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VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


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【ヴァルフェリアオンライン】ママ


一先ず、キャサリンさんは、フレンドの共有機能で私の館に転移させ、風呂に入れさせた。

だって風呂入ってないんだもの。

臭い。

「覗くなよ~!おぎのーん!!」とか言ってましたが、私は瑠璃さんの体ウォッシュと、食事の準備がありますので、そんな余裕ありません。


瑠璃さんには先程、後輪を通して瑠璃さんに捕獲して貰った魚の盛り合わせを。

私とキャサリンさんの昼食には……


まずスープは『オニオンスープ』。

こちらはマーケットで購入した調味料と飴色玉ねぎを煮込んだシンプルながら、丁度いい具合に仕上がった。


付け合わせに『ザワークラウト』。

キャベツの酢漬けである。漬物感覚で頂け、肉料理と合わせて頂くのだ。


肉料理は『アイスバイン』。

ドイツ料理の代表的なもので、塩漬けした豚肉を香辛料や香味野菜と共に数時間煮込む。

時間を要する一品だが、ここは時空間魔法で短縮。


魚料理は『白身魚のフライ』。

シンプルにさっとフライにした魚は、先程、瑠璃さんがとってきたくれた魚なのだ。

これにタルタルソースと濃厚ソースを用意。


デザートは『ザッハトルテ』。

古典的なチョコレートケーキ……だが、WFOでは中々チョコが出回らない。

希少なデザートとなるだろう。


館の食堂の修繕は、まだ完全ではないけど、一通り掃除はして、マーケットにて貴族の屋敷にありそうな長テーブルと椅子、テーブルクロスを購入して、形だけはそれらしい感じにしてある。

先程、調理した品々をテーブルに並べて、瑠璃さんが音もなく華奢な足取りでいらしたので、ご飯を載せたお皿を床に置いて差し上げた。


風呂上りのキャサリンさんが食堂にやってきて、なんだか呆然としていた。


「うえー。おぎのん、マジで凄い食べるんだね~……僕『飢餓耐性』で凌いでいるから、全然食べてないよー」


へあ!?

家買ってないのはともかく、食事も取ってらっしゃらない!?

流石に、食事を取ってると思ってたらコレだよ!

あと、食事取ってない人にいきなり食事取らせちゃったら、大変な事なりそう!!


「すみません! 白湯を用意します!!」


「え、なに?」


急いで白湯を用意し、キャサリンさんの前に置いて、食事にする!


「いただきます!」


「ええ!? おぎのん、これただのお湯じゃない!?」


「白湯です。今の状態で食事を取ったら、胃がびっくりして大変な事になりますよ」


「現実基準過ぎるよぉ~~~」


「……ちょっとスープ飲む程度にしておいてくださいね」


その『オニオンスープ』は温かいし、味もしっかり!

今度はチーズも乗せて食べたいぞ。

『白身魚のフライ』は脂がくどくない仕上がり、手作りソースも現実に近い味わいだ。

『アイスバイン』も濃厚な仕上がりに! 香辛料の味付けがしっかり!!

濃厚な味を調整する付け合わせ『ザワークラウト』がいい仕事をしている。

そして――『ザッハトルテ』!

うむ、我ながら上出来。苦味と甘さの調和がとれた味わい!!


そして……香辛料。

やはり、調味料の確保は重要! オーガのアカウントを使っての紅ノ荒野の現地調達は大事!!


何故マーケットで購入しないかだって?

マーケットで購入できないからですね。


現地の赤鬼たちは、激辛成分を引き出す香辛料を勝負の道具として扱っている。

それで金儲けや観光を目的にする気質ではないので……現地に行くしかないのだ……!


調味料に限らず、現地確保の方が、各所マーケットで購入するより格安で入手できるとは情報が出回っている。

ドワーフの女将さんが仰っていた『香石』も、鉱山や鉱脈で自力で採取できるせいで、マーケットで流れていない現状。

ふむ……料理の為の調味料確保。

やはり、味のバリエーションは大事になってくるなぁ。


「うえーん! あったけぇ、あったけぇよー!」


と、オニオンスープを飲んでいるキャサリンさんを見て、私は言う。


「あの、洋服洗濯しておくので、後で出して下さい。修繕もしておくので」


キャサリンさんは外見の銀髪銀目で分かる通り、光属性なので、装備も光属性のもの、なのだが……

綺麗で煌びやかな光属性の衣服がボロボロだし、汚れまみれ! 臭いも酷い!!

あんまりなので、後で洗濯して、素材を消耗して修繕してあげよう。

キャサリンさんがポカンな表情で呟く。


「え……? ママ??」


なにがママじゃ。

そしたら、キャサリンさんのインベントリから、出るわ出るわ。大量の衣服が、って……

臭!?

汚れもそうだが、悪臭がヤバい!!?

瑠璃さんまで「にゃおん!」と逃げ出すレベルだぞ! どうしてこうなるまで放置してたんだ!!


キャサリンさんが気まずそうに言う。


「後でやろーかな~って、面倒くさくて後回しにしたら、溜まっちゃってぇ……」


「……これ着て下さい。今、着ていらっしゃる服もまとめて洗います」


私がインベントリから出したのは光属性の装備服『白陽の浴衣』。

いつぞやのモルモー軍の襲撃でドロップ回収しまくってた時に、モンスター素材はある程度、流していたが、レア度の高い装備品や素材はオギノの資金を稼ぐ為、移動させていたのだ。

作業が終わらず、マーケットに流していなかったのが、ある意味幸運である。


「いいの!? これオーガ国でしか入手できない奴じゃん!」


「いいから早く着替えて、洗濯物を出して下さい」


「……ママ?」


だから、誰がママじゃい。

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