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第十四話

 クーちゃんと五尾は、回復の為安全地帯におり、雑談は続いていた。

「すみません。俺のせいで攻略が遅れて」

「別に謝る必要はない。それにさっきも言った通り、まだ想定内だ。それに、今教えている事は、四つ目のエリアや最後のエリアでも生きてくる技能だ。ここで時間を掛ける意味はある」


 第三エリアの木彫りのクマ人形を練習台に、敵の反撃を邪魔をする戦法を、五尾の指導の元、クーちゃんはやり続けた。そして、とうとう一体やり遂げた。

「やりました。五尾さん」

「やったな。だが、一回だけだと、まぐれかもしれない。キーアイテムがある場所まで行くついでにモンスターを無傷で倒す練習をしよう」

 クーちゃんの練習は順調で、木彫りのクマ人形に反撃を受けずに、キーアイテムの近くまでくる。

「なんだ。なんであんなところに木彫りのクマ人形が輪っかになっているぞ」

 キーアイテムを中心に五体の木彫りのクマ人形が、キーアイテムを守るかのように囲み立っている。

「良く見ろ。あの真ん中に何かあるだろ。あれがキーアイテムだ」

「あ! 本当だ。」

「どうしますか?」

「倒すしかないだろ」

 五尾は、一人で突っ込んでいく。木彫りのクマ人形の一体目をあっさり倒すと、他の四体も五尾へ殺到する。そのウチの一体へクーちゃんは、突進と鉄の爪のスキルで先制攻撃を成功させる。

 クーちゃんが一体を倒す間に他の四体は五尾が退治していた。

「は、速いですね」

「尻尾が一本の時より、二本の方が速く動けるからな」


 尻尾が一本の時でさえ、めちゃくちゃ速かったのに、さらに速くなっているのかよ。


「やっぱり、キーアイテム変わっているぞ」

 五尾は言うと、分析の魔法を使う。

 アイテム

 円筒形ドアノブ 使用方法は、『愛奈の思い』に対して使用する。 通常のヌイグルミは使用不可。

 このエリア内のみ 有効

 五尾は、分析結果をクーちゃんに教える。

「『愛奈の思い』って安全地帯まで運ばないといけないというアレの事ですよね」

「そのとおりだな」

「あの~。どうやって使うんですか?」

 五尾は、しかめっ面をする。

「『愛奈の思い』の前で使おうとすると自然と分かるだろう。知らんけどな」

「知らんけどって、そんな」

「鉄パイプの時も使ってみるまで使い方分からなかっただろう」

「そう言えば、そうですね」

 クーちゃんは『円筒形ドアノブ』を手に入れた。


 クーちゃんと五尾は、『円筒形ドアノブ』を手に入れたあと、木彫りのクマ人形を討伐しながら、たまに最寄りの安全地帯で休憩をとりながら、『愛奈の思い』のある場所へ進む。

「あれ、きっと『愛奈の思い』じゃないですか?」

 クーちゃんが、黄色の球体の物体を見つけた。

 五尾は、黄色の球体に分析の魔法を掛ける。

運搬アイテム

愛奈の思い 愛奈のクーちゃんを大切にしている思いの結晶

このエリア内のみ 有効

「『愛奈の思い』で間違いないな」

「それじゃあ、とりに行きましょう」

 そう言うと、クーちゃんは走り出そうとする。

「大きめの木彫りのクマ人形が現れるぞ」

 五尾が言うと、クーちゃんの足は止まる。

「俺戦えますかね」

「今のピンクリボンの実力では、無傷で倒すのは無理だろうが、一撃で倒されるということはないだろう」

 クーちゃんは、どうするべきか悩む。

「どうしたらいいでしょう?」

「クエストに失敗しても大丈夫な状況なら、チャレンジさせてやりたいところだが、今はそんな余裕はない。近づいて辺りの状況を確認したいのなら、俺が戦おう」

「俺、この『円筒形ドアノブ』の使い方を確かめたいんですよ」

「時間制限があるかもしれない。使い方を確かめるのは、後にしてくれ」

 クーちゃんは、渋い顔をする。

「確かにその可能性が大きいですね。でも、他に何かやることはなんですか?」

「『愛奈の思い』を何処に運ぶんだ?」

「安全地帯です」

「何処の?」

 五尾の質問にクーちゃんは固まる。

「何処でしょう?」

 クーちゃんは首を傾げながら言った。

「何処の安全地帯に運ぶべきか。辺りを調べる必要がある。モンスターが現れやすいか、『愛奈の思い』を運び易いか、いろいろ調べないとな」

「なるほど。確かに調べておかないといけませんね」

「前回とマップが同じなら、調べ直す必要は無かったんだが、完全に別物になっているからな」

「それじゃあ、前回は、五尾さん一人で調べたんですか?」

「当然だろ」

 クーちゃんは、改めて五尾の凄さを認識した。


 クーちゃんと五尾は、『愛奈の思い』を運ぶ候補の安全地帯のウチの一つに居た。さすがに疲労が溜まったし、五尾はダメージを負っていなかったが、クーちゃんはほんの少しだが、ダメージを負っていた。

 クーちゃんの疲労回復とダメージ回復のため、安全地帯で休息していた。

 五尾は、地面に『愛奈の思い』を中心にしたマップを描いている。

「上手ですね。地図描くの」

「魔法で探知した地図を描き写しているだけ、だけどな」

「すごいな」

「それでだ。ここが『愛奈の思い』のある場所」

 マップの中心の×の場所を指差しながら言った。

「それで『愛奈の思い』を運ぶ候補の安全地帯は、ここと、ここと、ここ」

 丸で囲った三ヶ所を順番に指差した。

「ピンクリボンは、どれが良いと思った?」

「え。俺が選ぶんすか?」

「ピンクリボンの意見が聞きたいだけだ」


 どれも同じにしか見えない。


 クーちゃんはしばらく悩む。

「すみません。ぜんぜん分かりません」

 五尾は、苦笑する。

「『愛奈の思い』を運ぶと考えた場合、どれでもあまり関係ないかもしれないな。だが、運んでいるピンクリボンを守る側の俺の考えとしては、T字路や十字路は少ない方が良い。『愛奈の思い』から安全地帯までの最短ルートで、単純にT字路、十字路の少ないのは北側の安全地帯となる」

「なんでT字路や十字路が少ない方が良いんですか?」

「T字路や十字路は、木彫りのクマ人形の待ち伏せを受けやすいからだ」

 クーちゃんの頭の中に、前回のチャレンジした時の十字路の手前で、五尾がダッシュで十字路へ先行し、左右にいた木彫りのクマ人形を退治して、さらに前方にいる木彫りのクマ人形も先行して退治していた。

 確かにあれは、五尾の負担が重たそうに、くーちゃんには思えた。

「なるほど。確かに両側から、木彫りのクマ人形がやって来たら大変そうですね。なら北側の安全地帯にしましょう」

「ただ、一つ心配なのが、北側の安全地帯は、T字路の中にあるって事だ」

 クーちゃんは、少し考える。

「俺、頑張って、安全地帯の中へ入りますよ」

 五尾はクーちゃんのセリフを聞いて決心する。

「それじゃあ、これから、『愛奈の思い』から北側の安全地帯までの最短ルートを下見に行くか」

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