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第三話

 クーちゃんと五尾は、三つ目のエリアにまだいた。クーちゃんの突進のコンボの練習の為だ。

 突進のスキルで接近し、鉄の爪のスキルを使った両手での攻撃をして、突進のスキルで離脱。反転して、突進のスキルで接近し、再び両手で攻撃をすると、木彫りのクマ人形を倒せた。

「このモンスターは、突進コンボを二回喰らわせた方が、怯んだところをラッシュするより楽に倒せるような気がして来たよ」

 クーちゃんが言った。

「その判断は妥当だろう。だが、モンスターが変われば、条件も変わる。常に正ではないことも覚えておけ」

 クーちゃんは頷く。


三つ目のエリアで、クーちゃんの突進コンボの練習は続いていた。その途中に、アイテムがあることに気付く。

「あれ。何かと思えば鉄パイプじゃないか」

 クーちゃんが言った。

 五尾は、鉄パイプに分析の魔法をかける。

 アイテム

 鉄パイプ 両手用武器として使用可。 すべてのヌイグルミに使用可能。

 このクエスト内のみ 有効

「これ、何かの役に立つんですかね?」

「武器として使用可能のようだぞ。ピンクリボンでも俺でも使用できるようだ。両手武器だから、一回しか攻撃出来なくなる」

「それじゃあ、あまり嬉しくないですね」

「それはわからないぞ。ピンクリボンの右左の爪攻撃二回分より、鉄パイプ一回の方がダメージを与えるかもしれない」

 クーちゃんは「えー!」と不満の声をあげる。

「試す気があるなら、三つ目のエリアにいる間にしろ」

「試すってどんなふうに」

「それは、このエリアのモンスターを攻撃して試すんだよ」

 クーちゃんは、諦めたような顔をする。

「やってみます」


 実践で鉄パイプを試す為、クーちゃんは鉄パイプを装備する。

 すると、これ見よがしに木彫りのクマ人形が現れた。クーちゃんは、現れた木彫りのクマ人形に、突進のスキルで接敵し、鉄パイプで一撃を加えると、木彫りのクマ人形はあっさり消滅する。

「え、えー!」

「ピンクリボンの爪攻撃二回より、威力があったな」

「クマの爪より、鉄パイプの方が威力があるって変じゃないですか?」

「テディベアはクマのヌイグルミであって、クマその物じゃないからな」

 クーちゃんは絶句する。

「この世界では、あまり先入観で見てはいけない。この世界は不条理で出来ている」


 クーちゃんは鉄パイプを装備してから、木彫りのクマ人形は一撃で倒せるため、あまり良い練習台ではなくなってしまう。

「この鉄パイプのお陰で、間合いも少し広くて済むようになったし、一撃で倒せるようになってしまった。このままでは、あまり良い練習台ではないですよ」

 クーちゃんがぼやく。

「その通りだな。それだけじゃない。鉄パイプがもう一本出て来た」

「五尾さんが装備するしかないですね」

「そうだな」

 五尾はそう言うと、口で鉄パイプを咥える。五尾はキツネのヌイグルミなので、鉄パイプを手に装備することはできないので、口に装備することになる。

 五尾は現れた木彫りのクマ人形を鉄パイプで殴ってみる。

「モンスターが弱すぎて、どのぐらい威力があるのか分からないな。次のエリアで試そう」


 三つ目のエリアでモンスターを狩り尽くすと、四つ目のエリアへ続く扉へ到着する。

「本当に重たい荷物を運ばなくても四つ目のエリアに行けそうですね」

「予想通りだ」

 クーちゃんと五尾は、扉を通って中へ入ると、一回目の時と同じような広間に出る。するとクマ頭人形が、二人の前に現れる。

「こっからは俺も攻撃に参加するぞ」

 そう言うと、動きの速い五尾が真っ先に攻撃する。鉄パイプで一匹目のクマ頭人形の脇腹に、二匹目のクマ頭人形の頭に命中した。

 一匹目は倒すことは出来ず、二匹目はあっさり消滅した。

 クーちゃんは五尾が仕留めそこなった、クマ頭人形の腕に鉄パイプの攻撃を決めたが、倒せなかった。クーちゃんは突進のスキルで離脱成功。クーちゃんを攻撃しようとして空振りしているクマ頭人形の頭に五尾の攻撃が命中して、消滅させる。

「お、俺、ノーダメージだ。なんとかやっていけるかも」

 クーちゃんは嬉しくなって声高に言った。

「ピンクリボン自身に手ごたえがあったのなら良かった。この戦法を継続してやって行こう。ただ、一旦、安全地帯で休憩しよう。まず、四つ目のエリアのマップと、もう一つ、鉄パイプの謎だよ」

「鉄パイプの謎ってなんですか?」

「べらぼうに威力が大きい時と、逆にスカの時とある。その理由が分からない」

「え。そうだったんですか?」

 クーちゃんは苦笑する。

 クーちゃんは、木彫りのクマ人形を一撃で倒しているが、クマ頭人形には一撃しか加えていない。実は、その一撃がスカだったのだが、クーちゃんは気付けなかった。

「ピンクリボンは、今の内に疲労を回復しておけ、俺は魔法を使う」

 五尾が、マップを確認する魔法を使うと、一回目とは細部は変わっているが、一回目と同様、基本一本道と大して変わらないマップだと分かる。

「それじゃあ、俺は下見をしてくるから、ピンクリボンは休んでいろ」

「そんな。俺も行くっす」

「それでは、下見でなくなる。俺が下見に行く理由は、まず、ピンクリボンに十分な休憩をとらせるため、二つ目は、ピンクリボンの休憩時間が勿体ないから時間を無駄にしないため、三つ目に、鉄パイプの謎を解明するため。分かったら、ピンクリボンは休憩していろ」

 クーちゃんは渋々承諾する。

 五尾は、安全地帯から出ると走って行ってしまう。


 五尾は、途中、クマ頭人形を倒しながら進む。あっさり倒せる時と、面倒な時との違いが分からなかった。それでもあまり苦労することなく、中ボスのいるはずの広間の手前まであっさり到着する。

 やっぱり、一回目に到着した時と同様、中ボスは居なかった。

 予想通りではあったが、ガッカリしていると、五尾は背後からクマ頭人形攻撃を受けそうになっていることに気付き、咄嗟にクマ頭人形の鉤爪の付いた右手の攻撃を鉄パイプで受ける。するとクマ頭人形の右腕が吹っ飛ぶ。


 バカな。攻撃を鉄パイプで受けただけだぞ? どういうことだ。


 腕が吹っ飛んだ。クマ頭人形は、しばらくすると死んでしまう。

 五尾は、鉄パイプの装備を外す。そして、近くにいたクマ頭人形を転ばせて、地面に押し付けて、動きを封じる。

 鉄パイプを装備すると、軽く頭を叩く。するとクマ頭人形は、一瞬で消滅する。

「頭に命中すると、確定で倒せるようだ」

 また、クマ頭人形が現れたので、五尾は、再び転ばせて、動きを封じる。今度は肩を鉄パイプで叩く。しかし、何も起きない。何十回も軽く叩き続けたが、クマ人形はまだジタバタ藻掻いている。

 五尾は、クマの毛が生えている右手を軽く叩くと、さっきのように右腕が吹っ飛ぶ。そして、数秒後にクマ頭人形は死ぬ。

 クマ頭人形が三体現れた。

 五尾は、その内の二体の頭を鉄パイプで叩くと、あっさり倒せる。残りの一体を転ばせて、動きを封じ込める。


 良く見ると、クマ頭人形って手にも毛が生えているんだな。それと、ケツと足先も……もしや、毛が生えているところを鉄パイプで攻撃するとあっさり倒せるんじゃないか?


 五尾は、毛が生えていない、肩や背中、腕や太腿などを鉄パイプで叩き続けたが、クマ頭人形が死ぬ気配はなかった。そして、最後に左手を軽く叩いたら、左腕が吹き飛ぶ。そして、数秒したら死んでしまう。

 クマ頭人形は、頭、両手、両足首から先、下腹、臀部を含む腰にクマの毛が生えている。

 五尾は、その後、毛が生えている箇所を鉄パイプで攻撃してクマ頭人形を倒し、クーちゃんが待つ安全地帯へ戻って行った。

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