【スパーダ・アベントラ】剣(展示ケース)
私が到着したのは『クレイクタウン』と呼ばれる街。
ちらほら他プレイヤーの姿が見えて一安心。
まずは新しい服を購入しよう!
いつまでも『はじまりの服』を着ているようでは駄目。初心者ですって宣伝してるようなもんだからね。
お店でアイテムを売却だ。
色々あるお店の中でも、薬屋に入り、店内にいるNPCのおばあちゃんに売却をお願い。
NPCのおばあちゃんは自由度ない、定型文対応のAIだった。
売却ついでにアイテムの識別もしてくれる。
如何にもな草花やキノコを採取したと思ったが、300円、500円、250円……いまいちな値段。
新しい服を購入できる程度には稼げたので良いとしよう。
お次は服屋。
こちらもNPCの女性店員が定型文対応をしてくる。
一番安い『冒険者の服』を購入。防御力と体力がちょっとアップする性能だ。
次は冒険者ギルドの登録。
自棄に人も少ないので簡単さくさく登録完了。
更に、ギルドで受講できる『斬撃講座』を受けて、遠距離攻撃を取得。
<ジョヴァンニ>
剣:ディスプレイソード
服:冒険者の服(体力100 防御50)
体力:200
攻撃:510
防御:60
SP:10/10
スキル『斬撃』 消費SP:2 遠距離攻撃が可能
称号『モンスター討伐者見習い』 攻撃と防御が10アップ
よしよし。これで次の探索を頑張ろう。
クエストは……まぁ、受けない方針でやっていく。今は気ままに探索したいので。
『ディスプレイソード』に取り込んでいた光源の石――『灯石』は、そのまま。
渓谷から、荒野に向かう道中も、負荷にならない軽いアイテムを取り込んで保管しておく。
ううむ。やっぱり誰もいない。
街に他プレイヤーがいたけれど、活気はない感じがした。
発展している中央都市的なものを目指さないと他プレイヤーはいないのかね?
って、また進化だ!?
ようやく慣れてきた『ディスプレイソード』が光に包まれると、新たな姿に変貌。
『ディスプレイソード』よりも頑丈なクリスタルの刃と金属製の淵があしらわれた剣に変貌。
『ショーケースソード』
攻撃:1500
性能:アイテムを取り込んで展示する
展示したアイテムは盗まれず、死亡時にロストしない
展示したアイテムの詳細を識別できる
うん、おお?
想定外ながらも、いい感じに進化してくれるじゃないか!
識別は本当にありがたい! 保管、ではなく展示と表現が変わっているのも何かあるだろうか?
試しに荒野で採取したサボテンっぽい植物をいれてみる。
展示品のように並べらているアイテムに注目すれば、個別にウィンドウが表示された。
『なごみサボテン』 売価:50円
気持ちを穏やかにさせてくれるサボテン
疑似的な鑑定スキルやんけ! 売価まで表示してくれるの神過ぎる!!
うおおお、もっと他にも識別しまくろう!!
一見、大した事ない奴が価値あったりするかもだから、気になったものはガンガン入れてみよう!
取り合えず、荒野で価値あるアイテムを回収し、次の街で換金する事に。
うーむ……でも、あまりないな。
ぶっちゃけ、洞窟で採取した植物の方がまだ値段ある気がする……一旦戻るか?
荒野を進んだ感じ、その先は果てない砂漠地帯。砂嵐が巻き起こっている。更に気温差もあるだろう。
もうちょっと資金稼ぎしてから、装備を整えよう。
街に戻って換金。
それから洞窟内を再探索し、色々と採取。鉱石もゲット。
冗談でもなく、クエスト受注するより稼げるので、ここの周回は安定するな。
ちまちま周回を繰り返していたら、セットしておいたタイマーが鳴る。
今日はここまでかー。
最後に街の様子を軽く見ておこうっと。
『クレイクタウン』には、まばらにプレイヤーが点在していると言ったが、まさしく少数。
拠点らしき自宅を購入、庭でガーデニングを楽しむ女性プレイヤー。
飲食店でコーヒーを飲みながら読書をしている男性プレイヤー。
何か、ビックリするほど探索に勤しんでいる雰囲気がない。
時期的にも、新規がごった返しているVRMMOではないから、こんな感じなのかね?
「アンタ、見かけない人だな。新規の人か?」
通りすがりのプレイヤーが話しかけて来た。
情報収集がてら私は返事をする。
「はい。この辺りってプレイヤーの人はいない感じなんですね?」
「上級プレイヤーは中央都市に集っているんだ。っていうより、この辺りは下層地帯だからな」
そこは公式HPにも載っていたな。
『スパーダ・アベントラ』のオープンワールドは『下層』『中層』『上層』さらに上の『特層』がある。
階層ごとでサーバーが分けられ、負担を軽減していると聞く。
私がいるのは、一番下の『下層』。
色々と想像がつくのだが……
「にしては、かなり人がいない気がするのですが?」
「あー……アンタ。マジで事前情報なしで来た感じか。戦闘をやりたくて来たなら、さっさと『中層』を目指した方がいいぜ。『下層』は本当に何もない。温い敵しか出現しねぇからな」




