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第五話

 五尾は、コンソールを操作して、『愛奈ちゃんを救出し、人喰クマを撃退せよ』のクエスト情報をガン見する。

「クエスト情報の何処が気になるんですか?」

 クーちゃんが五尾に聞いた。

「クエスト情報に気になる箇所があるわけじゃない。町長が言う通り、高レベルのヌイグルミを助っ人にしても成功率が上がらないと言う事は、何か特別の理由があるはずだ。そのヒントがここに書かれているんじゃないかと思って調べてみただけだ」

「それでヒントはありましたか?」

 五尾は首を横に振る。

「一応、念の為の質問だ。成功率がたったの二十パーセントの俺が助っ人で良いんだな?」

 真剣な表情で五尾は聞いた。

「お願いします」

 クーちゃんは、軽く頭を下げる。

「町長のことだ。本当に二十パーセントも成功率があるかどうかも怪しいが、全力を尽くそう」

 すると五尾の体からオーラ出る。

「多重尾スキルを発動させた」と五尾は淡々と言った。

「え。多重尾スキルって尻尾が増えるスキルですよね。増えていませんよ」

 クーちゃんは驚く。

「発動させたばかりは、一本のままだ。パワーゲージを溜めると二本に増え。二本に増えてから、さらにパワーゲージを溜めると三本に増え。そんな感じで尻尾が増えていくんだ。だが、今は五本までしか尻尾は増えない。そして、五本の状態を恐らく十分ぐらいしか維持出来ない。そして持続時間を過ぎると、俺のパワーは尽きて、しばらく動けなくなる」

「それって、諸刃の剣なんじゃ」

「つまり万能ではないってことだ」

 五尾がそう言うと、クーちゃんは肯く。

 五尾はコンソールの側にあるアイテムボックスへ近づく。

「おい。アイテムボックスの蓋が開いているぞ。閉めてくれないか?」

 五尾がクーちゃんへ言った。クーちゃんはアイテムボックスの傍へ行く。

 コンソールの側にある宝箱のような箱、アイテムボックスがあった。そのアイテムボックスは、蓋を開けた人の道具を取り出せるという不思議な箱なのだが、開けっ放しだと、他の人が開けられない仕組みになっていた。唯一、コンソールルームの主だけは、誰が開けても閉められる仕組みになっている。

「ついでだから、ピンクリボンから、必要なアイテムを持って行くと良い」

 五尾が言うと、アイテムボックスの前でクーちゃんは考え込む。

「そう言えば、いままで、クエストに行くとき、アイテムボックスからアイテムを持って出たことがなかったや」

クーちゃんがそう言うと、「おい」と五尾がツッコミを入れる。

「今日は、ちゃんと回復系アイテムをちゃんと持って行ってくれよな」

 五尾は呆れて言った。

 クーちゃんは、謎のリュックを取り出すと、アイテムを詰めていく。詰め終わると何故かリュックは消える。見かけ上見えなくなるだけで、どこかにあるようなのだが、未だにどこにあるのか、クーちゃんにはわからなかった。アイテムを取り出したいと思うと、謎のリュックは取り出せる。

 クーちゃんは、アイテムを謎のリュックへ詰め終わると、アイテムボックスの蓋を閉める。

 今度は、五尾がアイテムボックスの蓋を開けると、謎のリュックを取り出し、手際よくアイテムを詰めていく。五尾は、謎のリュックを消すと、アイテムボックスの蓋を閉める。

「では、そろそろ出発しよう」

 五尾がそう言うと、クーちゃんはコンソールを操作して、クエストを受注する。そして続いて、五尾は助っ人として登録する。

 二人は揃って、コンソールに向かって左側にあるクエスト入口へ歩いて行く。

「二人とも、頑張ってくださいね」

 ザンは、二人に言った。

「行ってきます」

 クーちゃんはザンに手を振る。五尾は、何も言わずにクエスト入口を前足で触る。そして、クーちゃんがクエスト入口を触ると二人はクエストへ転送された。

「二人とも行ってしまいましたね」

 ザンが寂しそうに言った。

「ミーができる最善は尽くした。帰るぞ」

 町長が言った。

「ところで、このクエストの成功率は本当に二十パーセントあるんですか? 五尾さんは二十パーセントもないかもって言ってましたけど」

 ザンは疑いの目で町長を見る。

「そうでも言わなきゃ引受けなかっただろう」と、面白そうに町長が言った。

「あ、やっぱりウソ吐いてましたね。で、本当の成功率はいくつだったんですか?」

 ザンは呆れて聞いた。

「二パーセントだ」

 町長はいけしゃあしゃあと言った。

「はぁ。それじゃ殆ど成功しないじゃないですか!」

 ザンはとても驚く。

「だが、助っ人が頼める中で一番成功率が高かったのが、五尾であるというのは事実だ」

 町長はいつもの軽い口調で言ってのける。

「それじゃあ、助っ人を二人以上依頼しても良かったんじゃないですか?」

 ザンは、当然の疑問を聞いた。

「当然、それも計算したさ。だが、五尾一人に助っ人を頼むのが一番確率が高かったんだよ」

 町長は腕組して言った。

「え! それじゃあ、五尾さん。そこまで理解して引受けたんじゃ」

「五尾は、目敏くなんでも見抜くからね。その可能性はあるだろうな。だが、アイツは勇者だ。クダクダ言わないだろ」

 シレッと言う町長を、ザンはジト目で見た。


 クーちゃんと五尾は、何もない草原のような場所に出た。ヒューマノイド型ゴブリン人形が、彼方此方に現れた。

「俺はこれから魔法を使う。このエリアの雑魚モンスターはお前一人で退治しろ」

 五尾が言った。

「俺一人でですか?」と、戸惑いながらクーちゃんが聞いた。

「お前一人で十分だ」

 そう言うと、五尾は呪文の詠唱を始める。

 呪文の詠唱が始まると、当然会話はできない。近づいて来たゴブリン人形に、クーちゃんが攻撃すると一撃で倒せる。

「なんだ。弱いじゃないか」

 クーちゃんは、ゴブリン人形を倒してまわる。

「このクエストは五つのエリアに別れている。

 一つ目はこのエリア、討伐エリア。雑魚を倒し続けると、自動で次のエリアに移動する。

 二つ目は通過エリア。迷路のようなエリアで、三つ目のエリアへ続く出口を探すエリアだ。このエリア内に、クエスト内だけで使える回復アイテムが四つ手に入るはずだ。入手してから次へ行こう。

 三つ目のエリアはイベントエリア。行ってみないと詳細はわからないが、このクエストのキモとなるイベントがあるはずだ。

 四つ目は通過エリア。中ボスが三体出てくる。そいつを倒して五つ目のエリアへ続く出口を探すエリアだ。

 五つ目は討伐エリア。最終ボスが出てくるが、最終ボスと戦う前に、中ボスが五体でてくる。そいつを倒してから最終ボスと対面のようだ」

 五尾が、長々と説明した。

「どうしてそんなこと分かるんですか?」

 クーちゃんは、疑問を口にした。

「魔法を使ったからに決っているだろ」

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