第十二話
クーちゃんと五尾は、再びクエストに挑戦した。
初めのウチは、クーちゃんもあまり実感が湧かなかったが、四つ目のエリアで、ボス戦をして、恐ろしいほど攻略が早くなってなっていることに気付く。
「なんか、さっきのボス。弱くなかったですか?」
「俺の尻尾が三本になってから、戦ったのは初めてだから、そう感じるだけじゃないか?」
「結局、五尾さんがより一層活躍しているだけって事か」
クーちゃんはがっかりする。
「ピンクリボンは、三レベルじゃないか。四レベル相当の中ボス戦で、活躍できるだけでも立派だぞ。もっと自分に自信を持て」
クーちゃんも理屈では分かっていても、感情では理解出来なかった。
最終エリアの初回のボス、巨大な木彫りのクマ人形二体同時は、前回とあまり変わらない感じであった。四つ目のエリアの中ボスが楽になったのは、五尾のお陰だと、クーちゃんは実感する。
五尾は、巨大なクマ頭人形にリベンジする前に、クーちゃんを連れて安全地帯に来た。
「とりあえず、巨大なクマ頭人形相手の作戦を教える」
五尾が、クーちゃんに教えた作戦は、次の通りだった。
・雑魚召喚の溜めをしたら、突進コンボをし、雑魚が出てきたら離脱。
・両手衝撃波攻撃の溜めをしたら、突進コンボをして、巨大なクマ頭人形の背後にまわる。
・炎の息の攻撃の溜をしたら、突進コンボをして、巨大なクマ頭人形の背後にまわる。
・未知の溜めを始めたら、突進で巨大なクマ頭人形から距離を取る。
「そうは、言っても、溜めを始めても、なんの溜めか判断できませんよ」
「それでは、俺がどの技の溜めか教える」
二人は、簡単に打ち合わせたあと、巨大なクマ頭人形の広間へ向かった。
巨大なクマ頭人形の広間へクーちゃんと五尾は、入って行くと、巨大なクマ頭人形が現れる。
五尾は、戦闘開始と同時に巨大なクマ頭人形との距離を詰める。クーちゃんはちょっと様子をみる。
巨大なクマ頭人形は、早速雑魚召喚の溜めに入る。
「雑魚召喚の溜だ!」
五尾が叫ぶ。クーちゃんは慌てて突進コンボをする。溜めで硬直している巨大なクマ頭人形を二人で殴る。
通常の大きさのクマ頭人形が召喚されたのを見て、クーちゃんは雑魚へ突進コンボを開始する。
巨大なクマ頭人形は、再び雑魚召喚の溜めに入る。
「雑魚召喚の溜めだ!」
「え。また?」
クーちゃんは再び、巨大なクマ頭人形に突進コンボを決めて、さらに連続攻撃する。
しかし、元からいる雑魚がクーちゃんに迫って来て、早めに雑魚への突進コンボで離脱する。
巨大なクマ頭人形は、しばらく五尾への両手による普通の攻撃を繰り返す。しかし、五尾はことごとく避け、反撃をすべて命中させる。
クーちゃんが雑魚を削って行くと、巨大なクマ頭人形は、再び、雑魚召喚の溜めを始める。
「雑魚召喚の溜めだ!」
クーちゃんは、巨大なクマ頭人形へ突進コンボで攻撃する。
新たに現れた雑魚がクーちゃんたちに殺到するので、クーちゃんは雑魚へ突進コンボで攻撃する。
「今度は、両手衝撃波攻撃の溜めだ」
クーちゃんは、巨大なクマ頭人形に突進コンボで攻撃し、背後に回り込むと、丁度五尾も回り込んでいた。
巨大なクマ頭人形は、攻撃が不発に終わる。
クーちゃんが雑魚に向かって突進コンボを決めると、再び巨大なクマ頭人形は、炎の息の溜めに入る。
「炎のブレスの溜めだ!」
「げ、また、溜めかよ」
クーちゃんは巨大なクマ頭人形に突進コンボを決める。巨大なクマ頭人形は、炎の息を吐く体勢で動きが止まる。
すると、カンカンカンと言う音がすると、巨大なクマ頭人形が徐々に透明になり、消滅する。それに併せて通常の大きさのクマ頭人形も消滅した。
「やった!」
クーちゃんは喜ぶ。
五尾は、広間の一角の壁を調べ始める。クーちゃんは不思議に思い、「その壁がどうかしたんですか?」と尋ねた。
「ここにも隠し扉があるんだが、やっぱり開かない。何か条件を満たすか、他の中ボスを討伐するかしないと開かないようだ」
「ここの隠し扉も開けば、ラスボスに近道なんですか?」
「開けばね」
クーちゃんと五尾は、最終エリアの二体目の中ボスがいた広間を調べたが特に何も仕掛けもなく、隠し扉は開かなかった。
結局、二人は休憩を取った後、三体目の中ボスがいる広間へ向かった。
「次の中ボスはどんなモンスターなのかなあ」
「それはわからん。予想しても裏切られる方が多い」
「でも、四つ目のエリアでは、巨大な木彫りのクマ人形が連続して三体でてきましたよね」
「姿は同じだったが、違う技を使った。同じであっても警戒はしなければならない」
「そうですね」
「だが、共通点と相違点には、注目するんだ」
五尾の言葉に、クーちゃんは首を傾げる。
「例えば、雑魚モンスターの召喚をこのクエストの中ボスは使って来る。パターンがいくつかあるが、それでも対応方法はほぼ変わらない。しかし、中ボス毎に少しずつ違うから、その違いに対応しながら調整するんだ」
「なるほど。似ていることと、違うことを把握しながら、対応していくんですね」
「そんな感じだ」
二人は、三体目の中ボスがいる広間の手前まで到着し、そのまま、中へ入って行く。
広間の中央までくると、二つ目の中ボスと同じ、巨大なクマ頭人形が現れた。
「さっきの話しは、フラグだったようだな」
五尾は、ボソッと言った。
クーちゃんと五尾は、順調に戦っていた。雑魚召喚の溜めは、二体目の中ボスとほぼ同じ。中ボスのモーション自体が同じで、召喚されるモンスターの数が三体目の方が多い事が違っていた。
「今度は、両手衝撃波攻撃の溜めだ」
五尾が叫んだので、クーちゃんは二体目の時と同じで溜めの間に攻撃しながら巨大なクマ頭人形の背後にまわる。
これも二体目の時と同じようにやり過ごす事が出来たが、巨大なクマ頭人形は地面への衝撃波の攻撃に加え、前方へ衝撃波を飛ばした。クーちゃんも五尾も背後に居た為、当然当たらない。
こうして見ると、五尾さんは本当に凄い。モンスターの攻撃はグレードアップしているのに、前の対策がそのまま通用する。やっぱりスゲーな。
巨大なクマ頭人形は、大技ばかり使っても通用しないとみると、今度は五尾へしつこく両手による攻撃を繰り返す。五尾は、避けながら、巨大なクマ頭人形の弱点部位を的確に攻撃を命中させる。
クーちゃんは、巨大なクマ頭人形への攻撃を諦め雑魚と戦っていた。その為、大分雑魚を片付けることが出来た。
すると、巨大なクマ頭人形は、今までの溜めとはちょっと違う溜めをする。
「ピンクリボン。たぶん、炎のブレスの溜めだ!」
たぶんってどういう事?
炎のブレスは、接敵して、背後にまわるのが対処法だ。クーちゃんは突進コンボを決めた後、背後にまわる。
すると、巨大なクマ頭人形は、炎の息を吐くが、ただ吐くだけでなく。扇風機のように首振りをして炎を息の向きが右左に動く。
「げ! あれじゃあ、奴の前に居たら避けられない」
クーちゃんは、炎の息が終わったのを見て、離脱しようとすると、巨大なクマ頭人形は、動きが止まる。 すると、カンカンカンと言う音がすると、巨大なクマ頭人形が徐々に透明になり、消滅する。それに併せて雑魚モンスターも消滅した。




