表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

184/368

【ヴァルフェリアオンライン】安楽椅子


「結局、破壊するの!?」


「少し拡張しようと思いまして。あと先程、ヘルメースさんから追加の土地を購入した分、余裕ができました」


そんな訳でジェルヴェーズ王国の畑を追加で購入した私は、その分、エレメントチェリーを植える事に。

基本属性六種から、属性を組み合わせたカラフルなカラーリングのものまで。

更に小屋も、一旦解体し拡張させた。


拡張と言っても面積を広く取り、1人用だったスペースを数人入っても余裕ある感じにしたのである。

テーブルや簡易ベッド、クッションに小さな水回り。

あと、シャワールームも。

そうそう! 瑠璃さんがくつろげる猫ソファもご用意した。


「こんなものですかね。瑠璃さん、ソファはどうでしょう?」


座り心地を確かめるように瑠璃さんが、横になり「今回は許そう」という具合に鳴き声を一つ。

キャサリンさんも別の意味で感動していた。


「うおお……凄い。おぎのんはパパとママ、二つの属性を併せ持つのか?」


誰がパパママじゃい。

さてと、外の作業も終わった事だから、私はこの新たな物置小屋で作業を始めよう。

洗濯を終えたキャサリンさんの衣服の修繕作業である。


この修繕と一言で済ませている作業だが、スキルの一種に含まれているのだ。

正確には初期段階が『修復』。

その上位スキルが『修理』、そして『修繕』となる。


該当の消耗品に対し、スキルを使用。

素材というコストを払って、発動させる事で修繕開始!

あとは放置するだけ。

そして、修繕までにかかる時間はスキルを発動させたプレイヤーのDEXと称号やスキルの補正に依存。


だったら、別に放置するだけで手間はかからないだろうと思った貴方。

時空間魔法を活用すると、もっと時間を短縮できるのです。

でも、やみくもに魔法を使用しても駄目。

複雑な工程部分だけ魔法の処理を行い、時間短縮を確認したら、次の修繕品へ。

そんな具合である。


一方で、キャサリンさんは『後輪』の中で何かをやってたり、『創造言語』で何かやってたり。

たまに瑠璃さんで遊んだり。

好き勝手やっているが、彼女は彼女なりにやる事はやっているようなので、何も言わない。

休憩がてら、飲み物――エレメントチェリーの紅茶を用意してあげた。


何と言うか。

これは他の……NPCのノーブルにも言えるけど、彼らは何もやっていないように見えて、裏で色々をやる事をやっている。

『創造言語』という他種族には認知できないスキルのせいで、何もしてないように見える皮肉だ。

私は分かるからいいのだけど、この世界のNPCたちは……苦労してそうだ。


「うげ~。おぎのん。またタクの奴、暴れてるみたいだよー」


掲示板を見ていたキャサリンさんが口にしたワードに反応してしまう。

FEOで聞いたばかり、されどWFOではあまり噂がなかった筈のタク。

やはり、止めていなかったのか。

キャサリンさんは続けた。


「でも、どうせまたアカ消しして逃げると思うけどね~。この前も、オーガのアカウント作ってたのに消してたみたいだよ」


恐らく、ノーブルのハッキング能力で把握しているのだろう。

オーガのアカウント……変な白鬼がいたけど、もしかして奴なのか?

まあ、消されているなら、今更把握しても仕方ないけど。

個人を悪く噂したくはないが、前科が前科なもんなので情報を把握しておかなくては。


「また、テイムで一騒動起こしたのですか?」


「テイム関係じゃないんだよね。難病のNPCの件で、とんでもないヘマこいた感じ」


自分で治療しようとして、変な事しちゃったとか?

モルモーの件を見るに、タクはやる事なす事、斜め上かつ自力でやりたがる傾向にある。

自分でやって、相手の役に立って満たされたい。承認欲求爆弾なのだ。


「変な治療をした、とか?」


「違くて~。難病を治せる奴の捜索でタクとNPCがトラブってさ~。そしたら、NPCがドワーフアカのタクをモルモー虐待した奴だって暴露して。現地で大乱闘だってさ! なんか悪い意味でアイツの話題ばっかりだよね~」


うん、うん?

若干どころか、大分おかしな点がある。

俄かに信じ難い部分を指摘してしまうのだった。


N()P()C()()暴露したんですか? 何故、NPCがそれを把握していたのでしょう??」


「さぁ? タクの奴が、口滑らしたとか??」


それもそれで間抜け過ぎる。

念の為、私も掲示板の内容を確認し、現地の様子の動画を把握したが……これだけでは何とも。

キャサリンさんが尋ねて来た。


「おぎのん。タクのID知らない感じ?」


「以前は出回ってましたけど、今回はありませんので。あと、あまり他人のステータスを盗み見るのは気が引けるというか」


「えー。おぎのん真面目過ぎない? ちなみにホーエンハイムからID教えて貰えちゃうよ」


ほぁ!? うせやろ!!?

NPCの範疇超えてるって!!! 無法地帯だ!!


「ホーエンハイムの奴、国籍ある奴しか情報売らないから心配しなくていいって! バル情報だと、ここに出てるドンクはホントにタクだから、信用していいよ」


もう、何がなんだか……

しかし、これはモルモーの件以上に大変な事になってしまった。

モルモーも動物の命があるが、今回はNPCの命に関わっているのだ。


……仕方ない。

今回ばかりは不本意ながら、動くしかない。

これはモルモー騒動に続くNPCから見た異邦人の心象に関わるからだ。


何、ドワーフのダンテとなって渦中に飛び込む訳ではないぞ。

私はレーピオスの病院へ転移するのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ