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VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


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【Fatum Essence Online】見解


ツクヨミが口を開く。


「あくまで、私が適合者の立場で考えた場合の話をしよう」


はい。


「そもそも掛け持ちなどしない」


……ああ、そうっすか。


()()()()で様々な世界に痕跡も残さない。一つの世界で十分。そこが終われば潔く立ち去れば良い。小説や漫画もかかない。他者の評価が外的刺激となるなら、しないのが正解だ」


わ、わぁ……。


「だが、適合者は外界で刺激を求め、楽しむ好奇心はある。美味なる食材や不可思議な謎を求め、旅に出る方が気を紛らわせるのだろう」


「私って、そんなアウトドア派じゃないと思うんですが」


「あうとどあ」


「積極的に外で動く的な?」


「……もう一つ。適合者の最大の欠点は、常に単独行動であることだろう」


「集団行動嫌いなんですよね。人に合わせるのが嫌です」


「『ばいたー』と怪しまれ、騒動に巻き込まれる要因の一つにある。同行者がいるだけでも多少の印象は変わるというもの」


単独だと怪しいってのは至極真っ当というか。

真っ先に疑われる要因の一つでは、うん、あるね。

フレンドもなし、ギルドにも入ってない、ソロプレイヤー……


「しかしながら……適合者には難しいだろう。解決策の一つとしては『御朱印巡り』のような明確な目標に沿って行動している印象を与える事だな」


「目標、ですか」


「疑念を抱かれる要因の一つ、適合者が何をもって異世界を放浪しているか明確な目的が分からぬ点であろう。『御朱印巡り』のように国内を渡る意味も、その為の資金稼ぎも周囲は納得するのだ」


うむ……

そう指摘されると『まほ★まほ』での目標は、非常に希薄なものだった。

呪い関連のパズルは楽しい暇つぶしではあるが、外部に把握できるほど明確な目的として、周囲のプレイヤーには認知されにくい。

かと言って『まほ★まほ』に充実できる要素があるかと問われれば、ないなぁ。


冷静に考えをまとめて、私は言う。


「一先ず『魔法の世界』は『フルーツ狩り』の状況次第で判断します。もう一つの『他種族の世界』は情勢的に不安があるのですが……どう思いますか?」


「前提として『他種族の世界』の神々は不親切である。適合者を含めた全ての異邦人に対してにだ。そして、後々に不満が起き、やがて異邦人からは関心を失われるであろう」


ゲームシステム的にも不親切さはあったけど、情勢ではなく運営に問題か。

タクが連続して騒動を引き起こし、タクばかりにヘイト向かっている。

でも、初イベントの不具合とか、プレミアムパックの欠陥とか、博覧会に動物を持ち込めたのも含め、ちょいちょい「あれ?」みたいな部分がある。


「適合者の話を聞く限り、異邦人らは何か『特別』を求めていると思える。己が異世界で何かを成し遂げられると」


「ああ……そういえば」


WFOでは『イベント』が起きないのだ。

たとえば――NPCを手助けする。そういうアクションを起こした際、ポン!とイベント項目が発生したりする。

AIによるイベント生成機能……

一時期、VRMMOでは取り入れられていたが、処理に負荷があったり、想定外のイベント生成でワンマンプレイヤーが誕生してしまったりで、近頃はパッタリ消え去った。


ん? あれ??

私はちょっとした事に気づいてしまう。

タクがやろうとしてた事って、()()()()


タクはAIのイベント生成機能があるVRMMOとか、手助けする事でクエストが発生したり、報酬を得たりする()()()()で、今のVRMMOをやろうとしているのだと。

積極的にNPCへ交流し「自分にやらせて下さい!」と言えばNPCはアッサリと「じゃあ、お願いしようかな」とタクの要望に()()()()()()


でも、WFOのNPCは違う。

彼らは彼ら独自の世界観で生活を営み続けている。

我々がなにもせずとも、自分達で解決できるよう法や整備、社会が成立しているのだ。


ああ、そうなのだ。

WFOでは我々プレイヤーが解決するべき明確な困難や、強大な敵はいない。

それこそ、世界観壊しの害悪プレイヤーがNPC達にとっての侵略者として立ちはだかる立場だ。


ある意味、完璧な世界観なだけに介入できる余地なし。

プレイヤーたちは世界を破壊するしか面白みがないという……これは。

一応、ギルドの『宣戦布告』というPVPシステムはあるが……話題になってすらない。

これは……


「のんびり観光できるのは本当に今の内、かもしれませんね」


「『他種族の世界』の神々の手腕に全てはかかっている。適合者がどうする事もない」


「残念ながら、そのようで」


何と言う事だ。

やはり、FEOが勝ち残ってしまうのか?

私に出来る事と言えば……課金しかないのである。

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