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VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


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【Fatum Essence Online】除霊


イベント後、アルゴー船かドレイクの海賊船、双方から追跡される。

どちらもこちらに進行しているのだから、結局、どちらかを相手しなければならないのだろう。


しかし、だ。

何度も言うが、アルゴー船との衝突は無謀。

そもそも彼らは敵サイドではないので、無視したい。

味方に引き込めるなら引き込みたいが……あそこにいるのは、神格レベルの存在ばかり。

あっさり、腕を下ろしてくれるか怪しいものだ。


かくなる上は――『アイテム』の使用!

散々、私がパズルを解きまくって解放した『アイテム』は、海賊船の補強材だけではない。

天候操作の特殊アイテム。

相手の封じるトラップ。

こいつで時間稼ぎをするのだ。


と言っても、本当に時間稼ぎでしかない。

黒髭が消えてくれたお陰で、彼の船があった場所から包囲網を突破!

距離を少し稼いだが、アルゴー船とドレイクの海賊船は絶妙な距離感を保ちながら、接近する様子がない。

……ひょっとして、停戦協定みたいなもんがあったり?

困るなー。

結局、同時に相手しなくちゃいかんじゃないか。


一体どうして時間稼ぎをしているのか?

痺れを切らしたドレイク側から何等かのアクションが起きるのではないか。

現状を観察しているであろうタマモちゃんがアクションを起こすかもしれない。


それと……もし、クトゥルフ狙いなら、時間経過で出現する。

整合性のある推理を披露しても意味はない。

証拠が必要なのだ。

色々と面倒だけど、本当にクトゥルフが登場してくれたら何とかなる。


何とかなる、っていうのは、仮にクトゥルフが厄介な攻撃を仕掛けても、アルゴー船の神格たちが何とかしてくれる意味であって……巻き込む前提で私が大分クソではあるけど!


……と、色々思っていたら。

急にマップが薄暗くなっていき、やがてマップ全体が霧、変な煙?

独特の空気漂う、不気味な様相へ変貌を遂げた。

イベント発生をタップし、自体を把握すれば……ツクヨミが険しい表情で告げる。


「これは……死の瘴気!? 室長とやら、重要な情報が不足しているぞ。件のクトゥルフとやらは私と同じ『()()』の神格ではないか」


『は!? い、いやいや、そこはちょっと、そういう情報や記述はどこにもないんだ! ポセイドンではなくハデスとミックスになっているせいで死の瘴気が漂っているとかは!?』


「適合者がエッセンスを回収していた事もあり、ハデス神の神気は判別可能だ。……が、それはハデス神のものとは異なる」


『ま……不味いな。みずの君。ツクヨミと一心同体状態になった方がいい。君自身が死にかねない!』


周囲の変貌に乗船している人々も同様を隠せない。

あまりの薄気味悪さに、アンとメアリーも臨戦態勢を崩さなかった。


「今までと全然違うんだけど……だ、大丈夫!?」


「この船は兎らが改造を加えてある為、安全だ。瘴気で死ぬことはない」


「……ああ、うん。要するに変な空気で死ぬ訳じゃないってだけか。……なんか向こうから来てる」


「きっ、きゃああああああ!? き、キモイ!? なにあれ魚人間!?」


霧、いや瘴気のせいで視界が悪いものの。

海中に無数の魚人間が、気味悪い程にひしめき合っている。

クトゥルフ神話に登場する魚人間……な、なんだっけ。神格しか調べてなかったよ!

とにかく、あれはクトゥルフ側の勢力だったのは覚えているぞ。


しかも、瘴気が何かの形を纏っている。

なんか……亡霊?

人の形をしていれば、亡霊っぽい霧の生物。なんか、変な昆虫とか植物とか、触手とか、なんか、なんだろう? クリーチャーの亡霊の軍勢が海上を通過し、迫って来るのだ!

クトゥグアは冷静に周囲を見渡す。


「いない……ここにも、奴はいない」


ってことは、全部のクトゥルフの仕業ね。

えーと、クトゥルフは幻覚系の技を使うっぽいから、これも幻覚なのか?

私の疑問に応じてくれるように、選択肢が表示された。


>これは幻覚?


「幻覚ではない。文字通りの亡霊だ。魂の浄化や分解の処理がされていない、汚れた魂だ……最も、あれは全て人間や家畜ではないが」


ツクヨミの言葉にアンとメアリーは引いている。


「要するに化物の悪霊?」


「化物も悪霊になるんだ。変なの」


「って、悪霊とかどうするのよ!? 銃も剣も通用しないのにー!!?」


「アレらは私達に任せて欲しい。お前たちは船を死守してくれ」


ツクヨミが合図すると、ひょこひょこと兎達が登場した。

一心同体のまま、私とツクヨミは海上を飛行移動し、間もなく悪霊の軍勢に衝突する。

その手前。

一旦、ツクヨミが停止し、後から続いて竹のジェットで飛行してきた兎たちは……除草剤の散布機みたいなものを装備し、準備万端な構え。

これは一体!?


「これより、奴らの浄化を行う。適合者の知識でいう除霊もしくは成仏させると表現するべきか」


成程!

ツクヨミ――と兎たち――は冥府の神格だからこそ、対悪霊の技を行使できる訳か!

……その除草剤的なもので、()()ならぬ()()……って事!?

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