【タロッツ・オブ・オンライン】概要
『タロッツ・オブ・オンライン』。
典型的なオープンワールド形式の異世界VRMMO。
タロットの能力を駆使して戦闘、クラフトを行うものらしい。
だが……既にサービス終了済み。サービス終了したのは約10年前!
10年……割とVRMMOに触れている時期、かな。バイターはやっていなかった筈。
古いPVや実況プレイ動画を眺めても、うーむ……ピンと来ない。
案の定、これのサービス期間は一か月!
ええ、一か月って!?
随分と古い掲示板の過去ログやブログ、まとめサイトや解説動画に目を通して、意外な事実が判明した。
なんと……このVRMMOがサービス終了した原因は、タクだったのだ。
まさか、彼はこんな時期から活躍していたとは。
何故『タロッツ・オブ・オンライン』がサービス終了したかと言うと、タクの豪運が原因なのだ。
『まほ★まほ』では未だ解説の機会がなかったタロットの1つ。
『運命の輪』という車輪の絵柄のタロットがある。
意味合いには、幸運や他者との繋がりという……今、考えればタクが好みそうな効果を持つ。
そして、『タロッツ・オブ・オンライン』でタクは初期設定のアルカナに『運命の輪』を選択。
別にここまでは普通の事だった。
タク以外にも、初期設定のアルカナに『運命の輪』を選択する事はそれなりにいる。
幸運補正でレアアイテムがドロップしやすかったり、NPCと友好関係を築きやすかったり。
最初は、そういう補正程度だった……のだが。
タクは謎に幸運で、ネームドモンスターと呼ばれる珍しいモンスターと遭遇し、意外にも戦闘が得意なのに加え、幸運補正でクリティカルをヒットしまくって、最終的に討伐。
序盤でいきなりネームドモンスターが保有する特殊装備ゲット。
タクは「序盤のステージに登場したモンスターだし、大したものじゃないよ~」と謙遜しながらも、ちゃっかり装備の強さを生かして、高難度クエストを熟す。
活躍するもんだから、NPCにも好かれまくる。
更に更に、補正が成功判定するとアルカナも強化され『運命の輪』の効力は尋常ではないレベルに……
そして、他プレイヤーの士気は急激に低下する。
ネームドモンスターをタクが討伐しまくったせいで、他プレイヤーに触れられる機会がなかった為。
運営がネームドモンスターの復活対応をしたが、それもタクに討伐される。
ネームドモンスターはNPCに被害を及ぼすから復活させるな!
復活させても何度だって討伐してみせる!(キリッ!!
みたいな態度をタクが取る始末。
ネームドモンスターを討伐しようとするプレイヤー達にタクが謎の粘着をする始末。
子供みたいに「僕がやる!」「僕に任せて!」と駄々をこね。
他プレイヤーが失敗するのを横取りして、相手を見下してドヤる……
うーん。これは駄目。無自覚でもヘイト力が強すぎる。
タクをどうにかできない運営に呆れて、他プレイヤーが軒並み立ち去り。
サービス終了となった。
酷い顛末だ。
……って、違う違う。
問題のヘリオガさんについて調べてたのに、タクなんてどうでも良かったじゃないか。
でも、どこもタクの話題ばかりで、ヘリオガさんに関する情報が掴めない。
現在のヘリオガさんを試しに調べてみると……ほげぇ!?
普通に、現実の顔写真とかあるんだけど! 本名まで出てる!!
それもその筈、彼はプロのVRプレイヤーなのだ!
あーと、えーと……ちょい待ち。
念の為に、私が現実で在席していた小中高の卒業アルバムを確認する事に。
何故かというと、彼と私。同い年だった。
……………………………………………………………………………………………………………………い、いた……。
小学校だけ同じクラスだった!?
でも、記憶ねぇなぁ!
話した覚え、話しかけられた覚えとか、ないなぁ!!
うう~~~ん……しかし、小学校の時期と『タロッツ・オブ・オンライン』のサービス時期は合致してないぞ。
同級生だったのとは関係ない、のか?
ないなら、ないで話は終わりでいいのだけど。
若干、不穏要素があるんだよね。本当に彼が現実の私を知っているなら、面倒な事になりそう。
む……どうやら『タロッツ・オブ・オンライン』にはオフライン版があるようだ。
オープンワールドを圧縮した簡易版ではあるけど、戦闘とクラフトを楽しめるぞ!
販売価格は500円!
悲しいな……VRMMOで、かつては加速時間ありのものが、こんな低価格のオフライン版になってしまうとは。
しかし、低価格ならば購入し、実際にやってみるとしよう。
早速、ゲームログイン。
キャラクリエイト画面に移行するが、適当にランダム作成して貰う。
体格を現実の私基準にして貰い……眼鏡をかけた薄藍色の青年が完成する、が。
服装は適当なものだった。
どうやら、次に選択するアルカナで服装は決定するらしい。
私が選ぶのは――




