【ヴァルフェリアオンライン】バ美肉
中性的で、申し訳ないけど胸もない訳で、全く女性とは思わんかった。
ステータスをよく見れば『女性』と書いてあるんだけど! 細かい所まで目は通さん!!
肉体的感覚だって、その、股間のアレとか、胸とか刺激・感覚はシャットアウトする仕様になっているんで、気づかないもんなんですよ!
はぁ……もう……面倒だから、このままで行くけどさぁ。
「る、瑠璃さーん。適当に作っただけなんです。変な趣味でこんな姿になった訳ではないですよ~」
「………」
冷たい視線!
ちゃんと確認しとけや、みたいな意思を感じます!! すみません!
「ちゅら……?」
ああ、ドラゴン君!
誰だこの人、みたいな首傾げをしている彼にも「私ですよ~」とボイチェン解除で呼びかけるが、幼い彼には理解できないのか終始「?」を浮かべていた。
お二人、いえ、お二匹には餌をちゃんと作りました!
ふぅ……気を取り直して、修行再開!
マイルームの館から転移し、リスポーン地点から再び修行場としているイベント会場へ。
ある程度、INTが高まったのを確認して、私は飛行訓練を開始。
どこかの超人や戦闘民族みたいに、箒を利用せずに、飛行する方法はある。
ある……のだが。
原理を説明するとややこしいので簡単に、魔素で重力を操作し、自身の体が自在に動けるようコントロールしていると理解して貰えれば幸いである。
クイック、ターン、切り替え。
よしよしコツは掴んで来た。
お次は派手な広範囲攻撃の練習である。飛行訓練もだけど、こういう大技の練習もマイルームの館とかじゃできないもんね。
ただ、先程も触れた通り、私は逃げ専門で参加する。
広範囲攻撃は、相手の動きを封じたり、目隠しで使う予定だ。
基礎訓練は終了。
あとは、先程と同じくスキルのレベル上げを地道にやっていくのみ。
これでも、魔素を自在にコントロールできる『魔素操作』がある為、他の種族と比較しても簡単にレベルは上げやすいのだ。
おっと、そろそろ向こうは夜かな?
私は再度リスポーン地点に戻ると、すっかり暗黒に包まれた森があった。
折角なら、ここでしか採取できない食材を巡りたいのだけど、いつNPCのエルフに発見されるか冷や冷やされるよりかは、無難に『ヒュルアニア公国』を目指した方が良い。
マーケットで購入したフード付きのローブを纏って、目立たぬよう進んでいく。
本来なら、エルフの国『エルド王国』の称号やら、エルフの実技試験で入手できる称号武器を入手したいが、夢のまた夢。
『ヒュルアニア公国』に向かい、ギルドマスター試験など受けステータスアップを狙う。
私の外見が中性的だから、ワンチャン女性扱いされないで『ヒュルアニア』でも上手くやっていけるのでは……?
まぁ、バレても誤魔化すけど。
んん!? あれは……!
道中、偶然発見したのは巨大な果実。
その正体は『シードイーター』と呼ばれるモンスターの一種である。
果実に擬態し、動物や人族を襲う。果実部分には狂暴な『口』が隠れているのだ。
そう、口が。
何が言いたいかというと――『シードイーター』の舌は、高級食材なのだ。
上質なタンとしてマーケットでも高額取引されている!
しかも『シードイーター』は『エルド王国』周辺でしか生息していないのだから、入手困難も相まって価値が半端ない!!
おっと、向こうも私に気づいたようで、大口でバクン!と噛みつき攻撃を仕掛けた。
私は光の魔素で身体強化を行い、回避する。
ここであせって火魔法で攻撃してはならない。
植物は水分を吸って成長するように、ある程度、水分を含んでいるから簡単に燃える訳ではないのだ。
逆に、吸収した水分を利用し、凍結させるのが正しい。
よっしゃ! 『シードイーターの舌』がドロップしたぞ!!
ドワーフのアカウントに送っておき、私は派手な動きをしないで黙々と進む。
……が。
どうやら私のスポーン地点は『エルド王国』周辺でも端の端……『ヒュルアニア公国』とも大分離れた位置にあると、地形から判明してしまった。
これ……大会までに到着できるか?
そんな具合で、一旦切り上げ。マイルームの館に戻ると……まあ、大変な事に。
館の外観などの清掃を頼んでいたモップシープ君たちの体毛が館……いや、空間全体で溢れ返っていた。
しかも、瑠璃さんとドラゴン君が体毛に巻き込まれている!?
「なーん!」
「ちゅら~!!」
大量繁殖ではなく、大量増毛ってコト!?
不味い!
ドラゴン君が炎を吐きそう! モップシープの毛は当然ながら、動物性の油脂が含まれているので、引火したら大変な事に!!
エルフで良かった~!
ドラゴン君の炎を魔素コントロールして、引火しないよう固められた!!
あぶない……!
モップシープ君たちは『創造言語』で定期的に体毛カットするようにプログラミングをしておこう。
あと、瑠璃さんの体を洗って、ドラゴン君も……洗えないけど、体を拭いてあげよう。




