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第九話

 五尾は、大事な宝の正体『愛奈の思い』が置かれている場所から近い、三つの安全地帯を見て回り、一番近いのは何処か、運びやすいのは何処か、調べた。

 どれもあまり変わらないと言う事しか、分からなかった。そこで、今、クーちゃんがいる安全地帯に運ぶ事にする。

 だが、解決しなければならない問題はそれだけではなかった。

 一番の問題は、『愛奈の思い』に近づくと現れる、大きな木彫りのクマ人形である。倒しても新しく代わりが現れるのでキリがない。

「待たせたな」

「なかなか戻ってこないから心配しましたよ」

 クーちゃんが言った。

「心配させてすまなかった。ただ、今回は調べないといけないことが多かったからな。あと、確認しないとならないことがある」

「確認ですか?」

「愛奈と言うのは、ピンクリボンの持ち主であっているか?」

 クーちゃんは肯くと、五尾は「なるほど」と言って、一人納得する。

「まずは、『大事な宝』の正体は、『愛奈の思い』と言う運搬アイテムだとわかった」

「愛奈ちゃんの思い? 運搬アイテム?」

 クーちゃんは、?マークを飛ばしまくる。

「『愛奈の思い』と命名されたアイテムだ。そして、運搬アイテムとは、使ったり、武器や防具の様に装備するアイテムでなく、ただ、重たいだけで、目的地へ運ぶことが義務付けられたアイテムだ」


 なんかイメージが湧かないな。なんで運ぶことが義務付けられているんだろう。


 クーちゃんは悩む。

「『愛奈の思い』の運搬に取り掛かる前に解決しなければならない問題がある」

「何ですか? 問題とは」

「それを最寄りの安全地帯に運べはこの第三エリアはクリアとなるのだが、『愛奈の思い』に近づくとその辺にいる木彫りのクマ人形より、一回り大きい木彫りのクマ人形が出現することなんだ。しかも倒しても、新しいのが現れる。何度でもな」


 え。そんなのどうやって対応するの?


「なんか、新しいのが現れなくする方法とか、思いつかないか?」

 クーちゃんは、苦笑いを浮かべる。


 そんなこと、こっちが聞きたいよ。


「ぶっつけ本番で、いろいろ試すしかないな。鉄パイプが関係していそうな気がしているんだが、試してみてくれ。全く関係なく、別の場所で使うのかも知れないけどな」


 試すって、何を試したら良いんだろう? 武器として装備しているけど、爪の方が威力あるし、道具として使うにしても使い方がわからん。そもそも無限に湧くモンスターと本当に関係あるのかな。関係あるとか、関係ないとか、どうやって確認すればいいんだ。


「あと、もう一つ忘れてはいけないことは、モンスターをどうにかしたあと、『愛奈の思い』をここまで運んで来る必要があるってことだ。そして、運ぶのはピンクリボンがしなければならない」

「そう言えば、鉄パイプを入手した時も、仰っていましたね」


 雑魚モンスターも倒せない俺にやり遂げられるだろうか?


 クーちゃんと五尾は、しばらく話し合ったあと、チャレンジする為、安全地帯を後にする。安全地帯の周りは、すでに五尾が掃討したばかりであったので、それほど木彫りのクマ人形はあまり現れず、五尾が一人で片付けていく。そして、あっさり『愛奈の思い』が置いてあるところまで来る。

「黄色の大きな球体のモノがあるだろ。あれが『愛奈の思い』だ」

 五尾が『愛奈の思い』を指差しながら、クーちゃんに言った。

 二人が『愛奈の思い』に近づくと、『愛奈の思い』の直ぐ傍の地面に円形の模様が浮き出て、そこから大きな木彫りのクマ人形が、その上に現れた。五尾はあっさり大きな木彫りのクマ人形を倒す。すると、同じ場所に円形の模様が浮き出て、再び大きな木彫りのクマ人形が現れた。五尾は、今度は転ばせて地面に押し付けて動きを封じる。

「こんな感じで倒すと、新しいのが現れる。これが延々と続く」


 延々と続くと言われてもなあ。


「先ほどは何体倒したんですか?」

「二、三体ぐらいだな。上限があると思うか?」


 そんな事言われても、分かるわけないよ。


「さ、さあ」

 クーちゃんは首を傾げながら言った。

「ここは、このクエスト最大のキモの場所だ。謎を見破らないとクリア出来ないはずだ」


 謎か。どんな謎なんだろう。


 五尾に動きを封じ込められていた大きな木彫りのクマ人形が消滅した。さっきと同じ場所に円形の模様が浮き出て、再び大きな木彫りのクマ人形が現れた。素早く五尾が、大きな木彫りのクマ人形を転ばせて、再び動きを封じ込める。

「ピンクリボン。気が付いているか?」

「え。何がですか?」

「この大きめの木彫りのクマ人形がいるこの辺に、他の木彫りのクマ人形が近づいて来ない事に」

 途中までこちらに近づいていた通常の大きさの木彫りのクマ人形は、引き返していた。

「そして、短い間だったが、大きめの木彫りのクマ人形が消滅していた間だけ、こちらに他のが近づいていた。つまり、何らかの方法で、この大きめの木彫りのクマ人形が倒せたら、雑魚の木彫りのクマ人形が近づいてくることにも注意しろ」


 すっげーな。なんでこの人、そんなことまで気が付くんだろう。


「俺が動きを止めている間に、ためしにコイツを攻撃してみろ」

「え。俺が攻撃するんですか?」

「このクエストの主人公は、ピンクリボン、お前だ。お前以外に誰がやるんだ」


 そうだ。俺が愛奈ちゃんを助けるんだ。俺が愛奈ちゃんを助けないといけないんだ。


 クーちゃんは、大きな木彫りのクマ人形の頭に回り、鉄の爪のスキルを使って攻撃をした。


 なんて硬さだ! 岩を殴っているみたいだ。


「もう一度!」と五尾が檄を飛ばす。

 クーちゃんは、思い切り爪で大きな木彫りのクマ人形の頭を殴り続けるが、なかなか殺せない。大きな木彫りのクマ人形は抵抗を試みるが、全部五尾に封じられている。

 そして、最後の一撃で、やっと大きな木彫りのクマ人形が消滅したが、さっきと同じ場所に円形の模様が浮き出た。

「ダメだったか」

「そ、そんなあ」

 五尾は、すぐに新たに現れた大きな木彫りのクマ人形を転ばせて、再び動きを封じる。

「ピンクリボン! 落ち込んでいる場合じゃないぞ。気持ちを切り替えろ」

「す、すみません」

「念の為だ。もう一度、コイツを攻撃しろ」

 クーちゃんは、再び鉄の爪のスキルを使って、大きな木彫りのクマ人形を猛ラッシュで攻撃した。何とか倒したが、やっぱり普通に新しい大きな木彫りのクマ人形が現れた。それをやっぱり五尾が転ばせて動きを封じ込める。

「そう言えば、今のところ鉄パイプを使っていなかったな」

「そうですね。でも使いどころはありませんでしたよ」

「使いどころも何も、武器として装備されたんだろ。鉄パイプで攻撃してみろ」

「え! えー」

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