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第二話

 クーちゃんが、観念投影世界(イデアビジェクションワールド)に行けるようになってから、日本でほぼ二ヶ月が経った。

 愛奈が起きている間は、ほぼ日本に居た。愛奈が眠りに付くと、その序盤で観念投影世界へ行き、チュートリアルクエストを攻略したり、町を散策したりし、疲れて眠くなると、日本に戻ってきて、一緒に寝るという暮らしをしていた。

 そんな二ヶ月の間に、クーちゃんは、チュートリアルクエストを九番目までクリアした。そのお陰でクーちゃんは、クエストの基本が理解できた。

 クエストは大雑把に言うと、アイテム入手系、目標達成系、討伐系に分けられるが、多くのクエストがこれらの要素を組み合わされた形で作られる。


 ちなみに、

 アイテム入手系クエストとは、特定のアイテムを入手するとクリアとなるクエスト

 目標達成系クエストとは、特定の目標を達成するとクリアとなるクエスト

 討伐系クエストとは、特定のモンスターを討伐するクエスト

 の事である。


 組み合わせ方は、千差万別でいろいろある。

 例を上げると、

 マップ上のどこかに隠されたアミュレットを入手し、祭壇へ供える

 と言ったクエストは、アイテム入手系クエストと目標達成系クエストの複合クエストである。

 他にも例を上げると、

 魔物が所有している武器の入手

 と言ったクエストは、討伐系クエストとアイテム入手系クエストの複合クエストである。


 その組み合わせは、ほぼ無限である。


 ちなみに四番目以降のチュートリアルクエストでは、

 アイテム入手系、目標達成系、討伐系のサンプルクエスト、

 ボスを討伐するクエスト、

 クエスト成功時のコンソールルームへの帰還と報酬、

 クエスト失敗時の日本への送還と、その際に観念投影世界へ移動するために必要な時間(リキャストタイム)

 について学んだ。


 クーちゃんは、この時はまだ、リキャストタイムの重要性について理解していなかった。

 クエスト失敗すると、観念投影世界へもう一度行くには、大体十五秒~三十秒かかる。物凄くダメージを負った場合、その限りではなく、もっと長くなることもあるが、十五秒より短くなることはない。

 クーちゃんの持ち主の愛奈ちゃんが、安全な家の中にずっといる状態では、この十五秒という時間は些細な時間に過ぎないが、逆に危機的状況では、致命的な時間になりうることを。



 九番目のチュートリアルクエストをクリアしたあとすぐ、クーちゃんは、一つの配信クエストが受注可能になった。

 その配信クエストは、『悪事を暴け』と言うタイトルのクエストであり、内容は、雑魚モンスターが守るアイテムを入手し、祭壇まで行って使用するとクリアと言う内容であった。

 雑魚モンスターの討伐系クエストと、雑魚モンスターが守るアイテムのアイテム入手系クエスト、祭壇まで行って使用するという目標達成系クエスト、三種類の複合クエストである。

 クーちゃんは二回ほど、失敗したが、三回目でクリアした。そして、クリアしたら受注出来なくなってしまった。

 受注出来なくなってしまった理由を確かめる為、町役場に行き、ザンに会って聞いた。

 すると、九番目のチュートリアルクエストをクリアすると配信される、ご祝儀的なクエストであり、クリアすると二度と受注できなくなると、ザンが教えてくれた。


「今、チュートリアルクエスト以外、受注できるクエストがないんだけど、どうにかならないかな?」

 クーちゃんは、ザンに尋ねたが、ザンは腕組みして悩むだけで、質問に答えない。

「個人専用クエストや配信クエストを受注できる様になる方法はないのかな?」

 クーちゃんは訴えかける様に言った。


 ザンは、配信クエストの企画や製造、配信にまで関わっているが、配信はあくまでも条件を満たすすべての人に配信するのであって、特定の個人にではない。仮に特定の個人を指定するような条件を設定する方法があったとしても、ザンの上司が、その条件での配信を許可しない。つまり、ザンには、クーちゃんの願いを叶える事はできなかった。


 クーちゃんとザンが話しているのところへ、四尾が通りかかる。四尾は、町長に呼び出され、町役場に来ており、丁度用事が終わり帰るところであった。

「四尾さん。どうにかなりませんか?」

 ザンは、四尾に相談を持ちかけ、詳細を話した。

「それでピンクリボンは、どうしたいんだよ?」

 四尾は、クーちゃんの事をピンクリボンと呼んだ。

「え。ピンクリボンって俺のこと?」

 クーちゃんは戸惑いながら聞いた。

「お前の他に、ピンクのリボンを付けている奴はいないだろ」

「どうしたいってどういう事でしょう?」

 四尾は、鼻息を鳴らす。

「クエストを攻略する達成感が味わいたいだけなら、チュートリアルクエストでも、十分だろ。レベルを上げたければ、町で小クエストを探してクリアして行けば、経験値やアイテムを入手できる。強くなりたければ、闘技場で戦うという手もある。スキルが欲しければ、スキル迷宮にチャレンジするのが効率がいい」


 スキル? スキルってなんだ? それにスキル迷宮ってなんだ?


 クーちゃんは、知らない言葉が出てきたため、目が泳ぐ。四尾は目敏く、クーちゃんの様子に気付く。

「聞いているのか?」

 四尾が、怪訝な顔をして聞いた。

「すみません。スキル迷宮って知らない単語が出て来たので」

 クーちゃんは、頭を掻きながら言ったのを聞いて、四尾は溜息を吐く。

「チュートリアルクエストやっていないのかよ」

「やっていますよ。ちゃんと九番目まで」

 クーちゃんは、抗議するように言った。四尾はジッとクーちゃんを見つめる。

「スキルがわかるチュートリアルクエストは、十一番目だ」

「えー!」

 クーちゃんは驚く。

「スキルの話しとスキル迷宮の情報は、スキル情報屋でも手に入る。もちろん有料だ。だから、初めは金がないだろうから、チュートリアルクエストがおススメだ」

 クーちゃんは、『なるほど』と納得する。その様子を見た四尾は、ザンを指差す。

「スキル迷宮への挑戦方法は、コイツに聞け」

 そう言うと、四尾は立ち去ろうとする。

「丸投げは酷くないですか!」

 ザンがツッコミを入れる。

「元々は、お前が受けた相談だろ。先に丸投げしたのは誰だ」

 四尾が怒り気味に言うと、ザンは肩を竦める。

「スキル迷宮に挑戦するには、町役場で許可を取る必要があることと、スキルには六つの系統があることをちゃんと教えるんだぞ」

 四尾はそう言うと去っていく。

「スキル迷宮のキモがわかっているんだから、最後まで教えて行けば良いのに」

 ザンは、愚痴る。

「スキルとスキル迷宮について教えてもらえる?」


 クーちゃんは、ザンからスキルとスキル迷宮についてザンから聞き、チュートリアルクエストを十一番目のチュートリアルクエストをチャレンジし、スキル迷宮のチャレンジ許可を町役場で受ける事となった。

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