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VRバイターが往く!~近未来の生存戦略~  作者: ヨロヌ


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【ヴァルフェリアオンライン】解読【まほ★まほ】


怪訝そうな緑オーガの女性に対し、私は言う。


「明日のレース。彼が1位をとれるかは分かりませんが、本気で走ってくれると思いますよ」


「どういうこと?」


「1位にならなければ処分されるからです。彼は賢いですので、ちゃんと理解していますよ?」


「………え。………馬にそんなこと分かるワケ」


「私は異邦人なんですが、私の世界にも競馬はありまして……そこに妙な競走馬がいたんですよ。彼は奇行で有名でしたが、本当に賢くてですね。ほら、馬を走らせると体に支障を来す場合があるでしょう? 自分に負荷がかかると理解して、わざと手を抜いて走ったりしたりしたんです。現役を引退する際に検査した時、その馬は至って健康。まだ何レースか走っても問題ない状態だったそうです」


私が鉢合わせた場面でも、妙に周囲の様子を観察していたし、反応からして状況を理解している感あったもの。

話がそんな話をしていると、またふんふん鼻を鳴らして近づく残桜。

私が余計な事を言ったからか、柵越しから前足でどついてくる。

いった!? ダメージ50!!?


「残桜! 駄目よ!!」


「ああ……うん。平気です。じゃれてるだけですよ。馬が人の程度の感覚は掴みづらいので、仕方ありませんね」


実際、ジョッキー相手にこんな風に絡む馬がいたもん。

あ、そうだ。


「すみません。この言葉についてご存知のことはありますか?」


緑オーガの女性に、神社の石碑に刻まれていたメッセージを見て貰う。

メモ用紙代わりに使っている無料ガチャで出た魔導書を見せた。

「ああ、これ」と女性は溜息混じりで答えた。


「金運の鬼神の名言だったかしら。どういう意味が込められているかは知らないわ。でも周りは『運』をさしているから、運が強い奴が緑鬼で優れている証明だーって主張してるわね。……私は『運』頼りの生涯なんて嫌だけど」


成程。

実際間違って解釈されてると思う。


「多分これ『緑鬼流』の本質を説いている内容ではないかと私は考えてまして」


「『緑鬼流』?」


「『緑鬼流』は風の魔素の中に含まれている二種類の粒子を結合、反発させ……」


「ごめんなさい。私、そういうの分からないから」


あ……すんません。


「じゃあ、その金運の鬼神について何か存じている事は?」


「金運の鬼神って最初の頃は、賭け事に弱かったんじゃなかったかしら。でも()()()()()()を掴んだから勝てるようになったって」


「あー……ズルしたんでしょうね」


「ズルって……もしかして『緑鬼流』を使って? それならそれで、しょうもない奴だわ」


ふむ、しかし、それが暗号を解く鍵になりそうだな。

私は馬と女性に別れを告げて、ログアウト。

食事と家事を軽く済ませて『まほ★まほ』にログインし、そこでのルーティーンを済ませ、先程の暗号のスクショをUSB内から引き出し、睨めっこする。


しかし『緑鬼流』……風、電気……ううむ。なんだろうな。モールス信号? 二進法?

二進法とかなら、青鬼の暗号文で使われそう。

最初は某探偵小説みたいな五十音順かなと思ったのだけど、どうも違うようで。


発想を変えないと駄目か。

多分、小難しい手法は取り入れない筈なんだ。


実際『緑鬼流』でズルをするって……どうすんのかな?

サイコロの面のどこかに粒子をつけて、それで判別する?

あ、そうかも。『丁半』みたいなサイコロの出目を見抜く。

オーガはエルフの『魔素眼』のような視覚で魔素を感知しないで、触覚で感知している。

あと麻雀の牌とか……


あ! それじゃん!?

同一の模様が沢山ある、この暗号!

道理で平仮名やアルファベット表記にも該当しない訳だ!!

麻雀の牌は結構多い。

不自然に空欄な場所も牌の中にある真っ白な奴を意味するのだろう!


よし、折角だからタロットカードにデザインして、並べてみるか。

麻雀の役?だっけ、なんか完成させる奴。詳しくないから、ちょっと調べてみないとな……


ふむ。

恐らく暗号文として石碑に掘られていた麻雀の牌は、四人の手元の牌。

神社内にあった暗号文は、盤面中央に出ている牌の内訳。


なんだが……手前を自分の手牌に置き換えて考えても、別に役が成立するようにも見えない……

危険牌を見抜くのかな?

ええと、つまり、この状況で相手に和了(ロン)される可能性がある牌が危険牌。

……やっぱりね。

相手側でリーチがかかっているところがある。


危険牌は五つの神社分の暗号を合わせて――

風牌の東(現実の麻雀でいう漢字の東が書かれているもの)

萬子の六萬(ローピン)

筒子の三筒(サンピン)

索子の七索(チーソウ )

そして三元牌の發


東は文字通りの東の方角。

萬子の萬は単位。

筒子の筒は貨幣の形状。

索子の索は貨幣を縛る縄もしくは竹串。

そして、發は矢を投げることを意味している。


6Gを三筒(サンピン)の形状で7回縄で巻きつけて、東のどこかで投げつける。


という内容になりそうだ。

ゲーム内硬貨も、手元に出現させれる形式だし、間違いない。

東のどこか?

それは東側にある神社だろう。


5つある神社の配置が『黄金神社』を中心に東西南北分かれているからね~。

東側の神社には、投げ入れるのが難しい投げ銭の輪が配置されていたし、何かイベントは起きそう。

………やらないけどね!


ふう、謎を解いてスッキリできた! めでたしめでたし!!

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