表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

140/382

【ヴァルフェリアオンライン】白凪


『紅ノ荒野』から『銀ノ峰』に時空間通路は通じていない。

てか、『紅ノ荒野』と通じている里が少ないのだ。


だからといって『風ノ賭博』と『銀ノ峰』も時空間通路を開通させていない。

かなり割高になってしまうが『紫ノ鉱脈』から『銀ノ峰』へ向かうしかなかった。

この為に、山脈で資金を稼ぐ必要があったんですね。


『銀ノ峰』は大正浪漫をモチーフにしている場所である。

建造物から白鬼の服装まで、如何にもな大正風味。料理も美味しいし、空気も澄んでいる。

ただし、観光客には割高な商売をしているのだ。


って……まったり、している暇はないぞ!

すっかり日が暮れ、夜も中盤に差し掛かった頃であった。

私は瑠璃さんを外に出しつつ、小走りで石畳みの道を駆けていく。


割と人口密度があるせいで、全力疾走もしにくいし飛行術を使う訳にもいかぬ。

何より、ここは光の魔素が多い土地なので、闇魔法の瞬間移動がしにくい土地でもあるのだ。

ああ、神社はまだ大丈夫だろうか……

私が不安で集中していなかったせいか――


「うわっ!? い、たたた……」


俯いて脇から飛び出してきた誰かにぶつかってしまう。

私が声をかけようと思ったら……ん? なんか違和感……いや、既視感??

露骨にいたたた……とリアクションをしている白鬼の青年。どうやらプレイヤーのようだった。


「すみません。大丈夫ですか」


「ぼ、僕こそぶつかってしまって、ごめんなさい!」


……んん?

なんだろうな……私は彼に手を差し伸べて、彼の名前を確認したが……『白凪』。

記憶にはないけど……白凪は立ち上がってすぐ、足元にいる瑠璃さんに反応するのだ。


「わっ、猫だ! 貴方がテイムしているんですか?」


「……ええ」


「えっと……漆、瑠璃?」


「漆塗りの語感に合わせて名づけました。瑠璃さんと呼んでください」


「あはっ。面白い名前ですね! よろしくね、瑠璃」


……じゃないわ。

足止め食らってしまったが、神社に向かわないと。瑠璃さんを撫でようとする白凪に私は告げた。


「すみません。私達、神社に向かわなくてはならないので」


「え? 神社?? 何をしに?」


「御朱印ですよ。御朱印巡りをしていて白鬼の神社が最後の一つなんです」


「御朱印って?」


「参拝した証みたいなものです。オーガの国にある御朱印を全て集めると記念品が貰えるんですよ」


「へぇ~……そうなんですか?」


「そういう訳で、私は失礼させていただきます」


私が行こうとすると、白凪が「待って下さい!」と追いかけて来るのだ。

もう今度は何だよ!?

と思ったら、白凪はこんな事を言ってくるのだ。


「神社の場所を僕に案内させて下さい! 僕、ここでの生活は長いので、神社の道のりを知っています!!」


……はい?


「お願いします! 僕に案内させて下さい!!」


って自棄に必死に頭を下げてくるもんだから、私は訳が分からなかった。

何故なら――


「この白い柱を頼りに進めば、神社に着けるそうなんで、問題ないです」


「……へ?」


「コレです。コレ。ほら、ずっと続いてますよね」


私のような巡礼者の目印の為に、神社への道標的なものはどの里も設置されているのだ。

顔を上げた白凪にも、その柱が続いているのを示してやる。

なんだか、呆然としている白凪。

……ちょっとコイツなぁ。私はある一言を告げる。


「お気使いして頂きありがとうございました。お気持ちだけ受け取ります」


「は……はいっ。こちらこそ」


白凪は何やら満足した様子で、意気揚々と駆けていった。

承認欲求爆発させまくってる、有難迷惑な人だったなぁ。

……ブロックしておこ。


って、ああ! すみません、瑠璃さん!!

完全にタイムロス食らっちゃった! 急がないと!!!


神社は都心部から少し離れ、林道にある石畳の小道と会談を登って、ようやく辿り着く。

道中、この時間だとモンスターが現れる事があり、途中で、瑠璃さんと協力しつつ、何とか到着。

人気もない。物静かで簡素な神社。

だが、意外と境内は広くスペースが取られており、枯山水のような庭園が整備されていた。


「あれ……」


受付所に巫女さんの姿がない。

立て札の文言を読むと


『本日、鬼神様からのお告げの儀式の為、参拝及び御朱印などの手続きは行いません』


ぎゃああああああああああああああああああああ!

間に合わなかったあああああああああ!!


……戻って宿に泊まって寝よ!



「はぁ~……極楽ですねぇ。瑠璃さん」


「なお~ん……」


私と瑠璃さんはちょいとお高い旅館に宿泊し、まったり過ごしていた。

美味しい料理、いい感じのマッサージ、客室にもある露天風呂!

しかも、瑠璃さんも一緒にサービスを受けられるペット同伴の宿!!


1泊15000G!!


静かで長閑な客室ではゆっくり仕事もできるし、漫画の構想も着々と……はいかなかった。

なんか雰囲気が晴明の奴になってるわ。

少年探偵団風味の子供たちが暗号を解き明かす、的なストーリーにしたかったんだけど。

リーダー役が晴明……いや、晴明じゃんこれ。


……これ晴明の続編にしようかな。

京で少年探偵団的なモン結成して暗号解く感じで。

そう割り切ったら、意外とスラスラ構想は捗った。

続編描いてもモルモー事件のせいでロクなコメントがないけど、いっそプレイヤーの購入禁止にするとか……


駄目だな。NPC利用してアンチコメ流しそう。

どっちにしろ、オギノのアカウントで漫画投稿し続け、ちゃっかり収入も得る。これで良し!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ