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VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


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【ヴァルフェリアオンライン】前菜


ログイン三十三日目。

モップシープ君たちの体毛を全力で洗浄、製糸する『創造言語』を組み終え、ちょっとした工場の作業現場と化した館の一角。

本来であれば来賓を招いたパーティー会場となる広間なのだが、生産ラインを完全に組んでしまった。


グルグル回る糸や洗われていく体毛を目で追っている瑠璃さんとドラゴン君。

手を出しちゃ駄目だよ、と忠告しておいて、私はドワーフのダンテにアカウントを切り替え、ゲルヒィンの方へ転移。

今日はいよいよ、アレクさんが出国するというので見送るのだ。

道中が不安なので彼に渡す土属性の『エレメントチェリー』と保存食などなどを用意した。

ドワーフの『荷物袋』スキルがあるから、重量は気にしなくていいからね。あるに越したことはない。


ゲルヒィンの入出国手続き所に向かうと、アレクさんが……

いや、アレクさんじゃなかった。

だって服装が医者のような白衣なのだから。

彼が話に聞いたアレクさんの兄弟か。マジでそっくりだな。名前は……『アレン』さん。


しかし、何故ここに?

気になって私は声をかけてみる。


「あの……どうかなさいましたか?」


アレンさんはハッと我に返り、私の存在に気づいたようだ。

なんか、アレクさん以上に影があるというか、医者という立場上、疲労が蓄積しているようで、どこか()()()()様子。

彼は言葉を濁して「ちょっとね」と返事をする。


「ここで()()()()()待ち合わせをしているんだ」


「あ、そうなんですね……?」


うん? アレクさんと?

いや、もう1人の兄弟と?

え……ここにアレクさん来る予定なんですけど?? 何か気まずい。

一気に三兄弟揃ったら色々混乱するって!


そうこうしているうちに、アレクさんが遠くからやって来てしまった。

アレクさんは、露骨に存在感あるアレンさんを完全スルー。

「先生!」と私に挨拶し駆け付ける。

心なしかアレンさんも呆然な視線を送っている気がした。


「えーと、アレクさん。取り合えずコレを。『エレメントチェリー』と保存食と薬品と、あと装備ですね。全部使わないドロップ品の装備ばかりで申し訳ありません」


「こちらこそ、ありがとうございます。先生。なるべく早く、ジェルヴェーズ王国に向かいます」


アレクさんの言葉使いも流暢になっている。

日頃、喋らないのが原因で、喋るのも疲れると仰っていたが、段々と慣れて来た模様。

切っ掛けが漫画とは言え、社交性を持とうと前向きになって義両親も安堵されているようだった。

すると、アレクさんはついでのようにアレンさんを指差す。


「ああ、先生。コイツ、私の兄弟」


コイツって……指さされたアレンさんも益々、気まずい顔をしているじゃないか。

節々にノーブル特有の人でなし感が出てきているアレクさん。

彼は更に伝えた。


「コイツも私と一緒に来ます」


「えっ。え? 来るんですか?? ジェルヴェーズ王国に???」


何故?

医者やってて、普通の生活する感じじゃなかったの?

どゆこと???

アレンさんは申し訳ない様子で私に言う。


「……色々、ありまして。向こうでお世話になるかもしれません。その時は、よろしくお願いします」


「わかりました。こちらこそ、よろしくお願いします」


いや、その色々を教えてよ!?

ま、まぁ。詳細は向こうで聞くべきかな。ここは黙っておこう。

アレクさん、だけではなくアレンさんも一緒にゲルヒィンを出国したのを見届け。

私は複雑な心情で、今日はギルドマスター試験を受ける事に。


『ゲルヒィン共和国ギルドマスター1級』

 取得条件 ゲルヒィン共和国の冒険者ギルドの試験で、規定ラインを5つクリア

 効果 全てのステータスに+50の補正値。


久々だけど、問題なし。

念の為、ドワーフの言語の予習をしておいて良かった。

あとドワーフでやり残しているステータス関連は、例のフルコースと生産職の査定試験だ。

ぶっちゃけ査定試験は厳し過ぎる。フルコースもまぁまぁ、厳しいが。

気長にやっていくしかないかぁ。


一先ず、館に戻り、製糸が完了しているものをマーケットで出品してみる事に。

後々、生地を作って出品し、どちらが売れるか調査してみよう。

そして……本日の昼食は、エルフのフォルがゲットした『シードイーターの舌』で『タン丼』を作るぞ。


内容は至ってシンプル。

タレを漬け込んだ『シードイーターの舌』を良い具合に焼き、ほかほかご飯に載せる……それだけ!

しかしながら、いい匂いだぁ……

歯ごたえある肉として、瑠璃さんとドラゴン君の餌も同じ『シードイーターの舌』を使った。


「では、いただきます!」


「なおん」


「ちゅら!」


濃厚に作ったオリジナルのタレがいい具合に染み込み、歯ごたえがいいタン!

マジで上品なタンの焼肉。

そのタレと旨味が染み込んだご飯もいい!

瑠璃さんとドラゴン君も、歯ごたえあるタンを堪能されておられる。


んん!?

これはっ! また力が漲っている感じ!?

まさかの『シードイーター』が適合食材だったのか!


<称号:適合フルコース~前菜~>を獲得しました。


え、ぜ、前菜……()()!?

そっか。シードイーターって植物系モンスターだから、前菜、だよなぁ。

……ちょっと解せぬ。

<称号:適合フルコース~前菜~>

 取得条件 ドワーフアカウントの適合食材[シードイーター]を食べる

 効果 DEX+50

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