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第四話

「助っ人が決ったって、もしかして五尾さんの事ですか?」

 ザンが、町長に聞く。

「当然だ」

 GIジョー人形の町長が胸を張って言う。

「でも、このクエストの攻略適性レベルは、五レベルです。ピンクリボンさんは二レベルです。つまり、助っ人は八レベル以上が望ましいのではないですか?」

 ザンが言った。


 クエストの攻略適性レベルの本来の意味を知らないと、助っ人を呼んでも全くクリア出来ない何てザラにある。

 クーちゃんたちが受注するクエストの機能で、クエストの難易度は、クエストでの参加人数で調整される仕組みがあった。

 一人でチャレンジすると、十匹しか現れない雑魚モンスターが、二人でチャレンジすると、二十匹現れたりと、調整される仕組みがあるのだ。

 つまり攻略適性レベル五レベルと言う事は、二人で攻略しようとしたら、二人とも五レベルでなければならないという事だ。つまり、助っ人を下手に呼ぶとかえって失敗しやすくなる場合もあるのだ。

 今回のクーちゃんの場合、受注できる本人のレベルが二レベルなので、単純に三レベル分不足しているので、その分、助っ人に不足分を補って貰わないとクリア出来ない。

 つまり、五尾は五レベルなので、単純計算では、クーちゃんの能力不足分を補うには不足している事になる。


「君の疑問も最もだ。しかし、目ぼしい高レベルのヌイグルミを助っ人としてクエスト成功率をコンピューターに計算させても、精々一パーセントを超える程度だ。そのなかで、五尾の成功率はずば抜けて良い。他に選択肢はあるまい」

 町長が、軽いノリで言った。

「五尾さんの能力の高さは、僕も承知しております。でも、今回のクエストは討伐クエスト。荒事のクエストですよ。魔術探知系の五尾さんが向いていると、思えないのですが」

 ザンが慌てて言った。

「そうは言っても、目ぼしいヌイグルミのなかでダントツで成功率が高いと、コンピュータの計算結果が言っている」

 クーちゃんは、二人の会話を不安そうに聞いていたが、知合いの五尾が助っ人になってくれそうなのだと思いホッとする。

「それでは、五尾さんが助っ人に来てくれるってことなんですか?」

 クーちゃんは念の為聞いてみる。

「計算上、もっとも成功率が高いのが、五尾さんだと言うだけのこと。五尾さんが引受けるかどうかは、本人に聞いてみないとわからないよ」

 ザンが言った。

「な~に。大丈夫だよ。あの五尾が、友達の危機に何もしない訳ないじゃないか!」

 町長は何処から来るのか謎の自信で言って、大笑いする。

「楽観的なことを言って。どうせ成功率高くないんでしょ」

 ザンが呆れて言った。

「成功率はどのぐらい何ですか?」

 クーちゃんが心配で思わず聞く。

「あー。成功率ね……だよ」

 町長は、成功率を言った振りをして言わない。

 クーちゃんとザンは、ジト目で町長を見る。

「とにかく、五尾を呼び出そう」

 町長がそう言うと、コンソールを操作する。

「わ。ここは何処だ。誰だよ勝手にこんなところに召喚した奴は」

 突然、現れた五尾が言った。突然、召喚されて知らない場所に連れて来られれば、驚くのは当然だ。

 クーちゃんは突然、五尾が現れると思わなかったので驚く。

 五尾は、町長を見つけると睨みつける。

「俺を召喚したのはお前か。俺はイベントクエストの途中なんだ。帰らせてもらうぞ」

 イベントクエストとは、いくつかのクエストを条件を満たしながら攻略する複合クエストの事だ。

「ちょっと待ちなよ。君の友達のピンクリボンの危機なんだよ。話しぐらい聞いてもバチは当たらないだろう」

 町長が能天気な口調で言うので、五尾はさらにイラッとする。

「俺からも頼みます」

 クーちゃんが切実な表情で言うと、五尾は口から出かけた怒りの言葉を飲み込んだ。

「イベントクエストはあと一つだし、クリア条件に時間制限はない。話しだけは聞いてやるよ」


 五尾は、話を一通り聞いた後、コンソールを操作する。すると、クーちゃんが日本に戻ると、十秒後に死ぬことが確定していることを知る。

「それで、今表示されている唯一の個人専用クエスト『愛奈ちゃんを救出し、人喰クマを撃退せよ』をクリアすると、ピンクリボンとピンクリボンの持ち主が助かるわけか」

 五尾は、考え込みながら言った。

「どうだ。ピンクリボンを助けてやりたいだろう。助っ人してくれよ」

 町長が、能天気な口調で言うと、五尾はイラッとする。

「このクエストの攻略適性レベルは五レベルじゃないか。ピンクリボンは二レベル。俺は五レベル。適性レベルに合ってないぞ。これじゃあ、クエストの成功率も高くないだろ」

 五尾は、語気が強い。

「そんなことはないさ。君が助っ人に入ると成功率が非常に高くなるよ」

「俺が入ったときの成功率は何パーセントなんだよ」

 五尾は間髪入れずに言った。

「あー。成功率ね……だよ」

 町長は、成功率を言った振りをして言わない。

「成功率は何パーセントなんだよ」

 町長は、苦笑いする。

「成功率は何パーセントなんだよ」

 町長は諦める。

「二十パーセントだよ」

 クーちゃんは具体的な数字を聞いてショックを受ける。

「二十パーセントは五回中四回は失敗する。こんな成功率で助っ人を引受けられるわけないだろ。このクエストにピンクリボンの命が掛っているんだろ。しかも一回でも失敗したら、アウトなのによ」

 通常のクエストなら、成功するまで何度でもチャレンジすることができる。だが、今のクーちゃんの状態では、その一回の失敗が永久の失敗なのだ。

「君ならできる。君は以前、成功率〇・一パーセントの成功率のクエストも成功させたじゃないか」

『五尾さんってそんなクエストもクリアしたことあるの?』とクーちゃんは思った。

「まぐれで成功しただけだ。しかも、あの時は、何回失敗してもリトライできる状態だっただろ。レベルの高いヌイグルミに頼めよ」

 町長は深く息を吐く。

「コンピューターに計算させたら、君が最も成功率高かったんだよ」

 五尾は、疑う目つきで、町長を見る。しばらく睨みつけると、溜息を吐く。

「本当なんだな」と五尾。

「本当だとも。ピンクリボンの命が掛っているんだよ。冗談で頼まないさ」

 五尾は、息を深く吐く。

「しょうがないな。助っ人してやるよ。だが、あまり期待するな。俺が助っ人に入っても、成功率は二十パーセントらしいからな」

 五尾は、決心した。

「ありがとうございます」

 クーちゃんは、目を潤ませて言った。

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