【スパーダ・アベントラ】速さ
はぁ~~~~~~、疲れたよぉ~~~~~~~。
そんな疲労感を私は大浴場でサッパリ回復させつつある。
手短に昼休憩後、私は『フィアンマタウン』の清掃クエストを続けた。
今日の夕方からFEOのイベントが開始する。
その為にも、今日中にケリをつけたい。
あと、清掃クエストをクリアする度に『フィアンマタウン』の人並みや模様が変化していったのだ。
これは……他プレイヤーに悟られる前にやっておかなければと急ぐ。
最後の旅館の大浴場清掃クエストを終えるまでに、以下称号が貰えた。
『称号:フィアンマタウン観光大使 を 取得しました』
『称号:お掃除上手 を 獲得しました』
『称号:お人好し を 獲得しました』
『称号:フィアンマタウン観光大使』
取得条件:フィアンマタウンの集客に関するイベントをクリアする
効果:持続力アップ
『称号:お掃除上手』
取得条件:清掃クエストの完全クリアを3回行う
効果:異常状態耐性アップ
『称号:お人好し』
取得条件:NPCのクエストを5回クリアする
効果:SPの上限値100アップ
結果は満足である。
今回得た症状のように持続力――スタミナを示す――アップや異常状態耐性アップなど、結構良い効果からSP上限アップまで、称号で得られる能力値は大事だ。
でも、下層でゲットできる奴だし、期待しないでおこうっと。
ちなみに、『フィアンマタウン』全体も最終的に結構様代わりした。
先程なかった店やNPCが多くいる。
色々探ったら連続してイベントは起きそうだけど……ここは我慢!
先に『ノワール』へ向かおう!
ポール君にサリレして駆けていく途中、もう段々とポール君のスピードに慣れてきたが。
おや?
ちょっと、いつもよりポール君のスタミナが多くなった?
と思いきや、ポール君にも『称号:フィアンマタウン観光大使』の能力値が反映されている模様。
心なしか「わふん!」とポール君も楽しそうだ。
……いや、確かに凄い。凄くないか?
あともう少しで『ノワール』がある『トゥローノタウン』に到着するけど、スピードが落ちてない。
いかんいかん。
他プレイヤーにポール君を見られたら質問攻めされる。
街が見えて来た段階で、私はポール君から降りる事にした。
『フィアンマタウン』から『トゥローノタウン』にかけては高原が続いており。
『フィアンマタウン』周辺は草木が乏しいが、『トゥローノタウン』に近づくにつれ草木が増えていく。
『トゥローノタウン』は名称通り、雷雲が立ち込めるうす暗い街だ。
人々は雷エネルギーを利用した生活を営んでいる。
雷雲を薄暗さを利用した煌びやかな電飾で、街を飾っているのは中々洒落ている。
街周辺をイルミネーションで照らしているのは、下層の中でも比較的こだわった街だ。
……んん?
私が街に到着すると、びっくりするほどプレイヤーまみれ!?
これは一体……と探っていたら、私の目的地であるレストラン『ノワール』の前に人だかりが!
う、うわああ!? なんじゃこりゃ!
他プレイヤーたちの会話に耳を傾けたら……
「下層探索しようって、どこかギルドリーダーが呼び掛けてたよな。今から参加できっかなぁ~」
「やめとけって! それやってんのルナ様だぞ」
「絶対そうよ! 今、ルナさんが下層探索してるからルナさんが発見したに決まってるわ!!」
「やっぱり下層に何もない訳なかったんだ! 今から隠し要素探しするぞ!!」
「このレストランの効力分かった奴いる!?」
「いても教えねーだろ」
「くっそ! ギルドの連中が予約埋めやがって!!」
「街も前と変わってるところあるから、隠しクエストあるんじゃね……?」
「確かに! 先に街から行くか!!」
な……なんてこった……
行くに行けないじゃないか、これ。
下層だから噂が立つこと無いと思ってたけど、想像以上に情報が回るのが速い!
……取り敢えず、ここで入手できる奴を購入しておこう。
冒険者ギルドで購入できるスキルは――
『エレット』 消費SP:3 少し電気を流す 100円
『ヴェント』 消費SP:3 一定時間、風を纏う 1500円
『ノヴァラ』 消費SP:- 不思議な雲を生み出す 5000円
これも色んなクエストで使えそうな要素だ。
雲を生み出す、風や電気。
これこそ畑などの植物を育てる天候変化とかできそうだし、ワクワクしてきたぞ。




