【Fatum Essence Online】料理教室
FEOにて私は簡易探索をやりつつFatumシリーズの把握を勤しもうとした所。
キラレさんからメッセージが届いていた。
[カグヤ:フレンドルームを使って、料理教室を開催しようと思っているんです]
[カグヤ:ツクヨミさんはお時間の方、どうでしょうか?]
うむ……
今回の一件でキラレさんも周囲のプレイヤー達の協力を理解してくれたようだが、彼らもまた人間。
何が起きるか分からないので、対策を怠らないという訳か。
しかしながら、私はメッセージに返事をする。
[ツクヨミ:幾つか確認したいのですが、動画の配信・録画は行うのでしょうか?]
[カグヤ:いえ! 今回はそういうのはなしです!!]
[カグヤ:取り合えず、料理ができて時間に余裕がある方に来ていただく感じです]
ふむ、どれほど参加者がいるか次第ではあるが、他プレイヤーがどんな感じで調理するかを観察できるいい機会だ。
今後の参考になるかもしれない。
平穏で、のほほんとキラレさんとメッセージでやり取りしていたのだ……が!
まさかの爆弾投下が!!
[カグヤ:あと、タクさん……ゼウスさんにもお声をかけているんですが、来て頂けるかどうか]
ぎゃああああああああああああああああああああ!!!
何でじゃああああああああああ!!!
一瞬で、輝かしい料理教室の風景が崩壊していく音が聞こえる。
え……なんで? なんで、そこでタクにも声かけちゃうの??
もしかし、この子はタクに助けられたから、タクを気使ってる感じ?
この子は、悪気ないんだろうなぁ~~……
参加したくねぇなぁ~~……
でもなぁ~~、ここまでお膳立てしておいたのは私だし、私の責任に含まれそうで嫌だ……つらい。
まぁ、もしもの場合、法的措置を取ればいい事だ。
今回のトークログをしっかり記録しておいて……私は念の為に幾つか布石を投じる。
[ツクヨミ:先程、録画はしないと申してましたが、実際調理工程やレシピなどは、キラレさんが自力でメモを取る形式なのでしょうか?]
[ツクヨミ:複数人の調理工程をやっていくのも、時間を要します]
[ツクヨミ:FEOも加速時間がありますが、加速時間は2時間と控えめ。GW期間中とは言え、効率的ではないような気がします]
[ツクヨミ:細かい所が気になってしまうタチで申し訳ございません]
キラレさんは少し返事に間を開けた。
[カグヤ:ごめんなさい。そういうのを考慮してませんでした]
[カグヤ:録画した方がいいかもしれませんね]
ですよね? さらっと流してたけど、気になってた訳よ。
あと……フレンドルームで料理教室を開催するって、なるともう一つ、別の意味で不安な要素がある。
[ツクヨミ:それと、キラレさんは実際にフレンドルームをご利用した事はありますか?]
[カグヤ:タクさんとの交流で何度か使いましたので、慣れてます。そこは問題ありません]
[ツクヨミ:その際、キャラのAIによる処理で会話に支障を来した事はありますか?]
[ツクヨミ:キラレさん自身やタクさんから、会話が勝手に変換されてしまったとかありましたか?]
[カグヤ:あ]
[カグヤ:はい、あります。私は口調がカグヤ基準になっているだけだったんですけど……]
[カグヤ:タクさんは上手く意思疎通ができなかったというか。本人の意思とは関係ない内容をゼウスさんのAIが勝手に喋ってたとかあったんです]
そう、こういうチャットでは普通にプレイヤー達は会話が可能だが、フレンドルームなどの演者を通じての交流だと、キャラの尊厳やキャラに違和感を与えないようにAIが会話などを修正してしまう。
キャラを大事にする作品としては正解ではあるが、プレイヤー同士での意思疎通に支障が生じるという。
少々困った仕様になっているのだ。
まぁ……つまり。
[ツクヨミ:元々料理するキャラであれば問題ありませんが]
[ツクヨミ:料理しないキャラはどんな挙動をするか、不安なんですよね]
[ツクヨミ:すみません。料理教室の開催自体、普通のVRMMOであれば良い提案ではあるんですが]
[ツクヨミ:フレンドルーム内で料理教室を開催するのって、ちょっと厳しいのかなと]
本当に、普通であればいい企画なのだけどね!
開催が嫌とか、タクが嫌とか、気持ちにないとは否定しないけど!!
突っ込むべきところは、突っ込んでおかないと駄目でしょう!
[カグヤ:そう言われると……]
[カグヤ:何か、私こそごめんなさい]
[カグヤ:でも、フレンドルームで開催できないとなると]
[カグヤ:皆さんで調理しているのを撮影して、それを共有する形になってしまいますね]
[ツクヨミ:それだけでも十分だと思いますよ]
[ツクヨミ:動画ならある程度、内容をカットして気軽に見られますし、字幕を載せて分かりやすく編集もできます]
[ツクヨミ:ここは、私個人の意見だけでなく他の方々のご意見も伺って下さい]
[カグヤ:そうですね! 他の人達にも聞いてみます]




