第十三話
クーちゃんと五尾は、最後のエリアの三体目の中ボスと戦った広間を調査していた。
五尾は、隠し扉の場所は見つけたが、やっぱり開けることは出来なかった。
「やっぱり四体目の中ボスを倒さないと奥へは進めないようだ」
五尾は、溜息を吐きながら言った。
「あと中ボス一体を倒せば、ラスボスに挑めるんですか?」
「ちがう。次の中ボスを倒すと、さらにもう一体中ボスが出てきて、その次がラスボスだ」
クーちゃんはゲンナリする。
「次の中ボスも巨大なクマ頭人形ですかねぇ」
クーちゃんが聞いたが、五尾は少々間を置く。
「できれば、そうであって欲しくないが、その可能性は高いと考えている」
「どうしてですか? すでに攻略法が分かっているんだし、巨大なクマ頭人形なら対処しやすいじゃないですか?」
「俺はそうは思わない。なぜなら、一体目に比べると、二体目は、すべての大技が強化されている。と言う事は、三体目は二体目の大技をすべて強化してくるだろう」
クーちゃんは背中に冷たい物が走る。
「い、いやだなぁ。脅かさないでくださいよ」
「取り越し苦労なら良いけどな」
五尾は、一切笑っておらず、真顔で言った。
クーちゃんと五尾は十分な休息を取った後、四体目の中ボスがいる広場へ向かうと、あっさり到着する。
「準備は良いか?」
五尾が聞くと、クーちゃんは頷く。
クーちゃんと五尾は、広間の中央部まで進むと、案の定、中ボスが現れた。現れたのは、巨大なクマ頭人形だった。
五尾の言葉を思い出し、クーちゃんを一瞬躊躇する。五尾は迷わず、巨大なクマ頭人形へ突っ込んでいく。巨大なクマ頭人形は、早速溜めに入る。
「雑魚召喚の溜めだ」
五尾が叫んだのを聞いて、クーちゃんも正気に戻り、突進コンボを巨大なクマ頭人形へする。もちろん成功し連撃をする。一体目の巨大なクマ頭人形や二体目の巨大なクマ頭人形の時よりも、召喚された雑魚モンスターは通常より、一回り大きいクマ頭人形でしかも数が多かった。
クーちゃんはターゲットを雑魚モンスターへ変更し、突進コンボを決める。
「また、雑魚召喚の溜めだ」
クーちゃんは再び巨大なクマ頭人形へ突進コンボを決めると、連撃する。そして、雑魚が召喚されるとクーちゃんは雑魚がいる方へ離脱する。
再び巨大なクマ頭人形が溜めに入る。
「今度は両手衝撃波攻撃……いや、やっぱ距離を取って様子をみろ」
途中で五尾の指示が変わったが、クーちゃんは巨大なクマ人形に突進コンボを決めてしまう。
「ピンクリボン。すぐに離脱しろ」
そう言いつつ、五尾は、巨大なクマ頭人形の背後側に回り込んでいる。それに釣られてクーちゃんも巨大なクマ頭人形の背後へ回り込んでしまう。
巨大なクマ頭人形は、高くジャンプして地面に両手衝撃波を撃つはずだが、若干間があり、遅れる。
「避けろ!」
そう言うと、五尾はクーちゃんを突き飛ばすと、五尾はその反対側へ飛び退く。
気が付くと、クーちゃんが立っていた場所に衝撃波が走る。
巨大なクマ頭人形は、上空にジャンプした後、クーちゃんへ軸合わせをして、衝撃波を撃つ向きを変えて居たのだ。
そして、続いて驚いて茫としているクーちゃんに追撃の横一文字の衝撃波が襲う。
横一文字の衝撃波は五尾も効果範囲に含まれていたが、五尾は横へジャンプして効果範囲外へ出て避け切ったが、徐々に空間全体が白くなっていく。
気が付くとクーちゃんは、泣いている愛奈に抱きしめられていた。
倉庫内に愛奈の泣き声が響いている。リキャストタイムの十五秒が、クーちゃんには異常に長く感じた。
再びコンソールルームにクーちゃんは戻ると、やっぱり五尾が待っていた。五尾の尻尾はまだ、三本のままだった。
「俺は、さっき何を間違えたんですか?」
クーちゃんは五尾に聞いた。
「間違えていない。相手が上手だっただけだ。それに、今回は五レベル相当の中ボスを三体倒している。五レベルの俺でもそこそこ経験値が入った。ほんの少しだが、前進している」
「あの、衝撃波の攻撃はどのように対処したら良いでしょう?」
「あの衝撃波をギリギリで避けられる自信はあるか?」
クーちゃんは首を横に振る。
「なら、距離を取ってなるべく、雑魚を盾にできる位置に陣取るしかないな」
「俺の攻撃チャンスが減るのか」
「倒されなければ、負けない。負けない限り勝てるはずだ」
クーちゃんはコンソールで自分のステータスを見て驚く。
「すっげー経験値が急に増えてる」
「そりゃ、三レベルで五レベル相当の中ボスを三体倒しているからな。不思議じゃないだろ」
「もしかすると、次の挑戦で四レベルにレベルアップできるかもしれませんよ」
「そうなってくれると助かるな」
クーちゃんが、準備を整えると、五尾と一緒に再びクエストにチャレンジする。
クーちゃんと五尾は、あっさり五つ目のエリアに到着すると、入ってすぐにある安全地帯で一旦休憩する。
「五尾さん。今度は、さっき失敗した四体目の中ボスからチャレンジしませんか?」
「どうして?」
五尾は首を傾げる。
「俺、悔しくて。すぐにリベンジしたいんです」
「ピンクリボンは、あと少しで四レベルにレベルアップしそうなんだろ? まだレベルアップしていないし、レベルアップしてからでも良いんじゃないか?」
「確かにそうかもしれないけど、他の三体の中ボスを倒してもレベルアップしないかもしれません」
「その通りだな。物は試しだ。四体目からチャレンジしてみるか」
そして、クーちゃんと五尾は、先ほど四体目の中ボスが出て来た広間に到着する。二人一緒に広間の中央へ進んで行くと、巨大な木彫りのクマ人形が二体出て来た。
「どういうこと!」
クーちゃんは驚く。五尾はいつも通り、巨大な木彫りのクマ人形一体へ突進して行く。
「茫っとするな」
クーちゃんは、もう一体の巨大な木彫りのクマ人形と、五尾が戦い始めている巨大な木彫りのクマ人形が間に挟まるように移動する。
五尾から教わった対策法である。
これをやると、中ボス同士がぶつかったりして、同士討ちになるので、早く倒せる。
数分後、危なげなく、巨大な木彫りのクマ人形二体を倒す。
「確かに俺たち、四体目の中ボスの広間に来ましたよね?」
「確かにそうだな。だが、これでわかったよ。四体の中ボスは、広間を順不同で選べば、その順番で中ボスを倒せるかと思っていたが、恐らく出てくる順番は広間を選ぶ順番で選べないのだろう。どの広間へどの順番で入っても恐らく順番は同じになると思う」
クーちゃんたちは、今まで入った順番とは別になるように広間を選んで入って行ったが、出現する中ボスの順番は同じだった。




