【重要】サービス終了のお知らせ
【重要】サービス終了のお知らせ
この度『ゆっくりのんびりふぁ~む』は2×××年3月31日をもちましてサービス終了をさせて頂く事となりました。
サービス開始から約10年の間、ユーザーの皆様に支えられ……
☆
いかなる神ゲーであっても逃れる事ができないもの。
それは『サービス終了』である。
某スライドパズルゲームも、某英雄RPGも、某対戦型MMOも、ユーザーに愛されながらも幕を閉じた。
私が愛好していた『ゆっくりのんびりふぁ~む』も然り。
『ゆっくりのんびりふぁ~む』はクラフト系VRMMOであり、衣服・装備・デザインなどを作り、他プレイヤーやNPCに販売をし交流。
あるいはそれらを装備しモンスターと戦闘。
もしくは、誰とも交友せず、ただもくもくと自分の作場に籠って作業。
などなどを楽しむ。
加速時間システムが導入されているが、通常時間の二倍と控えめ。
悲しい、とても悲しい。
ほんわかな雰囲気もそうだが、体感も控えめで、居心地は快適だっただけに。
純粋に愛着があったのでサービス終了の悲しさを抱く一方、これから別の定住先を探さなければならない億劫が込み上げて来た。
そう。
『ゆっくりのんびりふぁ~む』は私のようなVRバイターには快適なVRMMOだったのだ。
☆
VRバイター…文字通り、VRでアルバイトを行う人を示す言葉。
VRMMOの流行中、じわじわとその名が広まっている。
最新技術による加速時間。
VRMMO特有のスキルの反映性。
MMOならではの周回効率を快適化する為の技術。
人々を楽しませる要素を洗い出してみると――あれ?これって仕事に使えばよくね?? みたいな事になってしまった。
加速時間は説明不良。
VRMMOの体感やスキルも様々な分野で応用できる。
クラフト系で取り上げられる作製スキルが代表の一つだ。
服や武器の図面作成は、そのまま現実の服や、漫画の武器に転換可能。建造物も同じく。
こういうデジタル分野は半世紀前から実現はしていたものの。
素人では上手く扱えない、扱えても慣れるのに時間を要するのだが、VRMMOでのクラフトはあまりに自由度が高い故に、半世紀前の技術ソフトを一瞬で過去のものにしてしまった。
じゃあ、こういうのVRMMOでやればいいじゃん、って。
動画サイトやブログ、SNSで「VRMMOが凄い!」「動画編集が楽になりました」「漫画の背景だけでなくキャラの服や構図まで」「データ作成が快適に!」とユーザーが宣伝しまくり。
これに便乗してVRMMOの開発運営が、そういう層に需要ある商法へ切り替えるくらい影響はあった。
しかし……
本当の意味でのユーザー、即ち純粋にVRMMOを楽しむゲームユーザーは快くなかった。
VRMMOでゲームをやらないで、仕事するとか、本当の意味でゲームユーザーじゃないよね。
とか
旅行先で一人だけ仕事やってるとか場違いにもほどがある。バイターってそういう空気読めない奴ら。
とか
バイターPKして妨害して憂さ晴らししようぜ
とか
VRバイターアンチの誕生である。
一時期、VRバイター撲滅運動みたいなのが跋扈してたほど、VR界隈は混沌していた。
今では下火になっており、VR界隈も騒動を受けてバイター贔屓をやめ、純粋にゲームユーザーの為の方針へと切り替わった。
しかし、私のようなバイターが生き残っているように、加速時間を利用して漫画や小説をかいたり、資料作成、衣服や建築の図面製作、中には受験勉強をする者もいるだろう。
私は、戒めとして自身に規則を設けている。
一つ、VRバイターであると気づかれてはならない。
表面上は一般プレイヤーと差異ない言動を務める事。
一つ、サービス継続の為に最低限の課金を行う事。
例外として、集金目的の悪意あるものは除外する。
一つ、面倒くさくてもログインとイベント参加をする事。
他プレイヤーとの交流は近所付き合いと同等である、怠ってはならない。
もし、VRバイターであると知られた場合は、アカウント消去を行う。
どれほど課金していようが、アバターのレベルが高かろうが例外なく。
以上。
……さて、話を戻そう。
私はこれから、新たな定住先を探さなければならない。
そして、間もなくサービスが開始し、加速時間を要するVRMMOが三つ。
ここから新たな定住先を……いや、定住先かも分からないが
次のVRMMOへ向かう準備をしよう。