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VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


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【ヴァルフェリアオンライン】ドラゴン


ステータスは飾りではない。

ドワーフのステータスは重量系の武器を扱うのには適しているが、別に重量系の武器を扱う必要もない。

己の肉体、素手で十分。

ぶっちゃけると、序盤のステータスで大斧やハンマーを振るってスタミナを消耗するより。

何も装備せずに肉弾戦で攻撃するだけで、低レベルのモンスターは余裕なのだ。


楽々とスライム、ゴブリン、火山地帯に生息するマグマアントという虫モンスターや、小型ですばしっこいブロンドドラゴンを倒していく。

よし、レベルが上がって、そこそこMPが上がったな?


ドワーフは、ハーフリングの次にINTの上昇率が低いのだ。

序盤は魔法なんて扱えないも同然。

ある程度、魔力を消耗できるようになれば、拳に闇の魔力を纏って、打撃!

ゴーレムなどの堅い装甲や鱗を持つモンスター相手に友好的な『内部貫通』攻撃をお見舞いする!!


MP回復とスタミナ回復の食事を取りながら、モンスターのドロップアイテムはさっさとマーケットに流していく。

よし、火の魔石を発見! こいつは自分の手持ちに入れる。

お、燐鉱チェリーだ!

鉱山地帯でしか採取できないチェリーで、食用ではなく薬の素材で高値で売れるぞ。


レベルアップをそこそこし終えた私は、館の修繕用素材を確保していく。

鉱物だけではなく、金属用の油や木材も確保しなくては。

修繕以外にも、家具を作成しておきたいので、ドロップアイテムを売って、別の素材を購入も検討している。


以上のやるべき事のついでにクリアした素材採取のクエスト分の素材も回収!

私が満足気に町のギルドへ帰還したところで……


「ううう……うううう……」


ギルドの脇で、呻いて立ち尽くしているドワーフの男性が。

嗚咽を漏らす彼は『ドンク』というプレイヤー。

彼の腕には、なんと――


「ちゅら~……ちゅら……」


可愛らしい鳴き声を上げて困惑するドラゴンの子供が!?

しかもこれ、クリムゾンガーネットドラゴンじゃないか……成長すると()M()くらい馬鹿でかくなる奴!

ドンクではなく、彼が抱えているドラゴンの子供がかわいそうに思ってしまう。

周囲のプレイヤーたちも、彼の存在に気づいてヒソヒソと遠くで噂する姿が。

勇敢な1人のプレイヤーがドンクに話しかけた。


「君、どうしたんだい? 大丈夫??」


「うう……この子、羽が動かないみたいなんです……でも、どうしたらいいのか……分からなくって……!」


「ちゅら……」


「だったら病院に連れて行ってあげよう。案内してあげるから」


いや、そうだよね。普通にそうすればいいじゃん。

何を考えているの? 子供じゃ、あるまいし……もしかして子供?

GW中だから、子供がログインしてても可笑しくないけど……

すると、ドンクが「でも!」と叫ぶ。


「僕! テイムできないんです!! この子を、動物をテイムするのが! 僕……この子を育てたい訳じゃなくて、ただ助けたいだけなんです! 病院に連れて行くって、僕が責任を取ってテイムすると言ってるようなものじゃないですか! だから、だから病院に連れていっちゃ駄目なんです!」


ええ……?

まあ、言わんとしてる事は分からなくもないけど……

そしたら、親切なプレイヤーが告げる。


「だったら育成所に引き取って貰おう。引き取り料を払う事になってしまうけど、あそこは動物の保護もしてくれるし、治療もしてくれるんだ。私も前に野生の動物を引き取って貰った事があるから、やり方を教えるよ。まずは君が落ち着いて。大丈夫だから」


「ううう……うん……」


ドンクはようやく涙を流すのを止め、プレイヤーに手を引かれて育成所に向かう。

だが、ドンクの腕にいるドラゴンの子供が「ちゅら♪ちゅら♪」って感じで、自棄に嬉しそうなのが引っ掛かった。

すると、食堂の女将さんがその光景に呆れていた。


「まただよ、あのドラゴンの子供! 困ったもんだね、異邦人の連中にも説明しておかないと駄目だよ。ありゃ!」


どうやら、あのドラゴンの子供は問題児のようだ。

食事ついでに、私は食堂で女将さんから事情を聞いた。すると……


「あのドラゴンの子供は、最初はホントに翼の怪我をして育成所で保護されてたんだけどねぇ。怪我も治って野生に帰されたってのに、楽に餌が貰えると学習したせいで、街で物乞いみたいな事を始めたのさ。そのせいで、さっきみたいな異邦人が引っ掛かっちまって、餌を貰っての繰り返し! まだ子供だからいいけど、大人になってもアレが続くようなら……討伐対象になっちまうだろうねぇ」


ああ、人間から餌を貰える事を学習した動物的な。

何とも皮肉な話だよ。

私は食堂でボリューミーなソーセージとマッシュポテトを頬張りながら、話に耳を傾けるのだった。

うーむ。マッシュポテトの味付けは独特だな。

ソーセージはフレアボアという火属性の豚モンスターが使用されており、脂身と共にピリ辛を感じるぞ。


「この……マッシュポテトの味付けには何が使われているんでしょう?」


「『(こう)石』って味のある石さ! 森の辺りの地下鉱山で採れるから、行ってみ!! それよりアンタ、異邦人なのによく食べるじゃないの! サービスでコイツもどうだい!!」


「え、ありがとうございます」


普通にバグバグ食ってたのが、ドワーフ的には好印象らしく、脂身少ない感じのステーキを貰ったのだった。


感想コメント、いいね、ブクマをして頂きありがとうございます。

評価等を押して貰うとモチベーションが上がりますので是非お願いします。


連休中は2回投稿します

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