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第二話

 クーちゃんと五尾は、二つ目のエリアにやって来て直ぐの、安全地帯で休憩していた。

「もう重たい荷物を運ばなくても良いというのは、本当ですか?」

「多分な。少なくとも、日本にいるピンクリボンの持ち主は、無事安全な場所まで、ピンクリボンを運びきったじゃないか」


 え。それじゃあ、俺が安全地帯に『愛奈の思い』を運んだから、愛奈ちゃんが安全地帯まで逃げ切れたのか?

 そんでもって、愛奈ちゃんが安全地帯まで逃げ切ったから三つ目のエリアのイベントが消えたのか!


「確かに辻褄が合いますね」

「現状、推論に過ぎないがな。とは言え、三つ目のエリアに行けば分かる事だ。そんな事より、今話して置かなければならないことがある」

「なんですか? 急に」

「全然、突進のスキルを使いこなせていない」

「そうは言っても……」

「四つ目のエリアで通用するためには、まず、突進のスキルを利用したヒットアンドアウェイの戦法をマスターする必要がある。弱い相手で出来ないことは、強い相手にも出来ない」

 クーちゃんはシュンとする。

「まず、接敵に突進のスキルを使い、両手で一回ずつ攻撃、そして最後に突進のスキルで離脱。これを一連のコンボとして使えるようにするんだ」

「でも、突進して、二撃を加えたら、この辺のモンスターは倒せてしまいますよ。離脱の必要はないんじゃないかと」

「三つ目のエリアでも同じように倒せるか?」

「倒せませんけど、怯みますからそのまま連撃を加えれば楽に倒せます」

「楽に倒すことが目的じゃない。コンボの習得が目的だ。ピンクリボンは、すでに三つ目のエリアまでは独力でクリアできるだろう。だが、一連のコンボをいきなり四つ目のエリアでできるのか?」

 クーちゃんは言葉に詰まる。

「今の考え方を続けていると、四つ目のエリアは、ピンクリボンが四レベルにレベルアップするまでクリアできないぞ。それとも、四つ目のエリアに到着したら、ピンクリボンは安全地帯に留まり、その先は俺一人で攻略するか?」

 五尾の突然の提案に驚く。

「そ、それは、ダメです」

「どんなに強力な攻撃力を持っていようと、攻撃が当たらなければ倒せない。逆に敵がどんなに強かろうと、攻撃が当たらなければ、倒されない。そんな簡単な理論を実践に用いた戦法だ」

「わかりました」

 しばらく、沈黙する。

「一つ質問しても良いですか?」

 クーちゃんが口を開いた。

「なんだ」

「五尾さんは、戦闘スキルは一切使えないはずなのに、どうして、そんなに強いんですか?」

 五尾は、呆れたようにクーちゃんを見る。

「戦闘スキルが使える方が有利なのは確かだ。だが、戦闘の基本は、戦闘スキルとは関係ない。敵の攻撃を上手く捌き、自分の攻撃を相手に命中させるただそれだけだ。それを上手くやるための自分だけの方法を見つけることが、強くなる秘訣だ」

「その秘訣を教えてくださいよ」

「今、教えているだろ。突進で距離を詰め、攻撃し、突進で離脱する。これが俺の基本の戦い方だ。俺は突進のスキルは使えないから、普通にダッシュして距離を詰めて、攻撃して、ダッシュで離脱する」

「それだけですか!」

 クーちゃんは驚く。

「ヌイグルミ毎に、得手不得手がある。だから、必ずしも俺の戦法が、すべてのヌイグルミに有効とは限らない」

「俺にも有効でしょうか?」

 五尾は、短く息を吐く。

「それを判断するのは、ピンクリボン自身でやれ。ただ、俺には他の戦法は教えてやれない。俺自身が使えないからな」

 クーちゃん達がいる安全地帯に近くに、ホブゴブリン人形が三体やって来ていた。

「早速だ。その三体を突進、攻撃、突進のコンボで退治しろ」

 五尾は、ホブゴブリン人形を見て、クーちゃんに言った。

「やってみます」

 クーちゃんは、安全地帯からでると、ホブゴブリン人形との間合いを計る。そして、突進のスキルを使い、左にいた一体に詰め寄り、攻撃、そして、そのままの突進のスキルを使うと離脱する。クーちゃんの攻撃を受けたホブゴブリン人形は倒れた。

「上手く行きました」

「他の二体もやれ」

 クーちゃんは、距離をとるために移動をすると、ホブゴブリン人形たちもクーちゃんの動きを見て動きだし、クーちゃんに近づこうとする。クーちゃんは距離をとろうとするが、向こうも動いているので上手くできない。

「どうした。ピンクリボン。早く倒せ。お前ならできるだろ」

「でも、突進のスキルを使うための距離がとれません」

「ここのモンスターは、距離をとらなくても倒せるだろ。突進のスキルを使って攻撃しろ」

 仕方なく、クーちゃんは突進のスキルを使うと、突進の途中でホブゴブリン人形の近くを通った為、攻撃をしようとするが、空振りする。

「良いぞ。今度はちゃんと狙っていけ」

 突進した先に、もう一体のホブゴブリン人形がいた。そこで攻撃をすると、命中してあっさり倒す。

「もう、一体、背後から近づいて来ているぞ」

 クーちゃんは近づいて来たところを攻撃して、倒す。

「最後の一体はズルしたけど、良いだろう」

 クーちゃんは無我夢中になってやっただけで、何が良かったのか、良くわかっていなかった。

「突進中の攻撃が、上手くやれるようになると、かなり有利に突進のスキルが使えるようになるだろう」


 クーちゃんの突進を使ったコンボを、二つ目のエリアのモンスターで練習して回った。その為、二つ目のエリアのモンスターを全滅させてしまう頃には、大分できるようになっていた。

「回復アイテムも回収したし、次のエリアに行くか」

「やっと、思った通りにできるようになってきましたし、次のエリアでも行けそうです」

「次のエリアで出来れば、四つ目のエリアでも、ある程度戦えるようになるだろう」

 クーちゃんの表情が明るくなる。

「本当ですか」

「次のエリアでも、すぐにできるようになるかわからんだろう」


 クーちゃんと五尾は、三つ目のエリアに行くとすぐに木彫りのクマ人形が一体現れた。

 クーちゃんは早速、突進スキルで攻撃して、突進で離脱しようとすると、間違って木彫りのクマ人形にタックルしてしまう。タックルされた木彫りのクマ人形はすってんころりんと転ぶ。クーちゃんは、蹴とばしたり、トドメとばかり、踏みつけ攻撃を決めて倒す。

「お! 倒せた」

「今のは、突進攻撃からのバリエーションの一つとして覚えるのも良いだろう。だが、基本形を覚えるのが先だ」

 クーちゃんは苦笑いする。

「あと、このエリアのモンスターと戦う時は、鉄の爪のスキルもちゃんと使わないとな」

「あ! 忘れてた」

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