【ヴァルフェリアオンライン】推し
ログイン二十四日目。
WFOにログインするが……結局、黄鬼の暗号は解けず仕舞いである。
そんでもって、ログインするなりちょっと特殊な効果音と共に称号獲得表示がされた。
『青鬼流レジェンド』
取得条件 青鬼流師範試験を合格する。
効果 INT+50
ふぁ!? まじか!
暗号解く休憩がてら問2だけ解いて、問1は途中式までしか書いてなかったけど。
INT50は強い、強すぎるぞ。もう、ノーブルの私以上に強い。
黄鬼の試験とか……受けられる状況じゃなかったから紫鬼の方は受けたいけど。
ただなぁ、紫鬼はプレイヤーの人口が比較的多いんだよ。
私の存在なんて目立って晒されても、変ではない程に。
一先ず、私は瑠璃さんと共に朝食を頂く。
この前、吊っておいた『鬼鮭』のササミを瑠璃さんに。
私は紫鬼の街中で売られているジャンクフードをがっつり頂く。
このガッツリボリューミーなハンバーガー!
肉厚の『暗黒牛』と、中の濃厚ソースと蕩けるチーズ! フレッシュな葉っぱとトマト!!
如何にもなコンボだけど、これがいい。
さっぱり利いているポテトの塩加減と食感がいい具合だ!!
朝からこれ食べるとか、現実だとやばい部類だよ。
ふう、満足満足!
瑠璃さんも丁寧に召し上がって満足な様子(なお猫パンチ)。
では……先に神社から行こう!
……あれれ?
「なお~ん」
瑠璃さんも困惑したご様子。暗号になりそうな石碑とか、教訓みたいなのは一切ないのだ。
あるとすれば
『推しは推せる時に推せ』
というオタク語録のような言葉のみ。
御朱印書いてくれたゴシックな巫女さんにも尋ねたけど「え~、ないんじゃね?」と砕けた口調で返事がくる。
唯一ヒントになりそうなのは……鬼神像。
紫鬼の鬼神は、祀られている鬼神の中では唯一の女性。
そして、手に独特なペンを持っている。
念の為、巫女さんに確認する私。
「鬼神像が持っているペンみたいなのって……」
「あ~。あれ『スカルガーゴイルの羽ペン』! 鬼神様の推しアイテムなんだって~。やっぱ推しのアイテムがあると気分上がるよね~!!」
……ある。
めっちゃ見覚えあるんだが、公式HPで。
私がメニュー画面開いて確認したら……やっぱ、いた!
肩に『スカルガーゴイル』をのせているノーブルさん!!
……レ、レーピオス……この人にまだ挨拶してない。
あの廃病院ぽいところにいる医者の方だよね。
多分、鬼神たちが地上にいた年代を考慮しても……合致している筈。
ヒントの為にも、既存キャラの方がいいだろうから。間違いないと思うけど。
もしかしなくても、推しの誕生日が暗証番号とか?
まずは、入力場所を探さなくては。瑠璃さん! お願いします!!
「な~ん」
おお!? 早速、神社の軒下から発見……なんじゃこりゃ。紙?
あ……ロストページだ!?
まさかの、瑠璃さんが発見したのはロストページの1枚!
エリーゼさんに届けたいから、オギノの方に送っておこう!!
ゲーム運営もプレイヤーがやるのを見越してか、別アカウントにアイテムなど移動する個別送信ボックスを用意してくれている。
ここまでにも、お土産になる品物をオギノの方に送っていたりする。
しかしながら、これ以降、暗号の入力場所らしき所を発見できず。
ええ……? 別の場所にある感じか??
『蒼ノ都』のように道場とかギルドの試験会場にヒントあったり?
試しに向かってみるけど――「キャ~~~~!」と女性プレイヤーたちが道場に押し寄せている。
『紫鬼流』の師範がイケメンだから(公式HPにものってる)それ目当てのプレイヤーだろう。
流石に無理! いけません!!
「なーお!」
意気地なし!と瑠璃さんに叱咤されつつ、冒険者ギルドにも足を運ぶが、そちらもプレイヤー数がとんでもない!!
こっちも無理! はぁ~~~~、ある意味詰んでるわ。これ。
何か他に情報源は……
里内にある特徴的なものと言えば、派手なコンサート会場から、小規模な会場まで。
推し合いが出来るように、道は広めに確保されているのも特徴かな。
紫鬼は意外と集合住宅でミニマムな生活をするらしい。
てか、時空間魔法で収納には困らないから、普通と言えば普通か。
あと闇鉱石の採掘場には、武器や衣服の修繕所があるそうな。私はお世話にならなそう。
ん? ……ファンクラブ??
推しをたたえ合う為の、ファンクラブ的なお店が幾つもあるようだ。
……あ、これだ!
私が発見したのは『ノーブルファンクラブ』! やはり、ある所にはある訳か!!
瑠璃さん! いざ向かいましょう!!
あれ、ノリが悪い? さっきの境内の探索で疲れちゃいましたか?
いたっ!? 猫パンチ+ひっかき止めてけれ~~~!




