【ヴァルフェリアオンライン】セクハラ
エルフのフォルでログインした私は、スキルのレベルアップを続ける。
現時点でのステータスは以下の通りだ。
PN:フォル/エルフ
Lv20
HP:10500
MP:53000
ATK:24
DEF:24
INT:430(+100=イベント入手のステータスポイント)
STR:210
VIT:105
DEX:120
AGI:29
基本魔法:『火炎魔法56』
種族スキル:『魔素眼』『魔素操作142』『魔素作成1』『武器:杖1』『武器:弓1』
『火魔法』は上位互換の『火炎魔法』に進化。
『魔素操作』は進化なんてしないけどレベルが高ければ高い程、魔素の操作負荷が減るのでガンガン上げまくる。
個別スキルとして装備している分と、基本魔法・種族スキルとして固定装備されているスキルの違いは、盗難されない。これに尽きる。
武闘大会のような他プレイヤーの乱闘では、相手のスキルや装備の盗難なんて日常茶飯事。
対策を怠る方が愚かなのだ。
次に対策必須なのが『状態異常』。
これもこれで準備を始めたいところだけど……まずは、基本ステータスを整えてから!
しかし……先は遠いな。
まだ『エルド王国』の姿すら見えない。
NPCに気取られないように、自身の魔素を周囲に飛ばして周囲の探索を行う。
ふむ……モンスターは何体かいるが、何もなさすぎるな。
こういうフィールドではランダムに宝箱やダンジョンが発生するのに、私はこれまで宝箱ぐらいしか発見出来てない。
そろそろ、ダンジョンを探索してみたいのう。
「あの……あの!」
うわ!? ビックリした!
どうやら、今この瞬間に、偶然私の近くでランダムスポーンか、リスポーンしてきたらしいプレイヤーが呼び掛けてきたのだ。
私を見て間抜け顔なポカーンとした顔を作るのは、男性エルフ。
黒髪黒目って、闇属性のエルフ? マジか。
闇の魔素は魔素の中でも一番重いから操作するのが大変なのに……
私は気を取り直して言う。
「すみません。周囲の探索を行っていたので気づきませんでした」
彼はちょっと驚いてから、ムッとした表情で何故か私を叱りつけてきた。
「駄目じゃないか! こういう場所はモンスターがいつ襲い掛かって来るか、分からないんだよ!! 気を付けないと」
……はぁ。
何か、面倒そうな人に絡まれた。
よりにもよってプレミアムパック購入してない捨てアカで。
取り合えず、適当に「そうですね。すみません。今後気を付けます」とソレっぽい返事をする。
面倒そうな人は「全くもう」と偉そうな態度で言う。
「心配だから僕と一緒に行動しよう! 僕の名前は……ショーン!! これからよろしく!」
「え?」
は? いや、なんでついてくるの??
意味分からん。
私の方がポカーンとしてしまって、面倒そうな人ことショーンが「えっと?」と首を傾げる始末。
あー、この人、私が間抜けでミスして格下だからマウント取って「僕が何とかしなくちゃ!」って感じで付きまとうタイプのプレイヤーかぁ。
ガチで面倒だなぁ。
しかも、何で大会用のアカウントで出くわすかな。
「あの……?」
どうすっかな。もういっそ、このアカウント捨てる?
無視しても、無駄だろうし。
この手のタイプって無理矢理難癖付けまくって、付きまとってくるからな。
はぁー……なんで、このアカウントなんだか。
折角、プレミアムパック入ったオギノか不知火の方にしてくれよ~
「あの! またボーっとしちゃってるよ、君!! しっかりして!」
え!?
私が何も喋ってないと、私の肩に手を置いて来たよ!
思わず「うっわ」と変な声を漏らす。
男性の私でも、同性相手にいきなり触られるのはビックリするし嫌だって。
デリカシーゼロやんけ。てか、私の声で私のアバターが女だって気づいてるよね?
それで、触って来てんのコイツ。
「え、キモ」
「……き……え?」
「いきなり体触らないで下さい。気持ち悪いです。普通にセクハラですよ? 今から録画して証拠取ったら法的に訴えれるレベルですよ。本気で法的措置取るので、触るの止めて下さい」
「え……あ……」
訴えるだの、セクハラだの言うだけ言ったら、向こうもビビったのかオドオドと私の肩から手を離す。
なのに、ショーンとやらは、モジモジと私の前から動こうとしない。
私は奴の前でログアウトしてやった。
アカウントは……念の為、残して置いて運営に通報だけした。
直近のアカウントの映像証拠は残る可能性が高いので、最悪本当の法的措置をする場合の証拠集めって奴だ。
運営に依頼すれば、結構な確率で証拠映像を確保してくれるぞ。
あーあ、どうすっかな。
仕方ないか。
オギノなどのアカウントでスキル強化をして、フォルのアカウントにスキルを送る事にしよう。
その代わりで、久々に不知火のアカウントを起動させた私。
『蒼ノ宝珠』で瑠璃さんと遊ぶ事にする!
ちょっとしたキャッチボールのように水魔法ならぬ『青鬼流』で『蒼ノ宝珠』を弾き、瑠璃さんが機敏な動きで私の返した『蒼ノ宝珠』に追いつき、猫パンチ。
これにより発生する水の飛沫が、館の敷地にある畑の水やりに丁度いいのだ!
うん、いいのか。この使い方で!?
とは言え。
瑠璃さんと楽しく遊べ、不知火の身体感覚も取り戻して万々歳だ。
フォルを鍛える時間を久しぶりの逢魔鴇へ向かう時間に回すとするか!




