直すべき項目が多すぎる。


「はぁ、間に合うのかよ。これ……」

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― 新着の感想 ―
急に出てきた謎の親族 正当な事情がありそうですが印象悪いですね
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