【まほ★まほ】レジン
その後、私は一旦『スパーダ・アベントラ』にログインしたが、直ぐにログアウトした。
とんでもない位、人がいたのである。
恐らく、私が手を加えた『フィアンマタウン』の件も周知されたのだろう。
あれだけ過疎ってた下層が、別物のように様変わり!
装備や剣の進化具合から、かなり上位と思われるプレイヤーが群れを成して行動していた。
以前行われた下層の大規模調査の縮小版のような集まりに違いない。
なので……平日にログインする事にした。
一応、ログインボーナス目的で明日もログインだけはするけどね。
まだ大会まで時間はあるし、焦る必要はないのだ。
何より、あれほど人が集まっては下層の残りの隠し要素も暴かれてしまうだろうし……
今度こそ中層へ向かうつもりだ。
FEOもイベントのシナリオ更新をチェック。
演者の協力で祭の準備が進んだ的な内容を張角から伝えられた一方。
現地人が、どこからともなく正体不明の怪物が襲撃してきたと連絡してきた。
その怪物は……三章のクトゥルフ戦で登場した半魚人と、青緑色のタコに、エメラルドの宝石?だった。
エメラルドの宝石?は生き物っぽくないけど、光弾を放って攻撃してくるので破壊する事となる。
新たなモンスター討伐依頼と、襲撃による建造物の修復を張角より依頼される。
素材的にも私が協力する程ではないので、皆さんにお任せする事にした。
なので『まほ★まほ』で入力の仕事を熟しつつ、BGMと聞きながらゆっくりしようとした……が。
何もしてない――厳密にはゲーム作業をしてない――と、カーバンクル君が構ってくれときゅんきゅん鳴いて暴れ回るようになってしまった。
く、くう……そういう仕様なんだろうが、これでは仕事が……!
だが、私は閃く。
桃花さんのやり方を参考にしよう!と。
長時間クラフトをやりつつ、仕事を熟すスタイルだ。
私が作るのはハーバリウムではなく『レジン』。
どこかで聞いた事ある人もいるかもしれないが、透明な合成樹脂の中に色々とお洒落な画材やビーズを入れて熱で固める。
お手軽なアクセサリから、とんでもなアート作品まであるものだ。
実際に、レジン作品は幾つかマーケットで販売されていた。
主婦層から子供層まで、現実でもできるクラフト要素だからか、結構な数が出回っている。
レジン作品を作る際に必要なのは『型』。
どんな形にしても、レジンの樹脂を形留める型が必要になる。
しかし……私が求めている型がないので、型そのものを作成する事から始める事となってしまった。
私が求めている型とは、それぞれの武器の型だ。
熱しても影響ない素材で型を作成。
試しに、それぞれレジン樹脂を入れて形になるかだけ確認しよう。
よしよし。クラフト場の湯煎で温めたら、形状通り固まってくれた!
あとは武器判定だが…
駄目だぁ……水晶玉は水晶を使用しないと判定にならず。
タロットカードは問題なさそう。
杖も、芯の中に素材を入れたら判定を受けた……が。
どれもこれも耐久度が低い。素材を入れたりしたら補正が効くかもしれないけど……
不安を覚えながら、まずはタロットカードを作ってみる。
今回は実験的なものなので、補正云々などは深く考えないで作るぞ。
この手のレジン作品には煌びやかな色彩の着色で美しさを引き立てるのがモットー。
ジェイド補正を含む着色料と鉱物の粉末。
中に入れても邪魔にならない植物を入れて湯煎で温め!
よし! タイマーセット!!
この隙に仕事!
カーバンクル君が「きゅー……」と観察……監視しているが邪魔はして来なかった。
おっしゃあ! 対策バッチリ!!
……うん。私は何と戦っているんだろうね。
そして、完成したのが以下のタロットカード。
『レジンカード(ジェイド)』★★★
耐久度:150
攻撃力:50
俊敏値:300
効果:ジェイド補正(大)
お、おう……全然駄目だなこれ。
補正値が全然駄目どころか、全体的な能力値も駄目。
しかし、補正(大)がちゃんとついているのは、結構大きい部分だ。
杖も同じように型取りを行う。
持ち手部分だけはレジン製にはしないでおいた。何となく握った感覚が微妙なので。
でも、折角なので木製とレジンが入り混じっているような。
まるで木が宝石に変化したような独特のデザインにしてみた。
先端は緑色の宝石っぽく着色を施し、持ち手部分にかけてある木星は『イトスギ』を使用。
杖の芯にはジェイド補正の鉱石や植物の粉末、呪いのピースの粉末を使用。
さて、これでどうなる……?
『レジンロッド(ジェイド)』★★★
耐久度:530
攻撃力:135
俊敏値:1500
効果:ジェイド補正(大)
ああっと……こっちの方が良いな?
しかし、ビックリするほど補正がつかない。色々と検証していくか……




