第六話
クーちゃんは、ゴブリン人形を倒し続ける。
五尾は、最初に言った通り、ゴブリン人形を倒そうとしない。ゴブリン人形が近づいて来ても、避けてあしらっている。
そして、最後の一匹もクーちゃんが倒す。
結構、倒したなあ。楽勝ではあったけど。それにしても、どうして、手伝ってくれなかったんだろう?
「敵を全部倒しましたよ」
クーちゃんは、五尾にそう言ったが、五尾は何も答えずいると、周りの景色が真っ白になって行く。
すると、周りが白い壁に囲まれた三メートル×五メートルの広間に、クーちゃんと五尾は立っていた。
近くにゴブリン人形より大きいホブゴブリン人形が一体いる。
「あの辺りは安全地帯のようだ。まず、あそこで休憩だ」
五尾が、ホブゴブリン人形の攻撃を上手く避けて、広間の奥側へ行く。クーちゃんは、五尾の様に攻撃を避けて逃げるなんて出来ないので戦う。
クーちゃんは、突進のスキルと鋭い牙のスキルを同時に使うと、ホブゴブリンへ大ダメージを与える。ダメージで怯んでいるところへ爪で攻撃して倒す。
「何とか倒せた」
クーちゃんは、ゆっくり安全地帯に入る。
「俺はこれから魔法を使う。ピンクリボンは、疲労回復とダメージ回復の為の休憩だ」
五尾が言うと、クーちゃんは肯く。
「レベルアップはまだか」と五尾が呟くと、呪文を唱え始めた。
もう少しで俺がレベルアップするの気付いていたんだ。だから、前のエリアの雑魚を俺一人で討伐させたのか。
しばらくすると、五尾の呪文が完成し、魔法が発動する。すると、二番目のエリアのマップが五尾の頭の中に浮かぶ。元から魔法で知っていた、四つの回復アイテムの他に三つのアイテムが隠されている事がわかる。
「このエリアには、四つの回復アイテムを含む、七つのアイテムが隠されている。それを全部入手しよう。このエリアのモンスターも、ピンクリボンが、なるべく倒す様にする。一対一なら普通に勝てるはずだ。疲労やダメージが溜まったら、彼方此方に安全地帯があるから、そこで休憩を取る」
五尾が言うのを、クーちゃんは、うんうんと肯きながら聞いた。
「でも、一対一なら勝てても、複数に取り囲まれたらどうしたら良いんですか?」
クーちゃんは、悩みながら言った。
「俺がなるべく一対一になる様にするから安心しろ」
なんで、俺のレベルアップにこんなに協力してくれるんだろう。俺も早くレベルアップしたいから良いけど。
五尾は、地面に二番目のエリアのマップを描き始める。クーちゃんはそれを眺める。
しばらくすると、広間に繋がっている道から、ホブゴブリン人形がやって来る。しかし、広間をフラフラ歩くだけでクーちゃんや五尾のいる安全地帯には近づいて来ない。
「モンスターたちは、どうして、安全地帯にいると近寄ってこないのかな」
クーちゃんは言った。
「モンスターは、安全地帯にいるヌイグルミを攻撃できないからだよ。安全地帯の中から攻撃したら、モンスターは反撃出来ないから、こっちが一方的に攻撃できる。昔はそうやって経験値稼ぎが出来たんだがな」
五尾が言った。
「五尾さん、やったことあるような口ぶりですね」
クーちゃんは、ケラケラ笑う。
「もちろん、やったよ」
五尾がそう言うと、クーちゃんは笑いが止まる。
「レベルの低い、魔術探知系ヌイグルミは戦闘がとにかく苦手に出来ている。些細な戦闘でも少しでも有利になるように工夫しないと勝てなかったんだよ」
クーちゃんは、肯くことしか出来なかった。
「まず、アイツをスキルを使って討伐しろ。全力で行って良いぞ。このエリア、安全地帯が多い。安全地帯を渡り歩くように攻略する。ピンクリボンのレベル上げの為、遭遇したモンスターは極力全部討伐するぞ」
遭遇したモンスターをクーちゃんが一人で倒して回った。二対一以上の状況になりそうになると、五尾がモンスターの足を引っ掻けて転ばせたりした為、二体同時に戦う事がなく、ほぼほぼクーちゃん一人で倒せた。
「アイテムも全部回収したけど、まだレベル上がらないか」
五尾が残念そうに言う。
「すみません」
「ピンクリボンが謝る事じゃない。モンスターの出現が思ったより少なかっただけだ。第二エリア攻略報酬の経験値がどのぐらい入るかに寄るんだが、恐らく第三エリアを二レべルでチャレンジは多分厳しいだろう」
五尾の案内で、三つ目のエリアへの入口へ行くと、二人は入る。
すると、どっかの市街地のような場所に出た。三つ目のエリアに到着したのだ。しかし、クーちゃんのレベルは上がらなかった。
クーちゃんと五尾の前に二体の木彫りのクマ人形のモンスターが現れた。
クーちゃんは、突進のスキルから、鉄の爪のスキルを使った、両手による二連撃と鋭い牙の一撃の三連撃を決めた。二つ目のエリアのモンスターはこれで怯んだので、一方的に倒せたが、木彫りのクマ人形には、当然ダメージを与えたが、怯ませる事は出来なかった。
木彫りクマ人形の一撃をクーちゃんは喰らってしまい、ノックバックする。そこに木彫りのクマ人形が追撃をしようとした時、もう一体をすでに倒した五尾が、あっさり倒す。
クーちゃんは九死に一生を得た。
「一撃喰らっただけなのに、ヒットポイント半分以上持って行かれたよ」
クーちゃんはぼやく。
「ピンクリボンが倒されなくて良かった。まず、そこの安全地帯に入るぞ」
クーちゃんと五尾は、直ぐ傍にある安全地帯に入ると、大きく息を吐く。
「ジッとして体力の回復を計るんだ」
五尾が言った。
ヌイグルミは、攻撃で受けたダメージを、ジッとしているだけで、少しずつだが回復できる。通常、戦闘中ジッとしていられないから、回復するまでジッとするなんて出来ない。しかし、こういう安全地帯に居れば、モンスターから攻撃を受けないので、回復薬を使わなくても回復できる。と、言っても、ダメージが大きい時は回復を待っていられないので、回復薬を使うのが普通であるが。
クーちゃんと五尾は、安全地帯に看板を見つけた。看板には意味有り気な事が書いてある。
『
クエストの主人公、キーアイテムを入手し、大事な宝を最寄りの安全地帯に運べ。
順番を違えてはいけない。主人公以外が入手、および、運搬をしてはいけない。
』
な、何だこれ。さっぱり意味がわからん。
「この意味わかるか?」
五尾が聞いたが、クーちゃんは苦笑いを浮かべるしかなかった。
「これが、このエリアを攻略する重要なヒントなのは確かだろう。覚えておこう」
クーちゃんは肯く。
「俺は、しばらく魔法を使うから、体力を回復しながら待っていてくれ」




