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VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


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【まほ★まほ】ストライキ


「ねえ! なんで台詞集渡された時、変だって思わなかったの!? 私に連絡取ってくれなかったの!!?」


真帆与は声の提供をしてくれた友人に詰め寄っていた。

友人の方は「ああ」と何てことないように返事する。


「プライベートだとキャラ変わるタイプなのかな~って。ほら、そういう人いるじゃん」


「い、いや……でも一人称がコロコロ変わってたでしょ!?」


「プライベートの一人称決めかねてて、色んなパターンのボイス集めてるのかと思ったよ。なに? あれって何か駄目だったの??」


「そ、その……他の人が勝手に、そう、AI任せで作った適当な奴だったの。もう一度、これ! 台詞の声当てお願い!!」


真帆与から渡された台本を見て友人は「まぁいいけど」と承諾してくれた。

他二人も同様に承諾してくれ、真帆与は一安心する。

一時はどうなるかと冷や冷やしたが、何とかなりそうだと呑気で喫茶店でケーキを注文する始末。

紅茶を飲みながら、今後を考える真帆与。


(『MAO』があそこまでポンコツだったなんて……! イベントのシナリオは酷かったけど、台詞なら問題ないと思ったのに!! 舞踏会と武道大会を間違えるって何!? キャラの情報を読み込ませたのに、なんで一人称間違えるの!? はぁ……)


荻野の推理通り、真帆与は全てAIにぶん投げしていた。

適当ながらAIが学習するものだと認知していた真帆与は、ゲームのデータを基にシナリオやイベントの作成を『MAO』任せにできると踏んだのだ。

結果は散々。


だが、これは『MAO』ではなく真帆与に問題がある。

たとえば舞踏会と武道大会を間違えた件は、普通に真帆与がタイピングミスをして、()()()()になっていただけ。

真帆与は、ゲームデータと接続していると思い込んでいるが、『MAO』は『まほ★まほ』の固有名称がない為、『まほ★まほ』とは無縁のデートイベントボイスと考え、出力しただけ。

元が駄目なら、如何にAIが優秀でも駄目になる稀有な例であった。


(でも……みんなは何だかんだ、やってくれるし。大丈夫。うん)


真帆与は、意識を切り替えるつもり、リフレッシュのつもりで買い物を満喫した。

ついでに適当な雑貨を購入。

メンバーのカラーに合わせた雑貨で、彼女達のご機嫌取りを行おうとする。


「ただいまっ!」


と、サーバーのある事務所に帰宅した真帆与だが……帰宅したのは、すっかり夜の時間。

部屋はどこも明かりがついていない。

きっと皆は作業を続けてて、加速空間にいるのだと真帆与は考えた。

のだが……


「……あれ?」


明かりを付けて、メンバーの様子を伺ったが、誰もいない。

ヘッドギアは電源オフの状態で放置。

唯一、絶賛稼働中のサーバーとそれを冷やす冷房だけが動き続けている状態。

ポカンとして真帆与は慌てて、加速空間に潜る。

しかし、やはり誰もいない。


「『MAO』!? 皆はどうしたの!!?」


『おかえりなさい、真帆与。他の方々はログアウト状態です』


「そうじゃなくて! ああもう、このポンコツ!! ねえ、皆はシステム完成させたって事!? イベントも作り直したのよね!!?」


『本日の皆様の作成ログはありません』


「……は? 嘘でしょ??」


明らかに不満を見せていたメンバー。

彼らは、所謂ストライキを決行したのである。

冗談ではないと、真帆与は慌てて他メンバーに連絡を取ったが、全員が着信拒否状態。


しかし、これだけでは終わらない。

友人たちから、ちゃんとしたボイスが送られて来たのに安堵して真帆与が、ボイスを導入し。

今度こそ一安心して、真帆与がSNSのエゴサをしてみたら。


「トレンド入ってる! そんなに誕生日イベ盛り上がってるんだー……えっ」


『まほ★まほ』のトレンド入りは、別の炎上によるものだった。

それは運営メンバーの告発。

今回の誕生日イベが無茶苦茶になろうとしてる事、真帆与の我儘で運営方針が壊滅し、サ終待ったなしになる事が示唆されていた。

最終的に、今回の騒動で真帆与が状況を理解し、運営方針に口出ししない事を約束して欲しいと――最初に運営から抜けたメンバーが中心となって告発したのだ。


『マジで学習してから設立しろって』


『後先考えてない奴すぎwwwwwwwwwwwww』


『世界観とキャラデザはいいので応援します』


『子供がかわいそうだから、課金勢蔑ろにします←は??????』


『一番頭キチだったのが運営って何なのこのゲーム』


『(ひょっとして、この状況ならチャロたそのデートイベント狙えるか!?)』


などなど……

自分勝手の極み、やりたい放題のコメント欄。

真帆与があまりの事態に、憤慨するのは当然の事だった。

子供の為のVRMMOを目指そうとしていたのに、結局知名度と金に目が眩んだ結果だと真帆与は思い込む。


「なにこれ……! 好き勝手言って!! もう知らないわ! 私は私のやりたいようにするから!!」


とは言え。

技術力皆無な真帆与が頼れるのは『MAO』だけ。

勝手にポンコツAIだと勘違いしている真帆与でも『MAO』に指示するしかなかった。


「『MAO』! 私の指示通りにシステムを組みなおして!!」


『システム再構築の為にはサービスを一時停止します』


「ああもう、メンテナンスでしょ!? 早くやって! いい!? ちゃんと私の指示通りに作ってよね! まず……」

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次はクソ運営編…!? VRゲーム回の闇が濃縮されすぎだろこれ……
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