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第十六話

「休憩している間に確認しとこうと思うのだが、これからどうする? この三つ目のエリアで戦闘訓練をするか、四つ目のエリアに進むか」

 クーちゃんは驚く。

「俺はてっきり、すぐに四つ目のエリアに進むもんだと思っていました」

「ピンクリボンがそうしたいのなら、それで構わないが、一応説明しておくか」


 一応説明しておくって……なに?


「次のエリアの雑魚モンスターは、四レベルのヌイグルミ相当だと推測している。たぶん、今のピンクリボンでは苦労するだろう」


 そう言えば、一つ目のエリアは一レベル相当、二つ目のエリアは二レベル相当、三つ目のエリアは三レベル相当だったもんな。次の四つ目のエリアの雑魚モンスターが四レベルの相当だと考えるのが普通か。


「今の俺じゃ、通用しないですかね」

「通用するの考え方で変わって来るが、一対一で戦って勝てるかと言うと、試して見ないと分からないが、多分難しいだろう。ピンクリボンの今の戦法は、不意を突いて、大ダメージを与えることによって、敵を怯ませる事がキモになっている。四レベル相当のモンスターを、今のピンクリボンでは怯ませるのが難しいはずだ。だから、敵を怯ませるのが前提の戦法は使えない」

 五尾は淡々と語った。

「でも、攻撃を妨害する攻撃は通用するかもしれないじゃないですか」

「かもしれないな。やってみないとわからないが」

 五尾は浮かない顔をしている。

「四つ目のエリアに行ったら試させてください」

「分かった。いいだろう」


 クーちゃんと五尾は、十分な休憩をとったあと、四つ目のエリアへの入口へ入った。

 辺りは、迷宮なところで、壁も地面を真っ白で、無機質な感じなエリアであった。そこに、頭がクマ、胴体が筋肉質の人間であり、両手は胴体や腕の大きさに対してバランスが悪い程大きい手をしていて、鉤爪までついていた。そんなモンスターの人形が二体居た。五尾は反射的にその二体をあっさり倒す。

「一体残しておいてくださいよ」

 クーちゃんは苦笑いを浮かべながら言った。

「すまん。突然モンスターが現れたから、反射的に倒してしまった。だが、戦いたいなら、あっちにもう一体いるぞ」

 五尾は、鼻先で示した方を見るとクマ頭人形が一体居た。

 クマ頭人形は、クーちゃんたちに気付いていなかったので、クーちゃんは突進と鉄の爪のスキルを使って攻撃した。ダメージを与えられたが、案の定、怯まなかった。クーちゃんはクマ頭人形の軸足である右足の膝を蹴る。クマ頭人形は、バランスを崩したが、クーちゃんに構わず攻撃する。クーちゃんはダメージの大きさに怯んでしまう。逆にモンスターは体勢を立て直し、クーちゃんに追撃をしようとする。しかし五尾がモンスターの手首に噛み付き、そのまま投げ飛ばすように地面に叩きつけた。するとクマ頭人形はそのまま消滅する。

「俺の攻撃が全然通用しなかった」

 クーちゃんは愕然とした。

「レベル差とはそんなものだ。そこの安全地帯に入るぞ」

 クーちゃんと五尾は安全地帯に入る。

「俺は魔法を使うから、ピンクリボンは少しでも回復するようにジッとしていろ」

 五尾は呪文を唱える。

 しばらくすると、五尾は地面にマップを描き始める。そして、あっと言う間にマップを描き終える。

「四つ目のエリアは、ほぼ、一本道と変わらないな。中ボス三体を順番通り、三体倒さないと五つ目のエリアにいけないようになっている」


 俺。これから先、役に立てるんだろうか?


「まだ、ダメージが回復していないな?」

 五尾が聞いた。

「まだ、少し掛ると思います」

「少し下見に行ってくる。すぐ戻って来ると思うから、ここで待ってろ」

 そう言うと、五尾は走って行く。途中、クマ頭人形を噛み付いたり、前足で引っ掻いたり、あっという間に倒していく。


 五尾さんって、戦闘スキルを使えないんだよな。どうして、あんなに強いんだろう? どうやるとあんなに強くなれるんだ?


 五尾は曲がり角を曲がってしまい、クーちゃんから見えなくなる。


 五尾は、現れたすべてのクマ頭人形を倒して進んでいく。雑魚モンスターである、クマ頭人形の出現数の多さに五尾は少々辟易していた。

 なんとか、中ボスがいるはずの広場まで到着したが、中ボスは居なかった。五尾は広間に入らず、手前で中を観察する。

 広間の奥に扉があるが、閉じられている。魔法で確認したマップを思い出す。次の中ボスいる広間に続く道への扉であると、五尾は確信する。


 たぶん、広間に侵入すると中ボスが現れるパターンだろう。姿が分かれば、ある程度、攻撃パターンを推測できるんだが、残念。


 五尾は、来た道を引き返していく。

 そして、しばらく走るとクーちゃんが待つ安全地帯に戻る。

「ダメージは回復したか? まだか。もう少しここに留まろう」

 五尾がクーちゃんを見て、言った。ダメージが回復しきれていないのを、魔法を使って五尾は確認した。

「すみません」

「どうして、謝る」

「俺。足手纏いですよね」

「なぜ。そう思う」

「俺。クマ頭人形を倒せません。さっきも歯が立たなかった」

「レベル差とは、そんなものだと言っただろう。気にするな。そんな事を考えている暇があったら、どうやったら生き残れるか考えるんだ」

「生き残る? 逃げ回れって言うのですか? 戦い方を教えてください」

 五尾は、短く息を吐く。

「逃げ回ることは、戦いの一つの方法に過ぎない。戦うのは、生き残る為にすることだ」

「それはそうなんですけど。俺、戦いで役立ちたいんです」

「敵を引き付けて、逃げ回るのも、十分戦いで役に立っているが」

「そういうのではなくて。敵を倒せるようになりたいんです」

 五尾は、渋い顔をする。

「今のピンクリボンにできるかどうかは、分からないが、持久戦の戦法になるな」

「どんな戦法ですか?」

「簡単に言うと、殴っては逃げ、殴っては逃げるをひたすら続ける。距離をとるので、なかなか敵の攻撃を受けないで済む。ただし、殴りに行くタイミングを見破られるとアウトだな」

「俺そんなに身軽じゃないですよ」

 確かにクーちゃんは、五尾のように身軽ではない。

「発想の転換をしてみたらどうだ。例えば、突進のスキルを攻撃の補助として使っているが、モンスターとの距離をとるのにも使えるんじゃないか?」

「はぁ」

「ヒットアンドアウェイと言うだろ」


 クーちゃんのダメージが回復したので、中ボスがいる広場への道を進む。するとすぐにクマ頭人形が三体現れた。

「ピンクリボンは右の奴を、打ち合わせ通りにやってみろ。俺は残りの二体を倒す」

 そう言うと、五尾はあっさり二体のクマ頭人形を倒す。

 一方、ピンクリボンは、一体に突進+鉄の爪のスキルで攻撃する。クマ頭人形が反撃しようとしてくるところに突進のスキルをさらに使うと、間違ってクマ頭人形にタックルをしてしまう。

 クマ頭人形は持ち堪えたが、クーちゃんは尻もちをついてしまう。

 その時、新手のクマ頭人形が、五尾へ殺到する。五尾は、新手のクマ頭人形を片付けるので精一杯で、クーちゃんのフォローに入れなかった。

 クーちゅんのタックルを受けた、クマ頭人形は、クーちゃんへ迫る。クーちゃんは突進のスキルを使い、クマ頭人形から距離をとることに成功する。が、しかし、クーちゃんの運は悪かった。

「ピンクリボン。逃げろ!」

 五尾が叫んだが、遅かった。距離をとった先に新手のクマ頭人形がおり、クーちゃんを攻撃しようとしていた。クーちゃんは慌てて攻撃したが、クマ頭人形の攻撃を二回受けてしまい、倒れた。

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